虹がかかるまで待っていて

怜悧(サトシ)

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流石に丸一日何も食べてないのは厳しいな。
近くで住み込みでも働けるとこはないか。
土砂降りの雨も降り出して、すっかり服も濡れて身体が重く、計画性のない脱走に諦めようかと彼は重たい雨雲を睨みつけた。
「た、助けてッ、いた、痛いッ……ン、グ」
バシャバシャと叩きつけるような雨音に掻き消されそうになりながら、必死で助けを求める叫びが聞こえて、彼は濡れたフードをあげて路地を覗きこんだ。
紅の濡れた髪がぱさりと落ちる。
路地には、黒服の男達が何人か倒れていて、いかにも悪そうな屈強な男達が、学生服の少年の口に布を覆って担ぎあげようとしていた。
誘拐か!?ヤバそうだな。
迷う暇もなく彼はバチャバチャと水溜まりに飛沫を跳ねさせ、高く跳びあがると少年を羽交い締めにしていた男の腰に飛び蹴りを食らわせた。
「ッ!!貴様ッ!どこのもんだ!?」
「どこのもんでもねえよ。それに、人攫いに教える名前はもってねえな」
ふらつく少年を奪うと背中へと庇い、中腰になって男の腹に1発拳を食らわせる。
「おい、オマエ。走れるか?」
問いかけに少年が頷くのを確認して、彼はぐいとその腕を引いて路地から大通りへと飛び出した。
勢いよく走り出したのに面食らったのか、男達の動きは少し遅れて追い始める。
「このまま走るぞ。オマエの家は近いか?」
「……はぁっ、はあっ、えっ、車で……きてたので、分かりません」
ぜえぜえと胸を上下させて辛そうな表情を見て、彼は少年の体を横抱きにした。
「この近くって訳じゃないんだな。オマエ土地勘はないか。まあ、俺もまったくないけど……」
「ごめんなさい。巻き込んでしまって」
すまなそうな声に、彼は走りながら少年の頭をぽんぽんと叩いた。
「いや、みすみす目の前の犯罪を見逃せないし。まあ、そういう遺伝子なのかも」
彼は建物と建物の狭い隙間に入りこむと、追っ手が気づかずに駆け抜けていくのを見送る。
とりあえず、暫くここで身を潜めるのが得策かもしれない。
「ちっと狭いけど……少し辛抱しとけよ」
「はい……」
少年と密着した場所からふわりと柔らかい花の香りがして、ぐらりと視界が歪み彼は壁に腕をついた。
「オマエ……香水とかつけてるのか?」
「いえ……つけていないですよ。僕は、:遠野璃空(とおのりく)といいます。」
「……リクね。俺は、テオ。ホントに香水つけすぎ。遠野って、あの遠野財閥の?」
テオは鼻を摘みながら、少し驚いたような顔をするが、頷いたリクに納得したようになるほどねと言葉を返した。
身代金目当てか利権目当てがわからないが、攫う目的の動機はあり過ぎる。
とりあえず、ここから出てタクシーでもつかまえて、コイツの家まで連れていくしかないかな。
テオは動き出そうとするが、ぐにゃりと地面が歪むような感覚と、ひたすら身体が熱くなり始めて、息を飲んだ。
「テオさん……大丈夫ですか?」
「……いや、ヤバいかな」
動悸が止まらなくなり、顔を覗きこむリクの顔がぼんやりと霞み始めるのに、テオは唾を飲み込んだ。
クソ、風邪なんてひいたことすらないのに、このタイミングで……。
視線を向けると、壁に錆びて朽ちかけたドアが見える。
中に入れれば雨宿りくらいは、できるか。
ずるずると壁沿いを這うようにして、テオはドアをガンッと派手に音をたててぶち殴って破壊した。
「とりあえず……俺は休んでいくから……。リク、オマエは家のもん呼んで帰れ」
「恩人をそのままにして、逃げるなんてできませんッ」
廃墟になっているビルに入り込んだテオの背後から、リクはその腰を抱くように支えようとする。
「いいって、ッふ……ッ、はぁ、ちょっと休めば……ッ」
ブワッと汗が吹き出すような感覚に、足がふらついてテオは床にうずくまった。
香水の香りが強まって脳が痺れて下半身が熱くなってくる。
「な、なに……、すごいにおい、いいにおい……っ、テオさん……もしかして……っ、オメガ……なの」
焦ったような錯乱したようなリクの声に、テオがおそるおそる彼を見上げると瞳孔を見開いて、興奮したような表情を浮かべている。
俺の発情にラットを起こしたのか。
発情期はまだきていなかったし、まったく兆候はなかったのに、こんなのおかしい。
グイッと肩を掴まれ、反射的に振りほどこうとするのに、力が入らずテオは首を左右に振る。
「……お、おちつけ……リク……っ、とりあえず、家のヤツよんで……っ、か、かえれ」
「……ッ、む、むりですッ……」
腰を掴まれてガチャガチャとベルトを外される音に恐怖して、テオは床を引っ掻いて逃げようとする。
学校で行われていた性教育の授業は、テオは全て欠席していた。
オメガ性だとしても、セックスなんかしなくても生きていけると周りにも主張していた。
「ッい、やだ、俺もむりッ……っく」
背中が密着するとぶわっと広がる香りに包まれて、下半身が溶けてしまうかのような熱が広がっていく。
内股からとくとくと粘液が溢れだし、床にぱたぱたと垂れ始める。
こんな……子供にっ、俺はッ。
テオより5歳は下の少年はズボンをぬがして、濡れそぼっている蜜口に、指を押し込みグチュグチュと音をたててかき混ぜている。
「ッく、や……ッめ……ああふ……や、やめっ」
痺れてしまうような脳への刺激と、初めての快感にびゅーびゅーと精液が床に放たれる。
「ごめ……なさい……っ、ごめんなさい」
必死で本能と戦っているのか、リクが謝る声が微かに聞こえる。
謝るくらいなら最初からするなと言いたかったが、喘ぎ声しか出すことが出来なくて、テオは床を爪でガリガリと引っかいた。
ずちゅんッと指より長いモノが身体の中心を貫き、テオは大きく目を見開いた。
「ーーッぐあ、あああっああああっ、や、やっ……ああはあ、う」
痛みはないのに、ぼろぼろと涙が溢れる。
アルファの庇護がないと生きられないと言われる性が嫌で嫌で、セックスなんか一生するもんかと思って生きてきた。
それなのにアルファだとはいえ、子供にすら逆らえずにこんな風に簡単に捌け口にされたことが、心がバラバラになっていくように壊されてしまうような気がした。
「っ、ごめんなさい……テオさん……っ、ごめんなさい」
ラットを起こして腰を振りながら謝るリクが悪くないことは、テオにも理解は出来ている。
「あ、あっ、ンンッ……ああ……や、ゆ、ゆるさねえ……はやく……っ、ぬけっ」
必死で紡ぐ言葉も、無力の証のようでテオは腰を捩って逃れようと床を蹴った。
「んッ……ああ、あっ、や……っああ……ッ」
唇から漏れ出す声が自分の声じゃないように甘さを帯びて、芯から熱くなるような感覚にテオは怯えていた。
こんなはずじゃなかった。
外に出たら一人で生きていけるし、簡単なことだと高を括っていたのだ。
身体能力に恵まれていて、頭脳もそこそこ優秀だったので、他のオメガの奴らとは自分だけは違うと思い込んでいた。
そんなの……思い上がりだった。
自分より身体が小さく庇護対象だった子供に、まったく力も入らず抗うことも出来ずに蹂躙され続けている。
それどころか、頭が痺れてくるような快感にのたうち回るだけしか出来ない。
「ッふ……テオさん……ッとまらない……っ、テオさんごめんなさいッ」
腰をがくがくと動かして、中で何度も達しながらもリクが謝り続けている。
これは本能で少年が悪いわけではないと分かっているのに、悔しくて仕方がない。
「ッ……あ、あっ、ああ……ぬ……いてくれ……ッ……も、やだ……っ、やだ……」
快感に流されてしまいそうな痺れを振り切って、腕に力をこめて逃げようと体を浮かすが、瞬間に脳天を貫くような首筋の痛みと痺れに目を見開く。
「ーーッイ……ッや……ッあああああ」
がぶりとリクはテオを逃さないように首筋に噛み付いている。
身体はどろりと内部から溶けてしまうかのように、じくじくと疼き自然に脚が開いてしまう。「あっ、ああっ……ひ、ッああ……とけひゃ……ああっ、いいっ……ッああ」
声をあげなければ、内部から壊れてしまうように感じて、ズッズッと中を擦られる度に床に顔を擦り付けて嬌声をあげつづけた。



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