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第22話→sideR
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「俺の彼氏の店に監禁されてんだけどな。もし、オマエらが奪取したら、困ったことに彼氏に迷惑かかんだよ」
それ以上には情報を与えられないとばかりに、工藤さんは首を横に振った。
彼氏とか、ちょっとビックリしたが、まあ、ヤクザでもそういうこともあるだろう。
「…………生きてはいるんっすね?」
なんとかして、どうにかして取り戻さないとならねー。
「ああ、松川の仲間が奪ったもんの肩代わりで金を返すとかで、身売りしてる」
「いくらだか、わかりますか。話つけて、俺が金を出します」
逃げたり奪取したりしても、結局は逃げきれないし、その後まともに生活なんかできない。
いくらだろうか。
足りなければ借金しでても出さないとならない。
「バカだな。素直に金払ったら、カモにされるぞ。簡単にそんなこと口にするなよ」
工藤さんは馬鹿にしたように俺を見返した。
じゃあどうすりゃいい。
1千万でも2千万でも、俺はハルカのためなら惜しくはない。
「んー、じゃあ、俺たちが事務所乗り込もうかな。流石に高校生が乗り込んだら、卑怯なことはできないだろ?」
士龍がゆっくりとした口調で、工藤さんに問いかける。
「ヤクザ舐めるなよ。ガキ」
「ナメてはいないすよ。ただ、ちゃんと話をつけにいくってだけで。工藤さん、事務所の場所を教えてください。お金の話はあるかもしれないから、峰ちんも覚悟はしといて」
工藤さんを見据えて、士龍は小さく不敵に笑う。
不敵な態度はいつだって変わらない。
ハルカが好きだったってことも含め、そういう余裕ぶったところが俺は気にくわなかった。
「俺はこれ以上かかわらないからな。そこの地域をシメてる若頭には関わりたくねーんだ。後輩のためだから、仕方なく情報をくれてやってるだけだ」
工藤さんは意外にいいやつなのかもしれない。
忠告はちゃんと聞いておく。
金の話は最後にしよう。
「若頭か、スゲー強そうだな」
「サクラトラノブ、うちの組の武闘派No.1だ」
いつ乗り込むか。なるだけ早くなんとかしたい。
遅くなって手遅れになっちまったらと思うといてもたってもいられず今から乗り込みたいくらいだ。
「峰ちん、明日の13時に○○駅に集合。精鋭だけ連れてく。数は少ないけど、抗争するつもりないしね。あと、将兵も来てくれる?」
「俺がフッた話だから当然だ。まあ、職場に迷惑かけんように、コスプレしてくかな」
早速とばかりに仕切り出す士龍に、ニヤニヤと将兵は笑って答える。
「え、魔法少女的なコスプレ?」
「アホか。学ラン着てくだけだ」
将兵と士龍がアホな掛け合いをしているのも、なんとなく落ち着く。
「平日だけど、オマエら学校いいのか?」
ふと気になって聞いてみたが、士龍は不思議そうに俺を見下ろすと、
「朝の出席しかとらねーだろ。うちのガッコ」
「だ、だよな」
そんなことを思い出したり考えている余裕もなくなっている。
「まあ、後輩。あんまり無茶するな。危なくなったら、俺の名前出していい。謹慎中だが、元組長の息子だし、それなりに口はきける」
「話つけるのは無理すよね」
五十嵐さんはなるだけコッチに火が飛ばないように頼んでくれる。
「ちょっと、相手が苦手っていうか、色々あって顔を合わせたくなくてな。オマエらが詰んだのなら仕方ないが」
もごもごと言いづらそうな表情でいう工藤さんにこれ以上頼めそうもなかった。
「大丈夫っす。危なくなったら、連絡するんでケーバン教えてください」
工藤さんの携帯番号を登録する。
まあ、秘密情報をここまで話してくれるだけで非常にありがたい。
見た目より話は分かる人らしい。
決行は明日だ。
どうにかして、取り戻す。
殺されたり、死んだりしたら、俺は一生自分を呪う羽目になる。
「峰ちん、あんまし思い詰めるなよ」
俺の焦燥を分かってるとばかりに、士龍は肩を優しい仕草でたたいた。
それ以上には情報を与えられないとばかりに、工藤さんは首を横に振った。
彼氏とか、ちょっとビックリしたが、まあ、ヤクザでもそういうこともあるだろう。
「…………生きてはいるんっすね?」
なんとかして、どうにかして取り戻さないとならねー。
「ああ、松川の仲間が奪ったもんの肩代わりで金を返すとかで、身売りしてる」
「いくらだか、わかりますか。話つけて、俺が金を出します」
逃げたり奪取したりしても、結局は逃げきれないし、その後まともに生活なんかできない。
いくらだろうか。
足りなければ借金しでても出さないとならない。
「バカだな。素直に金払ったら、カモにされるぞ。簡単にそんなこと口にするなよ」
工藤さんは馬鹿にしたように俺を見返した。
じゃあどうすりゃいい。
1千万でも2千万でも、俺はハルカのためなら惜しくはない。
「んー、じゃあ、俺たちが事務所乗り込もうかな。流石に高校生が乗り込んだら、卑怯なことはできないだろ?」
士龍がゆっくりとした口調で、工藤さんに問いかける。
「ヤクザ舐めるなよ。ガキ」
「ナメてはいないすよ。ただ、ちゃんと話をつけにいくってだけで。工藤さん、事務所の場所を教えてください。お金の話はあるかもしれないから、峰ちんも覚悟はしといて」
工藤さんを見据えて、士龍は小さく不敵に笑う。
不敵な態度はいつだって変わらない。
ハルカが好きだったってことも含め、そういう余裕ぶったところが俺は気にくわなかった。
「俺はこれ以上かかわらないからな。そこの地域をシメてる若頭には関わりたくねーんだ。後輩のためだから、仕方なく情報をくれてやってるだけだ」
工藤さんは意外にいいやつなのかもしれない。
忠告はちゃんと聞いておく。
金の話は最後にしよう。
「若頭か、スゲー強そうだな」
「サクラトラノブ、うちの組の武闘派No.1だ」
いつ乗り込むか。なるだけ早くなんとかしたい。
遅くなって手遅れになっちまったらと思うといてもたってもいられず今から乗り込みたいくらいだ。
「峰ちん、明日の13時に○○駅に集合。精鋭だけ連れてく。数は少ないけど、抗争するつもりないしね。あと、将兵も来てくれる?」
「俺がフッた話だから当然だ。まあ、職場に迷惑かけんように、コスプレしてくかな」
早速とばかりに仕切り出す士龍に、ニヤニヤと将兵は笑って答える。
「え、魔法少女的なコスプレ?」
「アホか。学ラン着てくだけだ」
将兵と士龍がアホな掛け合いをしているのも、なんとなく落ち着く。
「平日だけど、オマエら学校いいのか?」
ふと気になって聞いてみたが、士龍は不思議そうに俺を見下ろすと、
「朝の出席しかとらねーだろ。うちのガッコ」
「だ、だよな」
そんなことを思い出したり考えている余裕もなくなっている。
「まあ、後輩。あんまり無茶するな。危なくなったら、俺の名前出していい。謹慎中だが、元組長の息子だし、それなりに口はきける」
「話つけるのは無理すよね」
五十嵐さんはなるだけコッチに火が飛ばないように頼んでくれる。
「ちょっと、相手が苦手っていうか、色々あって顔を合わせたくなくてな。オマエらが詰んだのなら仕方ないが」
もごもごと言いづらそうな表情でいう工藤さんにこれ以上頼めそうもなかった。
「大丈夫っす。危なくなったら、連絡するんでケーバン教えてください」
工藤さんの携帯番号を登録する。
まあ、秘密情報をここまで話してくれるだけで非常にありがたい。
見た目より話は分かる人らしい。
決行は明日だ。
どうにかして、取り戻す。
殺されたり、死んだりしたら、俺は一生自分を呪う羽目になる。
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俺の焦燥を分かってるとばかりに、士龍は肩を優しい仕草でたたいた。
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