鈍色の空と四十肩

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84 ー結婚式ー

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 晩秋の柔らかな日差しを浴びて、紅葉した葡萄畑が黄色や赤や緑、様々な色合いを帯びながら、金色に輝いている。
 よく晴れた、薄い青が透き通るように抜けた空が広がっている。

 控室の窓を開けて、バラニイワイナリーの輝く葡萄畑と青い空、秋の香りのする空気を、譲治は堪能した。
 そろそろ時間だ。
 コンコン、とノックの音がして、斉藤とコルムが顔を出した。
「おーい、時間だぞー。」

 今日はやっと、譲治と依子が少しずつ丁寧に準備した2人の結婚式である。
 式と言っても、既に入籍はしているから、お世話になった人々へのお披露目とお礼のパーティーである。
 一応、人前式の形式にして、服装も少しカジュアルに、肩肘張らない雰囲気にした。
 前半で人前式のセレモニーを行い、後半でバラニイワイナリーの新酒お披露目会をしながら、みなで食卓を囲む。

 コルムと斉藤には付添人をお願いしてある。
 愛はちょうど安定期に入ったので、依子の付添をしてくれている頃だ。
「おお、決まってるな! 
 君はやっぱスタイルいいから、なんでも様になるよな。」
 斉藤が褒めてくれる。
 譲治は少し光沢のあるグレーのスーツ。
「依子はめっちゃキレイだったぞ~。お前まだ見てないんだろ?」
 コルムがニヤニヤしている。
「いやあ、そりゃ試着というか選ぶ段階には参加しましたけどね。
 本番は、誓いの儀式まで見ちゃダメ、とか言って愛さんに追い出されましたよ。」
 譲治はちょっと不満げだ。
「まあ、縁起モンだから楽しみにしとけ~。」
 斉藤もほくそ笑んでいる。

 バラニイ氏に今回のことを相談した時、両手をあげて賛同してくれた。
 彼としても、ワインだけでなく、パーティーやイベント会場貸しのビジネスと抱き合わせたかったらしい。
 放置していた古い納屋を改装して、控室や準備室にしたから、と言って十分なスペースを確保してくれた。
 雨の場合はここも使えるとか。

 料理に関しては、当初、斉藤が買って出てくれたが、片腕の愛が身重なことと、斉藤たちにもパーティーを楽しんでもらいたかったので、バラニイ氏の家族と、近隣の懇意にしている料理人にお願いした。
 どうやら親戚筋らしい。バラニイ氏の家族と同じく、控えめで素朴な素晴らしい人たちだ。
 愛が特に、どうしても、と言うので、予め作っておけるウェディングケーキだけ、斉藤と愛にお願いしてある。
 
 そして、言わずもがな、バラニイ氏渾身の新酒ワインと葡萄ジュース。
 日本とは習慣が違うので、ご祝儀はなしにして、招待した客人たちには、レストランで食事する程度の会費だけお願いしてある。
 諸々にかかる費用の捻出には苦慮したが、2人で貯めていた貯金を使うことにした。
 とは言え、最終的には、双方の親が十分な額を援助してくれたので、赤字にならずに済んだ。全くもってありがたいことである。

 依子が準備している間、譲治は付添人の斉藤とコルムに手伝ってもらいながら、招待客を迎えて一人一人にお礼を言った。
 今日来ているのは、譲治の両親、妹の美智子、依子の両親、弟とその家族。
それから斉藤、愛、コルム。

 来賓として譲治の上司である社長。
 彼には早々に報告だけしていたが、バラニイワイナリーにもぜひ行きたい、というので、ついでと言ってはなんだが来てもらったのだ。
 それから、依子のハンガリーの友人、カロリン。
 あと、バラニイワイナリーの人々。
 彼らには裏方として仕事をしてもらっているのではあるが、譲治と依子としては一緒に楽しんでもらいたかった。
 彼らのこの場所がなければ、こんなに幸せな式もあげられなかったのだから。
 譲治と依子も入れて、全部で25人くらいの、とてもアットホームなあたたかい式だ。

 田中家と小石川家の面々は、おとといにはブダペストに到着していて、十分な休息を取りつつ、昨日顔合わせをした。
 どこかのレストランで食事でも、と思ったが、大人数なのと、パーティー本番が控えているので、慎ましやかに、かつリラックスして楽しめるように、2人のアパートで全員集合したのだった。
 女性陣は近所のスーパー巡りを楽しくしながら、食事やお酒を買い込み、男性陣はアパートの会場作りをした。
 依子の弟家族の子供たちもいるし、皆、2人の生活ぶりに興味津々だったので、和気藹々と賑やかに顔合わせという名のホームパーティーを楽しんだのだった。

 参加者全員が、セレモニー会場の席についた。
 人前式は、参列者に2人の結婚の証人になってもらうセレモニーである。
アーチ型に整えられた葡萄棚がちょうど良い背景になる、というので、ワイナリーの葡萄畑の入り口アーチの前に、この日のために用意した証書とサイン台、それを見守るように左右に参列者の席が設けられた。
 付添人代表の斉藤が進行を務めてくれている。
 譲治は証書の載った台の前に立って依子を待つ。
「ご参列の皆様、そろそろ式を始めます。花嫁が入場いたします。」

 参列席の背後にある母屋から、依子が父の敏一の腕に手を絡めて出てきた。
 2人は参列者の間を通って譲治の前に立つ。
 敏一は譲治に依子の手を渡して言った。
「譲治くん、依子を頼みます。」
 依子はそのシンプルな父の言葉を聞いて、我慢できず涙してしまう。

 譲治は、依子が姿を見せた時から、その姿に見惚れて目が離せず、目の前に来てその手を取ったものの、しばらくフリーズしてしまった。
 依子のドレスはいわゆるAラインという形で、40代女性に相応しく、少しクラシカルで落ち着きのあるデザインだ。
 丈は地面すれすれで長くはないが、頭頂部からすっぽり被ったマリアベールが、長く裾を引き、とてもエレガントな雰囲気がある。
 依子の気にする二の腕は、レースの長袖に隠されつつも、譲治が大好きな依子の首周りやデコルテは大きく肩まで開いていて色っぽさもある。
 
 依子は、2回目だから、ということで、純白ではなくオフホワイトのアンティーク風なドレスを選んだのだった。
 選ぶ段階で譲治も一緒に決めたものの、初めて見るかのように、そのドレスは依子の落ち着いた優しさを際立てて、譲治にとっては夢の中の妖精のようだ、と嘘偽りなく思ったのだった。
「依子さん...すごく、すごく、きれいです...」
 譲治がそっと言う。
 依子はベールの中で、ぽろり、と一つ涙を流しながら、にこっと微笑んだ。

「それでは、2人に結婚の誓いのサインをしていただきます。」
 斉藤の声に促され、譲治と依子は順番に目の前の証書にサインを書いた。
 その証書を持ち上げて、斉藤は参列者の皆に見せて宣言した。
「今日皆様には、2人の結婚の証人となっていただきます。
 どうぞ拍手で祝福をお願いいたします。」
 参列者が立ち上がり、大きな拍手を送る。

「誓いのキスをどうぞ!」
 コルムが横から大声で言う。
 譲治は、依子の顔の前のベールを持ちげて、腰に手を回して抱き寄せ、深く口付けた。
 依子の姿を目にしてからほとんど抱き寄せることしか考えられなかった譲治は、周囲の状況が頭から完全にすっ飛び、しばらく依子の唇に耽溺した。
「...おーい...もういいぞ...長すぎんだろ。 後でたっぷりやれよ...」
 コルムが痺れを切らして、譲治の耳のそばでこそこそ言う。
 譲治は、そこでやっとハッと気づき、依子を離した。
 いたって冷静な依子は、顔を真っ赤にしていた。

ーーー

 場所を少し移して、大きな白いテントの張られたパーティー会場へみんなでぞろぞろ移動する。

 依子は、真っ先にカロリンの元に行って、背中に手を回す。
「カロリン、本当に来てくれてありがとう。
 あなたのおかげで私、ハンガリーに来れて、生きる道を見つけられたのよ。
 譲治くんと出会えたのも、ハンガリーが私を受け入れてくれたからだわ。」

「依子、あなたの努力のおかげだよ。私なにもしてない。私もすごくすごくうれしい!本当におめでとう!」
 カロリンはそう言って、依子を抱きしめた。
 10代からの心の友同士は、固く抱きしめあって、今の幸せを共に喜んだのだった。
 同じく、子供の頃からカロリンを知っている依子の両親が、懐かしげに後を引き継ぎ、おしゃべりを始めた。懐かしいなあ!と父も大喜びだ。


 パーティー会場は以前、聖マルトンの日に斉藤たちとお呼ばれしたのと同じ場所だ。葡萄園を控えて、母屋と水車小屋に挟まれた一角。
 楽しく飲み食いできるよう、席次は設けず、分散してテーブルや椅子を設置してある。
 中央の大きめの卓には、斉藤と愛の渾身のウェディングケーキと、皆がそれぞれ持ち寄ってくれたプレゼントなどが盛ってあった。

 バラニイ氏が先導して、客人たちの杯に新酒やジュースを注ぐ。
 みなに飲み物が行き渡ったところで、譲治が声を出す。
「みなさん、グラスは行き渡りましたか。
 今日は、私たちのために遠くまで来ていただき、本当にありがとうございます。
 私たちは故郷を遠く離れた地で暮らしておりますので、特に親兄弟には心配かけました。
 この場を借りて感謝の気持ちを捧げます。ありがとう。」
 
 母たちはハンカチで目頭を抑えている。
「それから、私たちを陰日向に支えてくれている皆さん、本当にありがとうございます。
 社長、斉藤さん、愛さん、コルム、バラニイワイナリーの皆さん。
 そして、依子さんをこの地に導いてくれたカロリンさん。
 心からお礼申し上げます。
 今日は、このバラニイワイナリーの新酒お披露目会でもありますので、ぜひ、バラニイさんのワインとジュース、郷土料理を楽しまれてください。
 そして、このウェディングケーキは、私たちを結びつけてくれた、斉藤さんと愛さんが作ってくれました。こちらも後ほどご堪能ください。
 それでは、乾杯の音頭、社長お願いします。」

 譲治の声かけで、よく日に焼けた年配男性が立ち上がる。
 譲治の会社の社長、丸山だ。
「それでは、僭越ながら。
 お二人の門出を祝しまして。乾杯! 
 そして、Egészségedre!」
 
 みながそれぞれ、日本語で、ハンガリー語で乾杯をする。
 もちろんパーリンカ専用の卓もある。
 コルムと斉藤は早速その卓に群がり、飲み干している。
「愛ちゃんは葡萄ジュースで我慢してね。
 においを嗅ぐくらいならオッケーよ。」
 依子は愛の背中を優しくさすって慰める。
「くっそー!! 妊婦生活は面白くて意外にも楽しんでるけど、このお酒と生物がダメ、っていう縛りだけが! 
 コルムのやつめ!遠慮もせんと飲み食いしてるし。」
 愛は心底悔しそうだ。

 2人の両親たちは、昭和の結婚式よろしく、ワインやジュースの瓶を持ちながら、来賓たちに順番に挨拶とお礼をして回っていた。しっかりしている。
 兄弟たちは、絵本の中に出てくるようなこの会場の景色やワイナリーの風景に歓声をあげ、出される料理の数々に舌鼓を打っている。

 丸山社長はと言えば、バラニイ氏相手にもう商談に入っている。というかそちらの方が主目的だ。
 しっかり用を果たしつつ楽しんでいて、招待した甲斐があったというものだ。

 しばらく料理やお酒を堪能し、それぞれの世話ばなしに花を咲かせる。
 バラニイ氏の自慢のワイン紹介や利き酒コーナーも、健啖家の弟嫁や美智子などは食い入るように聞いている。

 昨年同様、隅の席で静かに、にこにことパーティーを見守っていた、バラニイ氏の父が、席を立ったと思ったら、バイオリンを持って出てきた。
 料理人を務めてくれたバラニイ氏の従兄弟はアコーディオンを持っている。 
 2人が、軽快なハンガリーの民族音楽を奏で始めた。
 依子と譲治は感動して目を見張る。

 すると、カロリンが依子の手を引っ張って空いているスペースに連れ出した。
 ハンガリーのフォークダンスを踊り始める。
 依子にも教えて、2人で辿々しいながらも踊る。

「そう言えば、前にあなたの所に来た時、誘ってくれたのに、いけなかったんだよね。フォークダンス。それがとても申し訳なくて。」
 依子は踊りながらカロリンに言う。
「そうだったっけ?今一緒に踊れて私はハッピーだよ。」
 2人は笑いながら手を取り合ってくるくる回る。

 そのうちバラニイ家の人々が加わる。
 依子の甥姪も面白がってオリジナルのダンスをし始める。
 
 斉藤が依子の肩を叩く。
「俺に代わって。」
 依子はカロリンの手を斉藤にバトンタッチした。
 ハアハア言いながら長い裾とベールを持って、譲治の元に戻る。

 見ていると、斉藤は実に滑らかにカロリンのフォークダンスの相手を務めている。
「わあ。驚き。まあハンガリー歴30年だからおかしくないか。」
 依子はニコニコしながら感嘆の声を出す。
「あの人さすがに場慣れしているというか、日本人離れしてて、こういう時サマになってますよね。」
 譲治も面白がっている。

 そのうち、斉藤はカロリンを伴って、2人でテーブルにつき、楽しげにおしゃべりを始めた。
「おやおやあ~? これはひょっとするとひょっとするかな。」
 依子はニヤニヤし始めた。
「姐さん、そう思います~? あたしも思う。」
 愛がひょい、と横から顔を突き出して言う。
「さっきからね、師匠とカロリンちゃん、ちょっとウマが合うみたいで、かーなり盛り上がってんですよ。」
「ふーん。なるほど。いいかもしれない。
 斉藤さんは意外と甲斐甲斐しく面倒みずにはおれない、って感じの子が合うのかも。
 カロリンってけっこう天然で抜けてるとこあるから、目が離せないんじゃないかな。」
 うひひ、と女2人は他人の恋模様の観察を楽しむのだった。

ーーー

 2人の結婚披露パーティーと、バラニイ氏の新酒発表会は、みんなが幸せのうちにつつがなく終了した。
 名残りを惜しみつつ別れて、ブダペスト組はそのまま帰宅。
 日本から来た家族と、譲治と依子は、新婚旅行代わりに、バラトンアルマーディの湖畔のホテルをとった。
 朝も早かったので、各々ホテル内でゆっくりその晩は過ごすことにして引き上げた。
 湖の入江に面したそのホテルは美しく、歴史ある建物は落ち着いた趣があった。

 2人の部屋も入江に面していて、窓を開けると湖を渡る秋の風が芳しく入ってくる。
 依子は、部屋に入って真っ先に窓を開け、胸いっぱいにその空気を吸い込んだ。
 秋の実りと、枯葉、土のにおいがした。
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