「いらない」と捨てられた令嬢、実は全属性持ちの聖女でした

「リリアーナ・エヴァンス。お前との婚約は破棄する。もう用済み

そう言い放ったのは、五年間想い続けた婚約者――王太子アレクシスさま。

広間に響く冷たい声。貴族たちの視線が一斉に私へ突き刺さる。

「アレクシスさま……どういう、ことでしょうか……?」

震える声で問い返すと、彼は心底嫌そうに眉を顰めた。

「言葉の意味が理解できないのか? ――お前は“無属性”だ。魔法の才能もなければ、聖女の資質もない。王太子妃として役不足だ」

「無……属性?」
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