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しおりを挟むあの結婚式から、何日たったのだろう。
人生の絶頂とも思える幸せを手にしたと思ったのに。
番を得てから初めて他の男と交わる感覚は、激痛のみで全く快感はなかった。
いつものような内側に注がれることへの蕩けるような快感も消えうせて、圧迫感と迫りあがる吐き気に襲われ続けていた。
番以外の男との交わりが、こんなに辛いものだとは考えてもいなかった。身体に取り込まれる番以外の体液はまるで劇薬か何かのように、脳内へと激痛が走りまわる。
何度も雄を咥え込まされた内側が、それじゃないと叫ぶようにびりびりとする激痛を脳の裏側へと与えてくる。
激痛で全身の感覚がなくなっていて、悲鳴をあげすぎて声がすっかり掠れて声帯も壊れ果ててしまった。
動くことすらできない肉塊でしかないかのように、無理矢理セックスをさせられていることはわかっていた。
意識も混濁していて、誰かに話しかけられているのに言葉の意味もわからない。
どうやって逃げようと考えていたのがいつのことだったか、もう遠い昔の話のようで身体もバラバラになってしまっているような感覚だった。
毎日のように続けられている行為と、いつまでこの苦痛が続くのか分からず希望も失われて、精神的にもすっかり参ってしまっていた。
少なくとも百回以上は繰り返された行為、行為の度に意識を失ってしまい、彼にはどれくらい時間が経っているのかすら分からなくなっていた。
徐々にセックスの回数が減っていき、ある日を境目に行為はおこなわれなくなり苦痛はなくなったが、身体の自由は奪われたままだった。
意識は少しづつ回復してきている。
しかし脳波が正常に戻る前に睡眠導入剤かなにかを注射されて、起きている時間などはないに等しかった。
このまま、死ぬのかもしれない。
何かの実験体……にされてるのかもしれない。
精神をこれ以上すり減らさない様に、眠りでコントロールしようとしているのだろう。
何も考える時間がなければ、精神の安定はいくらか保てると言う考えなのか。
どちらにしろ……無理矢理生かされているのが分かる。
何のために、だ。
疑問がいっぱいだったが、考えがまとまる前にまた意識が睡眠で遮断された。
「博士。無事に受胎して安定期に入っているようですよ。どうしますか、スーツ脱がしますか。手足の筋肉も落ちてしまってますから、安全にはなったと思いますよ」
「そうだね。随分手足も細くなっているようだね」
聞こえてくる声に、統久は反応しているのか細い指先がゴムのスーツの中でぴくんぴくんと動く。
「滅菌処理した部屋なので、体に汚れはないとは思いますが、念のため洗ってから部屋を用意しましょう。父親には、今週面会できると連絡を入れます」
肌が外気に触れる爽快感と、光が射しこむ視界はぼやけていて何も映らない。
全裸の身体を生ぬるいシャワーで体を誰かに洗われているのが分かるが、体に感覚がないことに彼は焦燥を覚えた。
これじゃ……動けないままじゃないか。
激痛にあまりにも長い期間晒されすぎて、全ての神経が麻痺してしまったようだ。
眩しすぎる光に目を全て開けることができず、体をぴくりと動かすこともできないので、スーツに覆われていた時と状況は全く変わらないようだった。
どうにかして、逃げ出さないといけない。
ナノマシンに繋ごうとするが、やはり反応がない。
彼は検査着を着せられると、ストレッチャーに載せられて部屋に移動されていく。
まるで、人形のようだな。
はやいとこ脱出の方法を考えなきゃいけないのに、うまく頭が回らない。
「聞こえているのかな。目はまだ見えてないみたいか」
問いかけの言葉だけがぼんやりと耳に響くので、適当に相槌を打つ。
ここでは実験モルモットとして扱われているのだろうか。
もやもやとする感覚は、ここがどこでどうなっているのか分からないからだ。
人身売買で売られるとしたら、こんなに衰弱させてはオメガであっても価値がなくなるはずだ。
美しくて綺麗なオメガが欲しがられるはずで、こんなに衰弱して死にそうな男など買い手はつかない。
いや、元々こんなトウがたった番付きのおっさんのオメガでは、買い手がつかなかったから、実験材料にされているのかもしれない。
この組織が何を目的にしているか皆目検討がつかなかった。
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