22 / 34
22 side Hasegawa
しおりを挟む
朝の日課である校門検査。
毎日続けてはいるが、特に立っているだけですることは殆どない。
校則を守らない生徒は、まったく皆無で形ばかりの校門検査である。
こんな風に、校門に立たなくとも成春以外の生徒で問題を起こすような生徒はいない。
やるだけ無駄とも思うのだが、校門検査を始めたのは去年かららしいので、ほぼ風紀の威信をかけた成春のためだけの検査だ。
「オハヨウ、西覇」
ふいにかけられた聞き覚えのある低い声に、この時間は避けているはずではと不審に思って振り返り、
「おは……よ………ございま…………って…成春さん!?」
オレは目を丸くして、その姿を凝視した。
トレードマークだった綺麗な金色の髪は、今時の生徒ならよくあるちょっと深めのブラウンカラーに染められている。
青色のカラコンも今日は入っていないし、ピアスも外しているらしい。
制服はどう着ているのか分からないが、コートを着ているのもあり、他の生徒と寸分変わらぬ格好である。
「……まぁ………あーと、約束したしな……」
以前、勉強を教えていた時に言っていた、トップ10に入ったら髪を染め直すという約束を守ってくれたのだ。
あの時は変えないと言い張っていたが。
髪の色を変えただけで、どこからどう見ても爽やかなイケメンである。
そんな些細な約束も忘れず守ってくれようとするのが、オレは本当に愛しいと思う。
こんなにオレも人に絆されやすいタイプではないはずなのだが、いちいち行動が自分にとってすごく好ましい。
「凄く…………似合ってますよ」
さらさらの髪は色が変わっただけでも変わりはない。
「本当か。なんだかもう、すっかり金髪だったから慣れねえけど」
周りの視線を避けるように回り込んだ、成春はオレの肩に手を回して耳元で囁く。
「今日は、寒ぃから昼飯、食堂いこうぜ。髪直したし、俺と一緒にいるの他のやつらに見られてもさ、オマエ、困らないよな」
別に金髪の時に一緒にいても困らなかったが、初めに迷惑だと告げたことをずっと気にしていたのだろう。
いきなりつるもうとか言われた時には迷惑だと思ったし、そのままを告げた。
確かに、一緒に昼飯を食べるようになっても、屋上以外で、成春はオレに声をかけてはこなかった。
言われたことを結構気にするタイプなのだなと思う。
人に言われたことなど全部スルーするアニキとは違う。根本的に凄くまじめな人なのだ。
「約束もあったけどよ。ちょっとでも、オマエと一緒にいてえなって思ったから、髪染めたンだ」
そういうことを何の臆面もなく言ってのけるあたり、本当に困った人だと思う。
そんなのオレに我慢なんかできるわけない。
「成春さん、僕を煽ってます?貴方が好き過ぎてどうにかなりそうだ」
「テメェ……。ンなこと、ここで言うんじゃねえよ」
首筋まで真っ赤になって照れる様子を誰にも見せたくないと思うくらい、オレはみっともないくらいの独占欲が沸くくらいにこの人が好きなのを自覚する。
オレは、人間を信用なんてしてなかった。ましてや、正直人を好きになることがあるなんて思わなかった。
父や兄のことを知れば、手のひらを返したように離れていった友人たち。
何度も期待しては裏切られた。
どんなにほしいと願っても手に入らないと思っていた。
「んじゃァ、オツトメ頑張って。昼休み、待ってるからな」
にっと笑って、さらさらの茶色い髪を風にふわっと舞わせて、成春はぺったんこのカバンを抱えて校舎へと向かっていった。
デジャブ。
いつか見た、春のあの日の笑顔に重なった。
毎日続けてはいるが、特に立っているだけですることは殆どない。
校則を守らない生徒は、まったく皆無で形ばかりの校門検査である。
こんな風に、校門に立たなくとも成春以外の生徒で問題を起こすような生徒はいない。
やるだけ無駄とも思うのだが、校門検査を始めたのは去年かららしいので、ほぼ風紀の威信をかけた成春のためだけの検査だ。
「オハヨウ、西覇」
ふいにかけられた聞き覚えのある低い声に、この時間は避けているはずではと不審に思って振り返り、
「おは……よ………ございま…………って…成春さん!?」
オレは目を丸くして、その姿を凝視した。
トレードマークだった綺麗な金色の髪は、今時の生徒ならよくあるちょっと深めのブラウンカラーに染められている。
青色のカラコンも今日は入っていないし、ピアスも外しているらしい。
制服はどう着ているのか分からないが、コートを着ているのもあり、他の生徒と寸分変わらぬ格好である。
「……まぁ………あーと、約束したしな……」
以前、勉強を教えていた時に言っていた、トップ10に入ったら髪を染め直すという約束を守ってくれたのだ。
あの時は変えないと言い張っていたが。
髪の色を変えただけで、どこからどう見ても爽やかなイケメンである。
そんな些細な約束も忘れず守ってくれようとするのが、オレは本当に愛しいと思う。
こんなにオレも人に絆されやすいタイプではないはずなのだが、いちいち行動が自分にとってすごく好ましい。
「凄く…………似合ってますよ」
さらさらの髪は色が変わっただけでも変わりはない。
「本当か。なんだかもう、すっかり金髪だったから慣れねえけど」
周りの視線を避けるように回り込んだ、成春はオレの肩に手を回して耳元で囁く。
「今日は、寒ぃから昼飯、食堂いこうぜ。髪直したし、俺と一緒にいるの他のやつらに見られてもさ、オマエ、困らないよな」
別に金髪の時に一緒にいても困らなかったが、初めに迷惑だと告げたことをずっと気にしていたのだろう。
いきなりつるもうとか言われた時には迷惑だと思ったし、そのままを告げた。
確かに、一緒に昼飯を食べるようになっても、屋上以外で、成春はオレに声をかけてはこなかった。
言われたことを結構気にするタイプなのだなと思う。
人に言われたことなど全部スルーするアニキとは違う。根本的に凄くまじめな人なのだ。
「約束もあったけどよ。ちょっとでも、オマエと一緒にいてえなって思ったから、髪染めたンだ」
そういうことを何の臆面もなく言ってのけるあたり、本当に困った人だと思う。
そんなのオレに我慢なんかできるわけない。
「成春さん、僕を煽ってます?貴方が好き過ぎてどうにかなりそうだ」
「テメェ……。ンなこと、ここで言うんじゃねえよ」
首筋まで真っ赤になって照れる様子を誰にも見せたくないと思うくらい、オレはみっともないくらいの独占欲が沸くくらいにこの人が好きなのを自覚する。
オレは、人間を信用なんてしてなかった。ましてや、正直人を好きになることがあるなんて思わなかった。
父や兄のことを知れば、手のひらを返したように離れていった友人たち。
何度も期待しては裏切られた。
どんなにほしいと願っても手に入らないと思っていた。
「んじゃァ、オツトメ頑張って。昼休み、待ってるからな」
にっと笑って、さらさらの茶色い髪を風にふわっと舞わせて、成春はぺったんこのカバンを抱えて校舎へと向かっていった。
デジャブ。
いつか見た、春のあの日の笑顔に重なった。
0
あなたにおすすめの小説
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
もう一度言って欲しいオレと思わず言ってしまったあいつの話する?
藍音
BL
ある日、親友の壮介はおれたちの友情をぶち壊すようなことを言い出したんだ。
なんで?どうして?
そんな二人の出会いから、二人の想いを綴るラブストーリーです。
片想い進行中の方、失恋経験のある方に是非読んでもらいたい、切ないお話です。
勇太と壮介の視点が交互に入れ替わりながら進みます。
お話の重複は可能な限り避けながら、ストーリーは進行していきます。
少しでもお楽しみいただけたら、嬉しいです。
(R4.11.3 全体に手を入れました)
【ちょこっとネタバレ】
番外編にて二人の想いが通じた後日譚を進行中。
BL大賞期間内に番外編も完結予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる