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9 ー師匠と弟子の会話ー
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「jó reggelt kívánok!!!」
無駄に威勢のいいおはようが、ギャラリーの扉が開くと同時に飛び込んできた。
「依子さーん! ご盛会おめでとうございます~。来ましたよ~!」
『さくら』の中村が両手を拡げて依子に突進してくる。
その後ろには生暖かい目で中村を見ながらも、微笑みを忘れない斉藤がついて入ってきた。
「あっ、これ! 師匠と私からの差し入れですう~!」
「ずっと店番じゃ、大したもの食べてないんじゃないかと思ってね。ベーカリーと甘いもの。」
「わあ、、、ありがとうございます。感涙です。わざわざ来ていただくだけでホントうれしいのに。」
「いやいや、逆に申し訳ないね。ウチの店開ける前のわずかな時間しか見られなくて。」
「依子さんがいないともー大変ですよ~。ほんと。早く戻ってきてくださ~い!」
「ごめんなさいね。1週間もお休みいただいてしまって。」
「記念すべき初陣だもの。営業なんだから頑張らなきゃ。わかりますよ~。俺も最初は必死だったよ。」
まずは見させてもらおうかな、と言って2人はギャラリーをぐるりとし始める。
今日は金曜の朝、ギャラリー開店は10:00~21:00で、2人は本来なら開店準備に忙しい時間を割いて来てくれた。
会期中の最初の一週間は、シフトも通常通り入れていたが、思ったよりちょくちょくお客さんが来るのと、マルコの店番があまりアテにならないので、無理を言って後半一週間は休ませてもらっていた。
依子は、何気ないフリを装っていたが、内心ドキドキしている。
知り合いの反応というのはけっこう怖い。批評されるのは構わない。
一番傷つくのは、興味を示してもらえないことだ。でも、人には好き嫌いがある。黙って現実を受け止めるだけなのだ。
しかし、依子の不安を吹き飛ばすように、2人は楽しんでくれているようだった。
中村はキャイキャイ言いながら、小物をあれこれ手に取っている。やはり小さきものたちは、年齢に関係なく乙女心をくすぐるらしい。
「いやあ、知らなかったなあ。すごいねえ。なんだ、早く教えてくれればよかったのに~。」
斉藤が話しかける。
「こんな素敵なもの作ってるなら教えてよ~。俺も金ないけど、作品買わせてほしいな。うちの店のコンセプトにもピッタリだしさあ。」
「ホントですか? すごくうれしいです。」
依子はなんだか、うれしくてジワッときてしまった。
「あれっ依子さん、なんかうるッときちゃいました? 大丈夫? 師匠に厳しいこと言われた?」
いつの間にか隣に来ていた中村が依子の肩を抱く。
斉藤はそんな2人を見て慌ててフォローした。
「何言ってんだよ~。褒めたんだよ。」
何もかも捨てて日本を出て一年、ハンガリーに来て身にまとわりついていた重い緊張が、今日は少し解けたようで、依子の涙腺はちょっと緩んでしまったようだった。
ありがとうございます、と何度も呪文のように繰り返しながら、泣き笑いしておしゃべりを続けたのだった。
20分ほど滞在した後、そそくさと店に向かう2人を戸口で見送る際、斉藤が言った。
「依子さん、なんかちょっと雰囲気変わった? 何が依子さんの口角を上げたのかな?」
ニヤリとしながら、ちょっと嫉妬しちゃうぜ、と言い添えて疾風のように2人は去っていった。
(えっ、嫌だなあ。ニヤついてた?なんでだろ。)
なんかいい事あったっけ、と依子は思い返す。
久しぶりに会ったからじゃないか。それか、今までなかった、たくさんのお客さんと話したからかな。ハイになってるのは間違いない。
後は、、とこの会期中に来てくださった人々のことを思い返す。
あ、そうか。偶然に2回も街中で出会ったあの男性が来てくれて、おしゃべりもできたのが一番かな。
年齢がけっこう下なのもあるが、キャラクターがなんとなく依子とかぶるところがあって、放っておけないというか、弟のような親しみを感じずにはいられなかった。
ーーー
「師匠、依子さんのこと狙ってんですか。」
店に向かうために急いで拾ったタクシーの車中で、さっきまでうるさかった中村がひとしきり黙ったと思ったら唐突に聞く。
「君ねえ。ほんとアケスケだよね。なんかさあ、オブラートに包むとかそういうのないわけ?」出たよ、というふうに目を瞑って斉藤はため息混じりに答える。
中村は腕組みしながら珍しく無表情でポソポソと話を続ける。
「依子さんはですねえ、いろんなものを抱えて、傷つきながらやっとここにたどり着いたんです。軽い気持ちで手を出したらかわいそうですよ。かまうんだったらちゃんと覚悟しなきゃ。」
「君いつの間にそんなに依子さんのこと詳しくなったの。」
「いや、全然」
斉藤は隣で軽くずっこける。
「でもなんとなくわかるんですよ。私たちと同じ匂いがするんです。師匠だってわかってるでしょ? だから気にかけてるんだ。」
否定しないで押し黙って斉藤は聞いている。
「私らみたいな人間は、誰とでも満遍なく社交的に振る舞う、ってのが苦手なんだ。常に一直線で一極集中だから、広範囲に神経を張るってことができない。人間関係でもそうだから、1人で好き勝手するのが気楽でいいや、ってなる。おまけにユニークなことが好きだから、人と同じでいたくもない。」
中村は自分自身に語るように滔々と続ける。
「でも、孤独なのが好きなわけじゃない。とても寂しがり屋で、愛されたがりなんだ。不器用だから、人に愛を乞う方法がわからない。傷つけたくない、傷つきたくない。その、人の温もりでしか埋まらない穴を、なんとか別の方法で埋めようとして、人一倍一所懸命に絵を描いたり、料理作ったり、旅に出たり。」
流れる景色の方を見て、中村の表情は見えなくなった。
「だから何かに秀でることはできるけど、結局のところ1番飢えているものに、手が届かないんです。」
斉藤の方に再び顔を向けて、試すように中村が問いかける。
「そうでしょ? 私たちどこか似たもの同士なんだ。 だからなんとかしてあげたくなる。」
「…君、時々すごいよね。」
「時々じゃないすよ。いつも私はすごいです。」
「まあ、君の限りなく前向きな自己肯定パワーは、我々は見習わんといかんとこだよね。」
えへん、と満足げな顔で、いつもの活気に満ちた中村の態度に戻った。
「んじゃまあ、とりあえず、職場の風通しをよくするためにも、依子さんの個展が終わったら慰労会も兼ねて、飲み会でもしますか。1年経つのに歓迎会もしてなかったしな。」
「うぇ~いい!」
中村が万歳する。
「店のアレ開けましょ! 5プトンのヴィンテージのトカイワイン。師匠の秘蔵のやつ」
「なんで知ってんだよ。。。隠しといたのに。」
「店の在庫状況をスーシェフである私が知らんわけないでしょう。」
だから在庫じゃなくて、私物なんだよ。。。
ノー天気に見せている中村は、一番食えないやつだ、と改めて見直す斉藤だった。
無駄に威勢のいいおはようが、ギャラリーの扉が開くと同時に飛び込んできた。
「依子さーん! ご盛会おめでとうございます~。来ましたよ~!」
『さくら』の中村が両手を拡げて依子に突進してくる。
その後ろには生暖かい目で中村を見ながらも、微笑みを忘れない斉藤がついて入ってきた。
「あっ、これ! 師匠と私からの差し入れですう~!」
「ずっと店番じゃ、大したもの食べてないんじゃないかと思ってね。ベーカリーと甘いもの。」
「わあ、、、ありがとうございます。感涙です。わざわざ来ていただくだけでホントうれしいのに。」
「いやいや、逆に申し訳ないね。ウチの店開ける前のわずかな時間しか見られなくて。」
「依子さんがいないともー大変ですよ~。ほんと。早く戻ってきてくださ~い!」
「ごめんなさいね。1週間もお休みいただいてしまって。」
「記念すべき初陣だもの。営業なんだから頑張らなきゃ。わかりますよ~。俺も最初は必死だったよ。」
まずは見させてもらおうかな、と言って2人はギャラリーをぐるりとし始める。
今日は金曜の朝、ギャラリー開店は10:00~21:00で、2人は本来なら開店準備に忙しい時間を割いて来てくれた。
会期中の最初の一週間は、シフトも通常通り入れていたが、思ったよりちょくちょくお客さんが来るのと、マルコの店番があまりアテにならないので、無理を言って後半一週間は休ませてもらっていた。
依子は、何気ないフリを装っていたが、内心ドキドキしている。
知り合いの反応というのはけっこう怖い。批評されるのは構わない。
一番傷つくのは、興味を示してもらえないことだ。でも、人には好き嫌いがある。黙って現実を受け止めるだけなのだ。
しかし、依子の不安を吹き飛ばすように、2人は楽しんでくれているようだった。
中村はキャイキャイ言いながら、小物をあれこれ手に取っている。やはり小さきものたちは、年齢に関係なく乙女心をくすぐるらしい。
「いやあ、知らなかったなあ。すごいねえ。なんだ、早く教えてくれればよかったのに~。」
斉藤が話しかける。
「こんな素敵なもの作ってるなら教えてよ~。俺も金ないけど、作品買わせてほしいな。うちの店のコンセプトにもピッタリだしさあ。」
「ホントですか? すごくうれしいです。」
依子はなんだか、うれしくてジワッときてしまった。
「あれっ依子さん、なんかうるッときちゃいました? 大丈夫? 師匠に厳しいこと言われた?」
いつの間にか隣に来ていた中村が依子の肩を抱く。
斉藤はそんな2人を見て慌ててフォローした。
「何言ってんだよ~。褒めたんだよ。」
何もかも捨てて日本を出て一年、ハンガリーに来て身にまとわりついていた重い緊張が、今日は少し解けたようで、依子の涙腺はちょっと緩んでしまったようだった。
ありがとうございます、と何度も呪文のように繰り返しながら、泣き笑いしておしゃべりを続けたのだった。
20分ほど滞在した後、そそくさと店に向かう2人を戸口で見送る際、斉藤が言った。
「依子さん、なんかちょっと雰囲気変わった? 何が依子さんの口角を上げたのかな?」
ニヤリとしながら、ちょっと嫉妬しちゃうぜ、と言い添えて疾風のように2人は去っていった。
(えっ、嫌だなあ。ニヤついてた?なんでだろ。)
なんかいい事あったっけ、と依子は思い返す。
久しぶりに会ったからじゃないか。それか、今までなかった、たくさんのお客さんと話したからかな。ハイになってるのは間違いない。
後は、、とこの会期中に来てくださった人々のことを思い返す。
あ、そうか。偶然に2回も街中で出会ったあの男性が来てくれて、おしゃべりもできたのが一番かな。
年齢がけっこう下なのもあるが、キャラクターがなんとなく依子とかぶるところがあって、放っておけないというか、弟のような親しみを感じずにはいられなかった。
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「師匠、依子さんのこと狙ってんですか。」
店に向かうために急いで拾ったタクシーの車中で、さっきまでうるさかった中村がひとしきり黙ったと思ったら唐突に聞く。
「君ねえ。ほんとアケスケだよね。なんかさあ、オブラートに包むとかそういうのないわけ?」出たよ、というふうに目を瞑って斉藤はため息混じりに答える。
中村は腕組みしながら珍しく無表情でポソポソと話を続ける。
「依子さんはですねえ、いろんなものを抱えて、傷つきながらやっとここにたどり着いたんです。軽い気持ちで手を出したらかわいそうですよ。かまうんだったらちゃんと覚悟しなきゃ。」
「君いつの間にそんなに依子さんのこと詳しくなったの。」
「いや、全然」
斉藤は隣で軽くずっこける。
「でもなんとなくわかるんですよ。私たちと同じ匂いがするんです。師匠だってわかってるでしょ? だから気にかけてるんだ。」
否定しないで押し黙って斉藤は聞いている。
「私らみたいな人間は、誰とでも満遍なく社交的に振る舞う、ってのが苦手なんだ。常に一直線で一極集中だから、広範囲に神経を張るってことができない。人間関係でもそうだから、1人で好き勝手するのが気楽でいいや、ってなる。おまけにユニークなことが好きだから、人と同じでいたくもない。」
中村は自分自身に語るように滔々と続ける。
「でも、孤独なのが好きなわけじゃない。とても寂しがり屋で、愛されたがりなんだ。不器用だから、人に愛を乞う方法がわからない。傷つけたくない、傷つきたくない。その、人の温もりでしか埋まらない穴を、なんとか別の方法で埋めようとして、人一倍一所懸命に絵を描いたり、料理作ったり、旅に出たり。」
流れる景色の方を見て、中村の表情は見えなくなった。
「だから何かに秀でることはできるけど、結局のところ1番飢えているものに、手が届かないんです。」
斉藤の方に再び顔を向けて、試すように中村が問いかける。
「そうでしょ? 私たちどこか似たもの同士なんだ。 だからなんとかしてあげたくなる。」
「…君、時々すごいよね。」
「時々じゃないすよ。いつも私はすごいです。」
「まあ、君の限りなく前向きな自己肯定パワーは、我々は見習わんといかんとこだよね。」
えへん、と満足げな顔で、いつもの活気に満ちた中村の態度に戻った。
「んじゃまあ、とりあえず、職場の風通しをよくするためにも、依子さんの個展が終わったら慰労会も兼ねて、飲み会でもしますか。1年経つのに歓迎会もしてなかったしな。」
「うぇ~いい!」
中村が万歳する。
「店のアレ開けましょ! 5プトンのヴィンテージのトカイワイン。師匠の秘蔵のやつ」
「なんで知ってんだよ。。。隠しといたのに。」
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