猛獣のツカイカタ

怜悧(サトシ)

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「俺は……触るな、と言ってる」
 工藤は酷い格好ながらも威圧感を醸し出すが、液体の中に何かが混入されていたのか、じんじんと肌に染み込んでくるような熱に頭がぼーっとしてくるのを感じて眉を寄せた。
「このローションの中には、強い媚薬が入っているの。ちんこが熱くて仕方ないでしょう」
 言い聞かせるように串崎は囁き、そのローションをもうひと掬いすると、アナルの周りにゆっくりと塗りつけていく。
 熱がすっかり体を侵食してしまって、工藤は何度もかぶりを振って熱を逃そうと必死に抗う。
「愉しみでしょう。貴方もじきここが熱くなって、女の子みたく中に欲しがるようになるのよ」
 誘うかのように囁く串崎の声に、工藤は何度もかぶりを横に振る。
「てめえ……、くそ、ゆるさね……ェ」
「許すも許さないも、そうなるのよ」
 串崎は諭すように耳元で囁き、熱に震え始めた入り口へと指を這わせ、つぷんと人指しゆびを押し込んで緩くくるくると回すように撫でる。
「ぬ、ぬけッ……ふざけ、ん、なッ、ううう」
 内部まで熱をもって辛いはずなのに、工藤は喘ぎ声を堪えるかのように奥歯をギリギリと削るくらい強く噛みしだいて咆哮する。
「いいかしら、甲斐?ここはこれから、貴方の性器になるの。ご飯を食べるのも、排泄するのもあたしに許しを乞わないといけないのよ」
 くちゃくちゃっと出し挿れをおこなう指の動きを速め言い含めるかのように、相手の名前を言葉に刻んで顔を覗きこむ。
 攪拌されるように指が徘徊する胎内の動きに、たまらないように腰を捩りながらも、消えない炎のようにぎらついた目で工藤は串崎をねめあげる。
 陥落するには程遠いくらいの自意識の強さに、思わず串崎は目を見張る。
 大抵の男はこの辺で観念して声をあげて快楽に溺れ始めるのが常である。
「……ッくッ……ぶち、ころ、して……やるッ」
 眸の奥に見える薄昏い光は、何人かは本当に闇に屠っているような純粋な殺意そのものである。ぎらつく肉食獣のような獣の眸に、ぞくりと串崎は背筋を凍らせる。
 
 これは……、厄介すぎるわね。
 
 若い見た目ながら常人を超えた獰猛さには、佐倉の上司として組の中で権力をもって君臨していたということも頷ける。
 きっと人を殺すことでさえ、この男のようなタイプは躊躇ったりはしないだろう。
 それでも、こんな男だとしても人間である。心を折るためにはどうすればいいかなんて、串崎には慣れた手腕であった。
 ただ、工藤の目の奥にあるぎらつくような輝きを潰してしまう考えに、珍しくも躊躇いをみせた。
「甲斐、聞くのよ。悪いようにはしないから、アタシに任せたほうが貴方は楽になれるから」
「……ざけんな……ッ、早く、ゆびを、ぬけ」
 薬によって燻った熱で身体がうかされているはずで、既に刺激が欲しいと体は訴えている筈なのに、それでもなお拒絶を優先する。 
 血走った目で相手を射殺すように見上げる男に、串崎は己の中に潜ませていた残虐性が、解き放たれるのを感じた。
 トラさんも、本当に大変なモノを押し付けてくれたわね。これを壊しもせずに従順に服従させろだなんて。無理難題もはなはだしい。
「いいわ。甲斐……じゃあ抜いてあげる」
 くすっと哂いを浮かべると串崎は指をくいっと引き抜いて、ローションの瓶を手に取ると注ぎ口を工藤のひくひくと震えているアナルの入り口へと押し付けてとくとくと中身を傾ける。
「ッ……あ、てめ、え。何、し……やがる、俺は、抜けっていっただろッ」
「だから指を抜いてあげたでしょう。ちゃんと言うことを聞かないとどんな目にあうか、貴方も分からないといけないものね」
 串崎は唇をきゅっと引き上げ、瓶が空になるまで注ぎ込むと、プラグを工藤のアナルへと挿し込んで、ゆっくりと少し膨れた腹を撫でる。
「結構効き目のある媚薬だもの。もう、お腹の中が熱くて仕方がなくなってくるでしょう。うふふ、おなかもぽっこりして、まるで子供でも孕んでいるみたいね」
 串崎は背後からそっと抱き起こして、ゆっくりとペニスの先端を指でつつく。
「ふ、ざけ……んな、さ、わんな……」
 大量に胎内に吸収した媚薬に、既に体は敏感に反応し始めているのに、それでもまだ意地を張り通すつもりらしい様子に、串崎はふっと鼻先で笑った。
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