炎上ラプソディ 

怜悧(サトシ)

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「ぐぉ!!このやろォ」
急に避けたこともあり、捻った体はバランスを崩す。
すぐさま前から来た男が銃を取り出すのを視界にとらえ、シェンは腕を払って銃を跳ね除ける。
手練相手はかなり苦しいな。

逃げるしかないか。

「荷物は運んで渡したし、オレの仕事は終わりだからな」
蹴り倒した男が体勢を整える前に再度蹴りつけて、飛びのくように出口に向かって床を蹴る。
「ッ、逃がすな!!」
男の合図で倉庫内からわらわらと黒服の男達が出てくる。
ヒュンヒュンと脇を掠めるレーザー光線にキモを冷やして、舌打ちをする。

こんな蜂の巣になる以外どうすりゃいいんだ。
途端、脇腹に焼け付くような痛みが駆け抜ける。
手で触れたぬるっと生暖かい感触に、眉を寄せる。

ざ、けんな。
避けきれないし、このままじゃ動きは鈍くなっていくばかりだ。

『シェン、右の壁の裏!』

耳の中から響く声に従って、壁を飛び越えて裏へと回ると、見知った黒髪の男が勢いよく手にしていた手榴弾を壁の中に投げ込み、シェンの体を背負う。
「ちょっ、何でいるんですか、中隊長」
「待機してた。さっさといくぞ」
人を担いでの速さと思えない速度で、走り始める統久の背で安堵しつつも、さっき蹴り倒した男から拝借した端末を統久のポケットへと滑り込ませる。
「大方内部抗争の状況を漏らされなくなくて、口封じだろう。深追いはしてこないよ」
統久は告げて、古びた建物に入ると漁宿のようで金を払うと部屋へ入る。
「簡単な応急処置だけしておこう」
「掠っただけだ」
脇腹を抑えながら強がるシェンに、統久は首を軽く振って、シェンをベッドへと降ろす。
「ほっとくと炎症をおこすし、辺境だからか空気は綺麗じゃない。感染症をおこして全身膿だらけになって死ぬぞ」
冗談じゃないと呟いて、シェンのシャツを掴んで引き裂く。
「え、あ、あの.....ワイルドすぎるんですけど」
「あ、穴空いてるし、血だらけだし。このシャツ必要か?」
不思議そうに問い返しつつ、シャツをよって紐状にすると、傷の上にグイグイと巻き付けて血止めにする。
備え付けの紙を手にして消毒剤をバッグから取り出スト手際よく綺麗に拭き取り、シャツの綺麗な所をあてて巻き付ける。 

「半裸の方が臨場感でるよな」
何か納得したように頷くと、錠剤をシェンに手渡す。
「なに?」
「あー、痛み止め。今は興奮して痛くないだろうけど、飲んでおけ。残りは半日おきに飲めよ」
「ありがとう、優しいのな」
「当たり前だ。お前にはこれからもっと活躍してもらわないとなんないから」
肩をそびやかす様子に、シェンは照れ隠しが下手すぎると呟いて、錠剤を口に放り込んだ。


「結構手癖も悪いのな」
ポケットに忍ばせた端末をいじりながら、統久は地図で逃走経路を確認している。
「まあ、それなりに昔はヤンチャもしたしな。アンタも収容所入るくらいのワルだったなら、そういうの分かるだろ」
シェンは、傷口がしっかりおさえられているのを確認すると、シューズの紐をしっかりと締める。
「俺は良いとこのお坊ちゃまだからな。収容所も、性犯罪の方だし、お前みたいな肝の座り方はしてないよ」
「お坊ちゃまが自分でそういうかな」
肩を聳やかせて、不審がるように相手を見返すと手に渡されたケースに視線を落とす。
「とりあえず、粒子爆弾。危険を察知したら逃げろ。命を最優先で」
告げた言葉には嘘はないようで、外の状況を確認したのか窓から飛び降りろと視線を向ける。

「すいません、ルームサービスです」

外から響く声と同時にシェンが外へと飛び出すと、マシンガンが部屋の扉を蜂の巣にして、黒服の男たちがなだれ込んでくる。
「クソっ、逃げられたか」
「お前らの相手はとりあえず俺でいいよな」
ニヤリと統久は笑うと手にしていた手榴弾を投げつけマシンガンを奪うと、入ってきた男達が爆発と炎に巻かれるのをマシンガンを撃ちまくりながら次々に撃ち倒して逆走する。

「中隊長さん、大丈夫か?」
爆炎の音に振り返り走り出すが、統久はついてはこないようだ。
なにやってんだ。
『シェン、さっさと行け。こっちは俺が潰しておく』
腕の通信機を使っているようで、まだ余裕があるようだ。

「ありがてえこった」

シェンは、宇宙港へ向かって走り出した。
港までつけば、運送会社の迎えがきているてはずなのだ。
ここで戻ればきっと、さらに深い場所が開ける。あと、3ヶ月でなんとかしてやるからな。
シェンは勢いをつけて駆け抜けた。
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