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偽りの祝宴
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王都を彩る煌びやかな灯りが、夜の闇を昼間のように照らしている。
今宵は、クライネルト伯爵家の一人娘である私、アリアンナ・フォン・クライネルトと、この国で最も権勢を誇るシルヴァ公爵家の嫡男、レオナルド様との婚約披露の宴が開かれているのだ。
「アリアンナ、とても綺麗だよ」
目の前で微笑むレオナルド様は、物語に出てくる王子様そのものだった。
陽光を溶かしたような金色の髪に、夏の空を閉じ込めたような青い瞳。
貴族の令嬢なら誰もが一度は夢に見るであろう、完璧な婚約者。
「もったいないお言葉です、レオナルド様」
私は頬を染めながら、かろうじてそう答えるのが精一杯だった。
彼と婚約できることは、家にとっても私にとっても、この上ない栄誉。
でも、私の心はどこか落ち着かなかった。
まるで、美しい硝子細工の上を裸足で歩いているような、危うい感覚。
「ふふ、本当にお似合いのお二人ですわね」
背後からかけられた声に、私はびくりと肩を揺らした。
振り返ると、そこにいたのは燃えるような赤い髪を持つ従姉妹のイザベラだった。
私とは対照的な、はっきりとした顔立ち。
緑色の瞳は、獲物を見つけた蛇のように、いつも爛々と輝いている。
「イザベラ様」
レオナルド様が優雅に会釈する。
「まあ、レオナルド様。そんなに堅苦しくなさらないで。いずれは義姉弟になる仲ですもの」
イザベラはそう言うと、私の肩に馴れ馴れしく腕を回した。
彼女の指先が、やけに冷たく感じられる。
「アリアンナは昔から、こうやって一番良いものを全部持っていくの。不思議だわ」
その言葉には、砂糖漬けの棘が隠されていることを、私は知っていた。
幼い頃から、いつもそうだ。
私の持つものを、彼女はいつも欲しがった。
ドレスも、宝石も、そして今、私の婚約者までも。
「そんなこと……」
「あら、謙遜しなくてもいいのよ」
イザベラは私の言葉を遮ると、レオナルド様に向き直った。
「ねえ、レオナルド様。アリアンナは見た目通り、とてもおとなしいでしょう?」
「でも、本当は違うの。とても情熱的な一面も持っているのよ。特に、お花の世話をしている時なんて、まるで別人のよう」
その言葉に、私は胸騒ぎを覚えた。
「よしてください、イザベラ様」
「どうして?本当のことじゃない」
イザベラは楽しそうに笑い声をあげる。
彼女の緑の瞳が、意味ありげにレオナルド様へと流し目を送った。
レオナルド様は、少し戸惑ったように微笑むだけだった。
私は、逃げ出したかった。
このきらびやかな嘘と見栄で塗り固められた場所から。
シャンデリアの光も、楽しげな音楽も、人々の笑い声も、全てが私を責め立てているように聞こえる。
「少し、夜風にあたってきますわ」
私は二人に背を向け、バルコニーへと続く扉へ向かった。
冷たい夜気が、火照った頬に心地良い。
「……はぁ」
ため息が、白い霧になって夜空に溶けていく。
私は、この婚約が怖い。
レオナルド様という素晴らしい方を、イザベラという美しい従姉妹を、私は心の底から信じることができずにいた。
「どうして、素直に喜べないんだろう」
手すりに寄りかかり、眼下に広がる王都の夜景を眺める。
無数の窓から漏れる灯りは、人々の暮らしの証。
あの中には、私のような悩みを抱えている人なんて、きっといないのだろう。
「ここにいたのか、アリアンナ」
背後からの声に振り返ると、レオナルド様が立っていた。
「レオナルド様……」
「イザベラ殿は、少しお酒を飲みすぎたようだ」
「気にすることはない」
彼はそう言って、私の隣に並んだ。
沈黙が流れる。
何か話さなければと思うのに、言葉が見つからない。
「君は、この婚約が嬉しいか?」
不意に、レオナルド様が尋ねた。
「えっ……」
「いや、すまない。もちろん、家と家が決めたことだ」
「だが、君の心がここにあらずといった様子に見えたから」
彼の青い瞳が、まっすぐに私を射抜く。
嘘はつけなかった。
「……正直に申し上げますと、不安です」
「私のような者に、公爵家の、そしてレオナルド様の隣に立つ資格があるのかと」
「資格など、気にする必要はない」
「君はクライネルト伯爵家の令嬢で、私の婚約者だ。それだけで十分だ」
彼の言葉は、優しかった。
でも、その優しさは、まるで美しいガラスの壁のようだった。
触れることはできても、その向こう側へは決して行けない。
私たちの間には、心ではなく、家柄という分厚い壁が横たわっている。
「ありがとうございます、レオナルド様」
私は、微笑むしかなかった。
彼が求めているのは、「不安を抱えながらも健気に務めを果たそうとする婚約者」の姿なのだろうから。
その時だった。
バルコニーの影から、するりとイザベラが現れたのは。
「あら、お二人きりで睦言ですの?」
彼女は少しよろめきながら、レオナルド様に寄りかかった。
豊かな胸が、彼の腕に押し付けられる。
「イザベラ様、お戯れが過ぎます」
私が咎めるように言うと、イザベラは勝ち誇ったように笑った。
「いいじゃない、これくらい」
「ねえ、レオナルド様。私とアリアンナ、どちらが魅力的かしら?」
「イザベラ殿、酔っているようだ」
レオナルド様は困惑しながらも、彼女を突き放すことができない。
そんな彼の姿を見て、私の心に冷たい雫が落ちた。
「アリアンナには、あなた様のような素晴らしい方はもったいないわ」
「もっと、情熱的で、あなた様を理解できる女のほうが……」
イザベラの唇が、レオナルド様の耳元に寄せられる。
何を囁いたのかは聞こえない。
けれど、レオナルド様の表情が、ほんの一瞬、揺らいだのを私は見逃さなかった。
胸が、ずきりと痛む。
嫉妬、という醜い感情が、鎌首をもたげる。
「もう、お部屋にお戻りください、イザベラ様!」
私は、自分でも驚くほど強い声で言った。
イザベラはゆっくりと顔を上げると、私を睨みつけた。
その瞳は、憎悪の炎で燃え上がっていた。
「……そうね。今夜はこれくらいにしてあげる」
彼女はレオナルド様から体を離すと、私の横を通り過ぎた。
すれ違いざま、耳元で囁く。
「覚えておきなさい、アリアンナ」
「あなたのものは、いずれ全て私のものになるのよ」
その言葉を残し、イザベラは闇に消えていった。
後に残されたのは、重苦しい沈黙と、私の心に深く突き刺さった絶望の棘だけだった。
この時、私はまだ知らなかった。
この夜が、私の人生を根こそぎ覆す、悪夢の始まりに過ぎないということを。
今宵は、クライネルト伯爵家の一人娘である私、アリアンナ・フォン・クライネルトと、この国で最も権勢を誇るシルヴァ公爵家の嫡男、レオナルド様との婚約披露の宴が開かれているのだ。
「アリアンナ、とても綺麗だよ」
目の前で微笑むレオナルド様は、物語に出てくる王子様そのものだった。
陽光を溶かしたような金色の髪に、夏の空を閉じ込めたような青い瞳。
貴族の令嬢なら誰もが一度は夢に見るであろう、完璧な婚約者。
「もったいないお言葉です、レオナルド様」
私は頬を染めながら、かろうじてそう答えるのが精一杯だった。
彼と婚約できることは、家にとっても私にとっても、この上ない栄誉。
でも、私の心はどこか落ち着かなかった。
まるで、美しい硝子細工の上を裸足で歩いているような、危うい感覚。
「ふふ、本当にお似合いのお二人ですわね」
背後からかけられた声に、私はびくりと肩を揺らした。
振り返ると、そこにいたのは燃えるような赤い髪を持つ従姉妹のイザベラだった。
私とは対照的な、はっきりとした顔立ち。
緑色の瞳は、獲物を見つけた蛇のように、いつも爛々と輝いている。
「イザベラ様」
レオナルド様が優雅に会釈する。
「まあ、レオナルド様。そんなに堅苦しくなさらないで。いずれは義姉弟になる仲ですもの」
イザベラはそう言うと、私の肩に馴れ馴れしく腕を回した。
彼女の指先が、やけに冷たく感じられる。
「アリアンナは昔から、こうやって一番良いものを全部持っていくの。不思議だわ」
その言葉には、砂糖漬けの棘が隠されていることを、私は知っていた。
幼い頃から、いつもそうだ。
私の持つものを、彼女はいつも欲しがった。
ドレスも、宝石も、そして今、私の婚約者までも。
「そんなこと……」
「あら、謙遜しなくてもいいのよ」
イザベラは私の言葉を遮ると、レオナルド様に向き直った。
「ねえ、レオナルド様。アリアンナは見た目通り、とてもおとなしいでしょう?」
「でも、本当は違うの。とても情熱的な一面も持っているのよ。特に、お花の世話をしている時なんて、まるで別人のよう」
その言葉に、私は胸騒ぎを覚えた。
「よしてください、イザベラ様」
「どうして?本当のことじゃない」
イザベラは楽しそうに笑い声をあげる。
彼女の緑の瞳が、意味ありげにレオナルド様へと流し目を送った。
レオナルド様は、少し戸惑ったように微笑むだけだった。
私は、逃げ出したかった。
このきらびやかな嘘と見栄で塗り固められた場所から。
シャンデリアの光も、楽しげな音楽も、人々の笑い声も、全てが私を責め立てているように聞こえる。
「少し、夜風にあたってきますわ」
私は二人に背を向け、バルコニーへと続く扉へ向かった。
冷たい夜気が、火照った頬に心地良い。
「……はぁ」
ため息が、白い霧になって夜空に溶けていく。
私は、この婚約が怖い。
レオナルド様という素晴らしい方を、イザベラという美しい従姉妹を、私は心の底から信じることができずにいた。
「どうして、素直に喜べないんだろう」
手すりに寄りかかり、眼下に広がる王都の夜景を眺める。
無数の窓から漏れる灯りは、人々の暮らしの証。
あの中には、私のような悩みを抱えている人なんて、きっといないのだろう。
「ここにいたのか、アリアンナ」
背後からの声に振り返ると、レオナルド様が立っていた。
「レオナルド様……」
「イザベラ殿は、少しお酒を飲みすぎたようだ」
「気にすることはない」
彼はそう言って、私の隣に並んだ。
沈黙が流れる。
何か話さなければと思うのに、言葉が見つからない。
「君は、この婚約が嬉しいか?」
不意に、レオナルド様が尋ねた。
「えっ……」
「いや、すまない。もちろん、家と家が決めたことだ」
「だが、君の心がここにあらずといった様子に見えたから」
彼の青い瞳が、まっすぐに私を射抜く。
嘘はつけなかった。
「……正直に申し上げますと、不安です」
「私のような者に、公爵家の、そしてレオナルド様の隣に立つ資格があるのかと」
「資格など、気にする必要はない」
「君はクライネルト伯爵家の令嬢で、私の婚約者だ。それだけで十分だ」
彼の言葉は、優しかった。
でも、その優しさは、まるで美しいガラスの壁のようだった。
触れることはできても、その向こう側へは決して行けない。
私たちの間には、心ではなく、家柄という分厚い壁が横たわっている。
「ありがとうございます、レオナルド様」
私は、微笑むしかなかった。
彼が求めているのは、「不安を抱えながらも健気に務めを果たそうとする婚約者」の姿なのだろうから。
その時だった。
バルコニーの影から、するりとイザベラが現れたのは。
「あら、お二人きりで睦言ですの?」
彼女は少しよろめきながら、レオナルド様に寄りかかった。
豊かな胸が、彼の腕に押し付けられる。
「イザベラ様、お戯れが過ぎます」
私が咎めるように言うと、イザベラは勝ち誇ったように笑った。
「いいじゃない、これくらい」
「ねえ、レオナルド様。私とアリアンナ、どちらが魅力的かしら?」
「イザベラ殿、酔っているようだ」
レオナルド様は困惑しながらも、彼女を突き放すことができない。
そんな彼の姿を見て、私の心に冷たい雫が落ちた。
「アリアンナには、あなた様のような素晴らしい方はもったいないわ」
「もっと、情熱的で、あなた様を理解できる女のほうが……」
イザベラの唇が、レオナルド様の耳元に寄せられる。
何を囁いたのかは聞こえない。
けれど、レオナルド様の表情が、ほんの一瞬、揺らいだのを私は見逃さなかった。
胸が、ずきりと痛む。
嫉妬、という醜い感情が、鎌首をもたげる。
「もう、お部屋にお戻りください、イザベラ様!」
私は、自分でも驚くほど強い声で言った。
イザベラはゆっくりと顔を上げると、私を睨みつけた。
その瞳は、憎悪の炎で燃え上がっていた。
「……そうね。今夜はこれくらいにしてあげる」
彼女はレオナルド様から体を離すと、私の横を通り過ぎた。
すれ違いざま、耳元で囁く。
「覚えておきなさい、アリアンナ」
「あなたのものは、いずれ全て私のものになるのよ」
その言葉を残し、イザベラは闇に消えていった。
後に残されたのは、重苦しい沈黙と、私の心に深く突き刺さった絶望の棘だけだった。
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