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柔道とは違うが、空手というには投げ技などもある。レスリングと言うには、柔道寄りか。まずは、お手並み拝見と技をわざとかけさせてみたが、融合的な格闘方法で、隙がない。
「体の割に弱いのか」
こちらがわざと手を抜いていることに気がついていないようだ。
「様子をみていた。勝てそうだ」
起き上がると、オレは先程みつけた隙を確実につこうと身体を構える。
「へっ、負け犬の遠吠えにしか聞こえない」
オレの言葉に触発されたのか勢いよく襟元に掴みかかってくる。この技のもってきかたは、柔道の技に似ている。
オレは組に拾われてから、ありとあらゆる格闘技を研究した。
そこで居場所を作るのは、己の力しかなかったからだ。
きっとここでも同じだろう。
掴まれた腕をぐいと掴み返して、前のめりになる足を払ってぐいと持ち上げる。
国一番の手練だけあり、足払いには耐えようと力をいれていれてきたが、後ろ足にも続けざまに蹴りを食らわせた。
ぐらりとよろめいた首筋に、手刀を叩き込むとぐぶぇと声を漏らして床に崩れ落ちた。
少し力を入れすぎたか。
ぐったりした身体を掴んでひっくりかえすと、バロンはすっかり伸びていた。
まあ、確かに強い方だとはおもうのだけど、オレの方が数倍経験値が高いな。
「をい、大丈夫か」
軽く身体を揺すると、ふと目を開けて悔しそうな表情を浮かべる。
「ゆ、油断しただけだからなっ」
負けず嫌いな必死の形相に、残してきた嫁を思い出して思わず笑いがこみあげてきてしまう。
組長の娘だけあって気丈で、オレが死んでも悲しむようなか弱い嫁ではないが。
元気でやってるだろうか。
「そうだな。オレも最初は手を抜いていたし。もう一度やるか」
「……いや、いい。俺が本気を出してもお前の本気に勝てないことは、今ので分かった」
少し間を置いてそう答えると、教えることはなさそうだと拗ねたように頬を膨らませる。
ちょっと子供っぽくて、思わず見ていて庇護したくなってしまう。
「しかし、オレの知っている格闘技のどれでもない技だ。全部見せて教えてくれ。きっちり覚えよう」
「……そうしたら、この技の国一番は俺ではなくなっちまうじゃないか」
1番がいいのだと子供のようにごねるバロンにオレは思わずその髪をくしゃくしゃと撫で回す。
「拗ねるなって……オレは何としても元の世界に戻るつもりだし……一応、妻も子供もいるしな。オレがいなくなりゃ、元通り、オマエが一番だからな」
バロンは少し考えてから、うんと頷いた。
「体の割に弱いのか」
こちらがわざと手を抜いていることに気がついていないようだ。
「様子をみていた。勝てそうだ」
起き上がると、オレは先程みつけた隙を確実につこうと身体を構える。
「へっ、負け犬の遠吠えにしか聞こえない」
オレの言葉に触発されたのか勢いよく襟元に掴みかかってくる。この技のもってきかたは、柔道の技に似ている。
オレは組に拾われてから、ありとあらゆる格闘技を研究した。
そこで居場所を作るのは、己の力しかなかったからだ。
きっとここでも同じだろう。
掴まれた腕をぐいと掴み返して、前のめりになる足を払ってぐいと持ち上げる。
国一番の手練だけあり、足払いには耐えようと力をいれていれてきたが、後ろ足にも続けざまに蹴りを食らわせた。
ぐらりとよろめいた首筋に、手刀を叩き込むとぐぶぇと声を漏らして床に崩れ落ちた。
少し力を入れすぎたか。
ぐったりした身体を掴んでひっくりかえすと、バロンはすっかり伸びていた。
まあ、確かに強い方だとはおもうのだけど、オレの方が数倍経験値が高いな。
「をい、大丈夫か」
軽く身体を揺すると、ふと目を開けて悔しそうな表情を浮かべる。
「ゆ、油断しただけだからなっ」
負けず嫌いな必死の形相に、残してきた嫁を思い出して思わず笑いがこみあげてきてしまう。
組長の娘だけあって気丈で、オレが死んでも悲しむようなか弱い嫁ではないが。
元気でやってるだろうか。
「そうだな。オレも最初は手を抜いていたし。もう一度やるか」
「……いや、いい。俺が本気を出してもお前の本気に勝てないことは、今ので分かった」
少し間を置いてそう答えると、教えることはなさそうだと拗ねたように頬を膨らませる。
ちょっと子供っぽくて、思わず見ていて庇護したくなってしまう。
「しかし、オレの知っている格闘技のどれでもない技だ。全部見せて教えてくれ。きっちり覚えよう」
「……そうしたら、この技の国一番は俺ではなくなっちまうじゃないか」
1番がいいのだと子供のようにごねるバロンにオレは思わずその髪をくしゃくしゃと撫で回す。
「拗ねるなって……オレは何としても元の世界に戻るつもりだし……一応、妻も子供もいるしな。オレがいなくなりゃ、元通り、オマエが一番だからな」
バロンは少し考えてから、うんと頷いた。
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