異世界極道 ~ドタマ弾かれたら勇者になりました~

怜悧(サトシ)

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「嫁さんとかいう柄でもなさそうだけど、可愛いい女だったのかい」
汗をかいたあとに、風呂に入ってからバロンが用意してくれた飯を食べている。
王子のところで出された料理とは違い、家庭料理なのか、何となくかなり懐かしい感じがした。
スープにもどっさりと野菜が入っていて、あたたかかった。
「いや……どうなんだろうな。オレより力は強かったな」
「ちょっと、アンタより強いってもはや女じゃないだろ」
驚きながらバロンが口のものを吹き出しかけて、慌てて飲み込んで噎せるのを眺めて、そうだなとオレは思わず頷いた。
身長は180を越していたし、身体はしっかりした筋肉があったし、胸は……さすがにかなり大きかったが、大抵サラシで押しつぶしていたから胸板にしか見えなかった。
可愛いとは思ったことが、ついぞなかったな。
組長(オヤジ)が孫を欲しがっていたから、行為には及んだが……あれはなんだろう……。
本当に種付け行為だった気しかしない。
兄貴がそろいもそろってゲイだから、自分が産むしかないとアイツも必死だったしなあ。
顔は整っていたし、組長に似てたし……。
「何で結婚したんだ?」
「いや、負けたら結婚するってことになっちまって。組長はお嬢さんを女だし、組に入れたくなくてオレが勝てば諦めさせられるって……」
バロンが目を白黒させている。
さっき散々バロンを負かして格の違いを見せつけたばかりだ。
オレが女に負けるなど考えてもいなかったのだろう。
「オレが負けたら、オレの姐さん枠で入れてやるって」
結局オレは負けて、組長もどうにか娘を結婚させたかったらしいから、策略だったのだろうが。
姐さんどころかスーツ着て特攻かましているのをみると、その策略は失敗してるようだ。
「お前のいた世界は、女まで強いヤツらばかりみたいだな」
「アレは別格だけどな。バロンにも会わせてやりてえな」
「いや……いいよ。怖いし。でも、他の男に抱かれているお前をみたらどう思うんだろうな」
ちょっと考えたが思い浮かばない。
腹をかかえて笑うかもしれないな。
お互いに愛情はない。
オレにいたっては、組長を喜ばせたかっただけだ。
組長に似ていたから、オレは惹かれていたかもしれないけど、少なくとも彼女から愛情は感じなかった。

「……馬鹿にするかな」

戻りたいのは、嫁と子供を置き去りにしたら組長が心配するだろうから。

それだけだ。
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