色即是空

怜悧(サトシ)

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巴弥天は、太平の言葉に唇をキュッと噛んで目を伏せて額を掌で覆った。
「信じたいけど……。俺は嫉妬深いから、浮気とかされたら何をするかわからねえ。僧侶になるのに、業が深くて.....だから、今のうちに諦めれば、まだ……高校生活の思い出で、綺麗なままとっておける」
掌の隙間から、つうっと涙の筋が零れ出す。
「そりゃ、俺だって将来のことなんかわかんねえけど。でも好きなまま別れたら、辛くて後悔でどうにかなっちまう。未来永劫とか言えればいいけど.....。なあ、どうすりゃ信じてくれるんだ」
少なくともこんな山の中の高校生活に絶望していた太平を救ってくれたのは、巴弥天である。
掌の上に啄むように唇を何度も落として、硬い黒髪を指先で撫でる。
「.........いいの.....に」
微かに掠れた声が響いて、太平はじっと巴弥天を見下ろす。
「.....なに?」
「このまま、卒業なんかしないで、時間が止まればいいのにって.....」
手が伸ばされ、肩を掴まれると巴弥天は太平の背中に腕を回してぐいっと強く引き寄せた。
「俺は.....変わらねえって.....。ハヤテ、信じてよ」
「ごめん」
首を振って巴弥天は中途半端に乱れた制服のシャツを剥がすように、自ら脱いで腕を太平の首へと絡める。
「信じることはできないけど.....」
誘うように顔をあげて、唇へと舌を這わせる。
「お前を失っても、餓鬼道へ堕ちる決心がついた」
嫉妬に狂い死した者が堕ちる地獄にでも行けるという巴弥天の熱い視線を受けて、太平はぷっと噴き出す。
「相変わらず、言うことが中二病くせえ。いいよ、死んだらソコにも一緒に行ってやるから」
「一緒なら、そこも天国になっちまう」
太平は当てられた舌に唇で吸い付いて、しなやかな背中をゆっくりと撫でると、カチカチとベルトを外す。
「.....この先になにがあるかは、わからねえけど。つるつるでも、なんでもお前なら好きだし、袈裟姿とか想像すると.....なんか興奮するし」
「バカ.....」
柔らかい茶色の太平の髪をぐしゃりと撫でると、巴弥天はパンツと下着を降ろして腰を押し付ける。

「今の俺にも、興奮しろよ」

凄い興奮してると巴弥天の耳元で告げる太平は、身体のラインをゆっくりと辿る。
巴弥天はバスケ部に入っていて、帰宅部の太平とは違い、きっちりとした筋肉がついている。
推薦入学を決めてしまっていた巴弥天は、部活を引退することもなかったので、筋力も落ちてはいない。
「.....高校時代、最後のエッチだな」
「いちいち言わなくていいから、早く.....」
焦れて仕方がないといった表情を浮かべる巴弥天に、太平は嬉しそうに笑うと内股へと手を滑らせ、既に垂れ始めている先走りの露を指に掬い、熱をもちはじめている狭間を撫でる。
「情緒ないなあ」
「っ.....太平にいわれたくねえ」
最初に抱いた時から、そんなに溜まってるなら処理を手伝ってやると巴弥天に誘われた。
そんな始まりの関係だから、信じられないと巴弥天が言うことも分かった。
でも、それは切っ掛けに過ぎなくて、その優しさと温かさに徐々に夢中になっていった。
色即是空。
変わらないものなどないというなら、俺の気持ちが巴弥天がかけがえのないものへと変わっていくことも信じてほしい。
太平はゆっくりと指を身体の内部に押し込み、指に絡めた体液の滑りを使ってぬちぬちと抜き挿しを繰り返す。
「.....っ、ンッ、ふっう、ハアッハアッ.....ッた、いら」
「指入れただけでちんこダラダラにしちゃって.....やらしいカラダだね。俺と別れたりしたら、普通のエッチで満足できんの?.....生きながら餓鬼道に落ちるんじゃねえの」
太平な意地悪く囁くと、先端を口に含んでちゅっちゅっと吸いあげる。
巴弥天は脚を自ら開いて奥に欲しいとせがむように腰を浮かせる。
「ンっ、ふっ、でも.....期待.....して、なくしちまうより、マシ」
「ハヤテ、.....もっと、俺に期待して。オマエが欲しいだけやるからさ」
太平は指を増やして裏筋から舌を這わせ、先端まで舐めあげて、口に含んで唇を吸いつかせて締めるように刺激を与える。
巴弥天は目を見開いて股間で揺れる、太平の茶色の柔らかい髪に触れる。
太平が巴弥天に奉仕するのは初めてだった。
「も、っ口.....離して.....くれ。出ちまう」
切羽詰まった様子で巴弥天は太平の頭を掴む。アナルとペニスを同時に刺激され、たまらず頭を左右に振って強すぎる刺激に朦朧とした表情を浮かべた。
目をあげた太平は、出せよと言うような表情を浮かべてぐいっと知り尽くした内部の脆い箇所を、指の腹で撫でて押し込んだ。
先端から噴き出す粘液をごくりと飲み込むと、普段は落ち着いているオトナっぽい巴弥天の顔がぶあっと熱をもったように紅潮する。
「たいら.....の、のまなくても.....」
「いつもハヤテは飲んでくれる」
独特な匂いと喉にねっとりと絡む液体を舐めとって太平は唇を離して顔をあげると、指を引き抜いて脚を更に開かせる。
「ハヤテがしてくれること、俺にはすごく嬉しいことだから。ハヤテにもっと、俺も与えてやりたい。不安がなくなるように」
切っ先を押し当てて、腰をぐいと抱き寄せると真面目な表情で太平は囁く。
不安にさせたのも、信用されないのも、すべてが因果だというなら、全部変えてしまえばいい。
彼が、いつでも安心できるように。
「だ、大丈夫だから.....っ、ごめん、たいら、そんなふうにむり、しないでいい」
「無理じゃねえよ。俺がそうしたいだけだ」
誰より愛しい男を、もっと大事にしたいというのは、太平自身の願いだ。

「ン、ッふ、ハアッハアッ.....っ、たいら、.....たい、ら」
名前を呼ぶ声に煽られて、ぐいっと身体の中へと深々と埋没させて腰を抱え込むと、太平は身体の熱を分け与えるようにゆさゆさと揺らす。
縋り付く腕も、少し濡れた鋭い眸も、硬い黒い髪もすべて自分のものだ。
絶対に離さない。
この世に絶対などないと、否定されても。
「.....っ、ひっあ、ああアッ、ああアッ.....いく、ッ、イクッーーッ、た、い、らっ、アアッ」
ずぷっずぷっと濡れた音を響かせ、腰の律動を速めながら太平は、凛として長い巴弥天の首筋に歯をたてて深い箇所まで先端を埋め込むと、劣情を吐き出す。

身体だけじゃなく、巴弥天の全部がほしいと思う俺の方が業が深いんだ。

身を震わせ縋るように伸ばされた巴弥天の掌を包むように太平は握り込むと、ギュッと背中をかき抱いた。
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