俺たちの××

怜悧(サトシ)

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夏休み編

ビーチバレー →side Y

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1対2のハンデ戦。
すぐに俺は自分の失策に気がついた。

「そういや、オレ怪我人だった」

「……まあ、でも歩けてるし」
歩けてはいるけど、砂浜とか足をとられるところで激しい動きはできない。
誠士は最初から気がついていたのか、ニヤニヤしている。スポーツマンシップとかどこいったんだ?
女の子にいいところを見せるチャンスと考えているに違いない。
「……ヤス、無理するな。……オマエの屍はひろってやるぜ」
東流は、憐れむように言うが、まあ、遊びなんだからそんなに熱くなることはないのだけどね。
真ん中に構えて、誠士がミカちゃんに軽くトスをあげるのをみて、ゆっくりとミカちゃんの位置からたまの飛んできそうな位置に動いてジャンプは出来ないので腕をのばして軽く上から叩き落とすようなアタックをネット内に入れる。
「うわ、さすが動かなくても、余裕な康史にびっくり」
さらに余裕そうにレシーブしてミカちゃんのいる位置にフィットさせる誠士には言われたくない。
ミカちゃんは、ピョンッと飛んで、俺のいる位置と反対にアタックを決める。
無理せず遠くに飛ぶ玉を追わずに砂浜のラインにインするボールを見送る。
「……うわ、くやしい。俺の夏は終わった」
「つか、棒読みですけど」
誠士は東流が拾ったボールを受け取り、
「さてと、華麗なるサービス見せてあげちゃうよ」
「空手部のサービスだろ。ボールを叩きわらんでね」
「瓦じゃねー」
東流と誠士が掛け合いはじめるのに、俺はゆっくりと下がる。
誠士のサービスなら、このへん陣取れば取れるかな。
負担をかけないようにしないとな。
張ったネットは2メートルはないので、体を少しずらせは、両手を伸ばして取れない距離ではない。
俺は飛んできた誠士のサーブをレシーブして返した。

結果的に、俺はぼろ負け。
誠士チームも東流には勝てずに、東流の1人勝ちに終わった。

「うわ、長谷川君、バレー部入れば良かったのに」
ミカちゃんは本気でいってるようだったが、なんの競技をやっても東流はチートな強さだった。
入らないのは、喧嘩がチームの迷惑になるからである。
それがなければ、なんの競技だとしても獲得競争に名乗りをだしたはずだ。

東流は、グッと体をのばして言った。

「…………スポーツは簡単過ぎて、ダチとやらなきゃ面白くないよ」 
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