朝焼けは雨

怜悧(サトシ)

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※第49話→sideH

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俺はすぐに反射的に起こった体の変化に、思わず後じさりながら、水上から距離をとった。

ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ!

激しい危機感に頭の中で警鐘がガンガンと鳴り響く。
関わってはいけないと、何度も何度も頭の中の理性は叫ぶが、なんだか身体は重たくて仕方がないように動かない。

「へえ…………こんなに早く会えるなんて、僕のおこないが良いから、きっとトイレの神様が願いをかなえてくれたのかな」

すぐそこに便器があるのに、俺は用を足すことも出来ずに恐怖と身体の歓喜に何もできなくて佇んでしまう。
「…………く、くるな……、くるな」
頭の中の警鐘が、ガンガンと脳内を響かせて痛みを与えてくる。
「酷い言い草だね。……あんなに可愛がってあげたというのに」
少し眉を寄せて端正な顔を、わざとらしく悲しそうに歪める。

これ以上は、堕ちたくはない。

なにより、ライに今度こそ顔向けができない。

「串崎からは聞いたよ。ハルカ。お迎えがきたんだって?本当の飼い主だったの?」
制止もやむなく、水上は俺の傍にきて視線を下半身に向けてふっと笑みを刻む。
「飼い主とか…………じゃねえ」
「また、言葉遣い忘れちゃったのかな。せっかく、可愛くしつけてあげたのに台無しじゃない。でも、身体の方は覚えが良かったみたいだね」
笑いながら俺の腰に腕を回してくる。
いま蹴り倒さなければ、また逆戻りだ。
水上の視線から逃れながら、首を左右に振る。

「…………契約は終わった。それだけの話だろ」
「そうだね。串崎にした契約は終わったけど、ハルカ、君と今度は新しく結べばいいことだよ」
耳に心地の良いテナーの声を響かせ、俺の下肢を視線だけでいたぶるような目を向ける。
水上は、面白がるように笑みを向けて、
「君の意志が大事だからね。契約、したくなったらいつでもおいで」
ポケットから、1枚の紙を取り出すとジャケットの中に押し込める。

「欲求不満って顔でわかるよ。君を満たせるのは、僕だけだって、すぐにわかるよ」

自信満々に言ってのけると、彼は俺の脇をすり抜けてトイレを出ていった。

俺は膨らみ腫れてしまった、股間に目を落として唇を噛み締めると、個室の中へとかけこんだ。
どうにもならない滾りと、敗北感で胸を締め付けられてジャケットの中の紙を破り捨てようと取り出したが、何故か破れずに、胸元にしまいこんだ。


個室で勃起した下半身をどうにかしようと必死になったが、俺は排泄の許可は貰ったが、射精の許可をされていないことに気がついて頭が真っ白で絶望的になる。

トイレからもでられずに、うずくまる。
身体が疼いて仕方がなくて、おかしくて、たまらない。携帯も持ってねえし、ライに連絡をとる手段もない。

「……ハルカ?…………ハルカいるか?」

他の客もいないからなのか、遅いのを心配してかライの声が反響して響くのが聞こえる。
俺はどうにか、トイレの個室のドアを2回ドンドンと叩いて、ライに聞こえるように合図してからドアの鍵をあける。
すぐにライはドアを開いて、俺を見ると、すぐさま中に入ってきて鍵をかけて便座に座ったままの俺の肩を掴む。
「をい、大丈夫か」
少し声を潜めてくれるのは、俺への配慮だろう。
「…………ライ…………頼む…………出したい」
「ああ。……ああ、急に発情しちまったのな。…………もっと早くくればよかったな。説明書にはなかったけど、辛かっただろ」
優しい手つきで勃起した俺のペニスを掌で迷わずつつみこんで、緩やかに擦ってくれる。
こころは、ひどくやましい気持ちでいっぱいだ。

勃起した理由が、水上と会ったからだなんて、ライには死んでも言えない。
くちくちとすりあげる、優しい刺激に俺はライの胸元へと頭を埋めて頭を擦り付ける。

「…………ン……ッ…………ふ…………ッ、ライ…………ッ」
じんじんと下半身が、痺れて仕方がない。
「ああ、大丈夫だよ。…………出していいよ。ハルカ」
優しい声で、ペニスの先にトイパをあててライは許可を与える。

声をあげないようにライの身体をぐいと抱き寄せ、ティッシュをあてられて、安心して俺は体液を吐き出した。

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