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頭が重たい。
至近距離で撃たれたのだから、重たいぐらいはあるだろうが、その前にオレは生きているのかと一瞬よぎるが、日本の医術はすすんでいるからもしかしたら、どうにか脳死は免れたかもしれない。
楽観的に考えながらオレは目を開く。
見知らぬ天井が視界に映る。病院の無機質な白い天井でもなく、薄汚れた湿った石垣で天井がひどく近かった。
ここは、何処だ。
目を見開き首を動かすが、オレの頭は撃たれたような痛みもなく、身体がじんじんと痺れていて動かすのが重いだけだった。
「起きたのか、淫魔め。危うく誑かされるところじゃった」
鉄格子がはまっている外に、フードを被っている老人がいる。
記憶が交錯しているが、そういえばありえないくらいファンタジックな夢を見ていた気がする。
これは夢の続きなのだろうか。
「勝手に連れてきて、淫魔たァ、ひでぇ言い草だな」
これが夢なのか、幻なのかどうでもいいが、これ以上愚弄されるつもりはない。
狭い空間で身体をぶつけないように身を起こすと、鉄格子に腕をかける。
「おのれ、わしの術式を破るのか」
「知るか」
鉄格子に触れると、掌がブワッと光り始めて、鉄格子がぐにゃぐにゃと歪んで外れる。
まるで魔法みたいな技に、くり出した自分も驚くが、まあオレの夢なのだからオレが最強に決まっている。
鉄格子から這い出ると、物理攻撃には弱そうなフードの老人はカタカタと震えている。
女子供、老人には手を出す趣味はない。
「じいさん、オレはこっからおサラバしたいが、何処に行けばいいかもわからん」
ぐいと爺さんの首根っこを掴みあげて顔を合わせるようにして、睨みをきかせる。
最悪、爺さんを人質にして、あまり犠牲を少なくしてここから出るかな。
爺さんはオレの言葉を理解できないのか何度も首を横に振って、怯えている。
怯えられるのは慣れている。
この夢はいつになったら醒めるのか分からないが、多分オレは重症なので、目が醒めるのかすらもあやしい。
瀕死だろうし、だったら夢を楽しむのもいいな。
ぶらんと爺さんを吊り上げたまま、折角だから魔王とやらを打ち倒して、オレが世界征服でもするかな。
石畳をカツカツと歩いていくと、鎧を着た兵士たちに出くわす。
「逃亡者か!!脱獄だ」
「うるせえ」
爺さんを持っているのと反対の腕を振り上げて、兵士にぐしゃりと拳を叩きつけて脚を引っかけて蹴り倒す。
わさわさと兵士が集まってくるのに、全員の相手は辛いなと掴んでいた爺さんを掲げて、オレは倒れている兵士から剣を奪うと爺さんの喉笛に刃を当てる。
「動いたら、コイツの首を落とすぜ」
脅しではないとばかりに、爺さんに刃を食い込ませる。
「なんと!!」
兵士たちが色めきたつのを睨み据えながら、動ける体勢を維持してゆっくりと地上へ向かおうと歩きはじめる。
「待て。勇者よ!!」
地上からの階段をゆっくりとした歩調で降りてくる、オレよりは5歳ほど若そうなきらびやかな鎧を着た男がオレの前に立ち塞がった。
「レヴィシア王子!!」
兵士が口々に声をあげるのを聞いて、王子様とかほんと、ファンタジーだなと思いつつ、キラキラ光る薄い銀白色の頭を見下ろす。
「勇者ではないが、待ってやろうか。アンタの方が人質の価値はありそうだな」
爺さんを投げ捨てて、オレは王子の首根っこを掴みあげた。
至近距離で撃たれたのだから、重たいぐらいはあるだろうが、その前にオレは生きているのかと一瞬よぎるが、日本の医術はすすんでいるからもしかしたら、どうにか脳死は免れたかもしれない。
楽観的に考えながらオレは目を開く。
見知らぬ天井が視界に映る。病院の無機質な白い天井でもなく、薄汚れた湿った石垣で天井がひどく近かった。
ここは、何処だ。
目を見開き首を動かすが、オレの頭は撃たれたような痛みもなく、身体がじんじんと痺れていて動かすのが重いだけだった。
「起きたのか、淫魔め。危うく誑かされるところじゃった」
鉄格子がはまっている外に、フードを被っている老人がいる。
記憶が交錯しているが、そういえばありえないくらいファンタジックな夢を見ていた気がする。
これは夢の続きなのだろうか。
「勝手に連れてきて、淫魔たァ、ひでぇ言い草だな」
これが夢なのか、幻なのかどうでもいいが、これ以上愚弄されるつもりはない。
狭い空間で身体をぶつけないように身を起こすと、鉄格子に腕をかける。
「おのれ、わしの術式を破るのか」
「知るか」
鉄格子に触れると、掌がブワッと光り始めて、鉄格子がぐにゃぐにゃと歪んで外れる。
まるで魔法みたいな技に、くり出した自分も驚くが、まあオレの夢なのだからオレが最強に決まっている。
鉄格子から這い出ると、物理攻撃には弱そうなフードの老人はカタカタと震えている。
女子供、老人には手を出す趣味はない。
「じいさん、オレはこっからおサラバしたいが、何処に行けばいいかもわからん」
ぐいと爺さんの首根っこを掴みあげて顔を合わせるようにして、睨みをきかせる。
最悪、爺さんを人質にして、あまり犠牲を少なくしてここから出るかな。
爺さんはオレの言葉を理解できないのか何度も首を横に振って、怯えている。
怯えられるのは慣れている。
この夢はいつになったら醒めるのか分からないが、多分オレは重症なので、目が醒めるのかすらもあやしい。
瀕死だろうし、だったら夢を楽しむのもいいな。
ぶらんと爺さんを吊り上げたまま、折角だから魔王とやらを打ち倒して、オレが世界征服でもするかな。
石畳をカツカツと歩いていくと、鎧を着た兵士たちに出くわす。
「逃亡者か!!脱獄だ」
「うるせえ」
爺さんを持っているのと反対の腕を振り上げて、兵士にぐしゃりと拳を叩きつけて脚を引っかけて蹴り倒す。
わさわさと兵士が集まってくるのに、全員の相手は辛いなと掴んでいた爺さんを掲げて、オレは倒れている兵士から剣を奪うと爺さんの喉笛に刃を当てる。
「動いたら、コイツの首を落とすぜ」
脅しではないとばかりに、爺さんに刃を食い込ませる。
「なんと!!」
兵士たちが色めきたつのを睨み据えながら、動ける体勢を維持してゆっくりと地上へ向かおうと歩きはじめる。
「待て。勇者よ!!」
地上からの階段をゆっくりとした歩調で降りてくる、オレよりは5歳ほど若そうなきらびやかな鎧を着た男がオレの前に立ち塞がった。
「レヴィシア王子!!」
兵士が口々に声をあげるのを聞いて、王子様とかほんと、ファンタジーだなと思いつつ、キラキラ光る薄い銀白色の頭を見下ろす。
「勇者ではないが、待ってやろうか。アンタの方が人質の価値はありそうだな」
爺さんを投げ捨てて、オレは王子の首根っこを掴みあげた。
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