十三月の風

アオバ

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7話

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「わたしもさ、この姿だと飛んだりできるの?」
 暗闇に足を降ろす。
 昼間は人々の心を躍らせているオブジェ達も、今の時間では恐怖の権化のように振る舞っている。
「残念ながら無理だ。普段と違うのは、人には見えない、物をすり抜けられる、それだけだ」
「物に触れないの?」
 傍らにあったオブジェに何度か触れようとするが、そこには何も無いようにわたしの腕は空振りをしてしまう。
「コツがあるらしい。前に聞いた話だと……」
 記憶を頼りに繰り出されるルークのアドバイスを試していると、ようやく手のひらに冷さを感じた。
「成功したか。よかった」
 ルークによると接触とは本来、器があって出来ることらしい。
「でも、ベッドとかルークとかには触れたよね」
「人によって無意識に触れるものがあるんだ。人間目線でいえば同類扱いの魔物と足を着ける必要がある地面、あとは人それぞれという感じかな」
 わたしにとってベッドは地面扱いだったのだろうか、それとも、人それぞれの部分なのだろうか。
「無意識でも触れる事実を可能性と思い、試行錯誤した結果が今というわけだ」
 オブジェに手を置くわたしを指差しながら、言葉だけは誇らしそうにルークは語る。
「ただ、こういう現象を理解しようと頑張っても、答える私が理解していないからこれ以上は無理だ。触れるようになった。それで満足してくれ」
 わたしの興味を理解してきたのか、けん制するように、彼は手を横に振った。
 
「ところで、本当にここで良かったのか?」
 言葉に手を引かれ、改めて正面入口の方へ体を向ける。
「うん。ここ、すごく有名な遊園地だし、上から見ても分かったから、つい気になっちゃって」
 当たり前だが、毎日、沢山の人を飲み込んでいる大きな口も、今日はもうお腹一杯のようだ。
「でも、流石にこの時間に来てもだね。正直、何も見えないし、何も動いてないし」
「まぁ、見えたところで私達にサービスなんてしてくれないがな」
「違うところの方がいいかな?」
「サービスしてくれないのは他も同じだ」
 せっかくだから、とルークに促され、わたしは満腹の門をするりと通り抜けた。
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