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第9話:鍵師の妖精と迫る影
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エドワードの書斎への潜入は失敗に終わったものの、隠し金庫の存在という大きな手掛かりを得たアリアンナと「赤狼の牙」。
次なる目標は、その金庫を開け、エドワードの秘密を白日の下に晒すことだった。
しかし、そのためには高度な鍵開けの技術が必要となる。
ヴォルフの指示を受け、アリアンナはバルムの街の裏社会でその名を知られる「鍵師の妖精」と呼ばれる老婆を訪ねることになった。
「鍵師の妖精、エルマ…本当にそんな人がいるのかしら」
アリアンナは、カインと共に、バルムの街の最も古い地区、迷路のように入り組んだ路地の奥深くへと足を踏み入れた。
湿っぽく、陽の光もほとんど届かないような場所。
教えられた住所には、今にも崩れそうな小さな家がひっそりと建っていた。
「ここか…」
カインが訝しげに呟く。
アリアンナが意を決して古びた木の扉を叩くと、しばらくして、内側からしゃがれた声が聞こえた。
「…誰だい?
うちは物乞いにやるようなもんは何もないよ」
「物乞いではありません。
エルマ様にお願いがあって参りました。
ヴァイス…いいえ、アリアと申します」
アリアンナが名乗ると、扉がギシリと音を立ててわずかに開いた。
隙間から覗いたのは、無数の皺に覆われた老婆の片目だった。
その瞳は、年の割には鋭く、アリアンナの全身を値踏みするように見ている。
「アリア…ねぇ。
何の用だい。
あたしはただのしがない隠居婆さんだよ」
「あなたが『鍵師の妖精』と謳われたエルマ様だと伺っています。
どうか、私たちにあなたの技術を貸していただけないでしょうか。
開けていただきたい『箱』があるのです」
アリアнナは単刀直入に切り出した。
エルマは、しばらくアリアンナの顔をじっと見つめていたが、やがてため息と共に扉を大きく開けた。
「…入りな。
こんなところで立ち話もなんだろう」
家の中は薄暗く、様々な種類の金属部品や工具類が所狭しと置かれていた。
壁には、見たこともないような複雑な形状の鍵や錠前がいくつも飾られている。
エルマは、部屋の中央にある小さなテーブルにつき、アリアンナたちにも座るよう促した。
「で、どんな『箱』なんだい?
あたしはもう、現役は引退した身だよ。
面倒ごとはごめんだ」
エルマはぶっきらぼうに言った。
その態度は、ヴォルフが言っていた通り、偏屈で気難しそうだ。
「王都の…ある大貴族の隠し金庫です。
その中には、彼の悪事を暴く重要な証拠が眠っているはずなのです」
アリアンナは、エルマの目を真っ直ぐに見つめて答えた。
「大貴族、ねぇ…。
そいつはまた、厄介な相手に手を出そうとしてるんだねぇ。
あんた、見かけは綺麗だけど、随分と物騒なことを考えるじゃないか」
エルマは面白がるでもなく、冷めた口調で言う。
「私には、どうしてもその証拠が必要なのです。
その貴族は、私から全てを奪い、私の人生をめちゃくちゃにした男…私の復讐相手なのです」
アリアンナの声には、抑えきれない怒りと悲しみが滲んでいた。
彼女は、自分の過去、エドワードとリリアの裏切り、そして「赤狼の牙」として戦う決意を、エルマに包み隠さず語った。
カインは、黙ってその様子を見守っている。
話を聞き終えたエルマは、しばらく目を閉じて何かを考えていたが、やがて静かに口を開いた。
「…あたしもね、昔、貴族に酷い目に遭わされたことがあるのさ。
信じていた人間に裏切られ、全てを奪われた。
だから、あんたの気持ちは、少しは分かるつもりだよ」
エルマの瞳の奥に、深い哀しみの色が浮かんだように見えた。
「ですが、だからといって、危険な橋を渡る義理はないわ。
あたしはもう…」
「お願いします、エルマ様!
あなたのお力添えがなければ、私たちは何もできません。
これは、私の個人的な復讐であると同時に、腐敗した貴族社会に一矢報いるための戦いでもあるのです。
『赤狼の牙』は、そのために活動しています」
アリアンナは頭を下げ、必死に懇願した。
その真摯な姿に、エルマの心がわずかに揺らいだように見えた。
「…ふん、赤狼の牙、ねぇ。
ヴォルフの奴も、相変わらずお人好しだねぇ。
いいだろう。
一度だけだ。
あんたたちの金庫破り、手伝ってやるよ」
「本当ですか!?」
アリアンナは顔を上げた。
「ただし、条件がある。
金庫を開けるのは、あたしじゃない。
あんたたち自身だ。
あたしは、そのための知識と技術を教えてやるだけさ。
それと、成功したら、報酬はきっちり貰うからね」
エルマはニヤリと笑った。
その笑顔は、どこか悪戯好きな子供のようにも見えた。
こうして、アリアンナと「赤狼の牙」は、「鍵師の妖精」エルマという強力な協力者を得ることになった。
翌日から、アリアンナと、手先の器用さを見込まれた数人のメンバーは、エルマの家で鍵開けと金庫破りのための厳しい訓練を開始した。
エルマの指導は容赦なく、アリアンナたちは何度も失敗を繰り返しながら、少しずつ技術を習得していく。
特にアリアンナは、元貴族令嬢とは思えないほどの集中力と器用さを発揮し、エルマを驚かせた。
「あんた、見かけによらず筋がいいねぇ。
その細い指は、鍵開けに向いてるのかもしれないよ」
エルマは、ぶっきらぼうながらも、アリアンナの才能を認めているようだった。
アリアンナもまた、エルマの奥深い知識と経験に敬意を抱き、師として仰ぐようになっていった。
その頃、王都では、エドワードがアリアンナの存在を確信し、ブラウンシュバイク公爵家の総力を挙げて彼女の行方を追っていた。
バルムの街にも多くの密偵が送り込まれ、「赤狼の牙」に関する情報収集が強化される。
街のあちこちには、アリアンナ(変装している可能性も示唆して)や、「赤狼の牙」の主要メンバーの似顔絵と共に、高額な懸賞金が掲げられた。
「ちっ、エドワードの奴、本気で俺たちを潰しに来る気だな」
カインは、街角に貼られた手配書を苦々しげに見つめる。
アジトの雰囲気も、以前より緊張感を増していた。
メンバーの中には、ブラウンシュバイク公爵家という巨大な敵を相手にすることへの不安を口にする者も出始めた。
「リーダー、本当に大丈夫なんでしょうか?
俺たちは、ただの盗賊団ですぜ。
公爵様に睨まれたら、ひとたまりもありませんよ…」
ある夜、古参のメンバーの一人がヴォルフに詰め寄った。
「黙れ!
我々はただの盗賊ではない!
腐った権力に立ち向かう『義賊』だということを忘れたか!
アリアンナの復讐は、我々の大義にも繋がっている。
ここで怖気づくようなら、最初から仲間になるな!」
ヴォルフは一喝し、動揺するメンバーたちを鎮めた。
しかし、彼の胸の内にも、不安がなかったわけではない。
アリアンナは、その様子を複雑な思いで見つめていた。
自分の個人的な復讐が、仲間たちを危険に晒している。
その事実に、彼女は重い責任を感じていた。
「(私が、もっと強くならなければ…みんなを守れるくらいに…)」
アリアンナの決意は、さらに固いものへと変わっていった。
数週間後。
ミラが王都から重要な情報をもたらした。
「掴んだわ!
ブラウンシュバイク邸の警備が、一時的に手薄になる日が!
三日後、エドワードはクラウディア姫を伴って、隣国の祝祭に出席するため王都を離れるらしいの。
その間、邸の主だった警備兵も同行するため、普段より侵入しやすくなるはずよ!」
「本当か、ミラ!」
ヴォルフが身を乗り出す。
「ええ!
それに、エルマ様が言っていた金庫の型番も分かったわ。
旧式の、だが非常に頑丈な『タイタン鉄鋼社製』のものらしいわね」
その情報を聞いたエルマは、ニヤリと笑った。
「タイタン鉄鋼社製か…。
懐かしいねぇ。
そいつは、一筋縄ではいかない代物だよ。
だが、開けられない鍵はないのさ」
エルマは、アリアンナに一つの小さな革袋を手渡した。
中には、特殊な形状をした細い金属製の道具が数本入っている。
「こいつは、あたしが若い頃に使っていた秘蔵のピックだ。
あんたに託すよ。
必ず、そのクソ貴族の鼻を明かしてやりな」
「エルマ様…ありがとうございます!」
アリアンナは、エルマの手を固く握りしめた。
作戦決行の日は、三日後。
潜入チームは、アリアンナ、カイン、そして鍵開けの訓練を積んだもう一人のメンバー、小柄で俊敏な若者リックに決まった。
ミラは後方支援と情報操作、ヴォルフは全体の指揮を執る。
アジトには、決戦前夜のような静かな緊張感が漂っていた。
アリアンナは、エルマから譲り受けたピックを手に、一人、隠し金庫の構造図と睨めっこをしていた。
その顔には、不安と期待、そして何よりもエドワードへの燃えるような憎しみが浮かんでいる。
「エドワード…あなたの秘密の箱庭は、もうすぐ終わりを迎えるわ。
私が、この手でこじ開けてあげる…!」
銀狼の牙が、今まさに、宿敵の喉元に突き立てられようとしていた。
次なる目標は、その金庫を開け、エドワードの秘密を白日の下に晒すことだった。
しかし、そのためには高度な鍵開けの技術が必要となる。
ヴォルフの指示を受け、アリアンナはバルムの街の裏社会でその名を知られる「鍵師の妖精」と呼ばれる老婆を訪ねることになった。
「鍵師の妖精、エルマ…本当にそんな人がいるのかしら」
アリアンナは、カインと共に、バルムの街の最も古い地区、迷路のように入り組んだ路地の奥深くへと足を踏み入れた。
湿っぽく、陽の光もほとんど届かないような場所。
教えられた住所には、今にも崩れそうな小さな家がひっそりと建っていた。
「ここか…」
カインが訝しげに呟く。
アリアンナが意を決して古びた木の扉を叩くと、しばらくして、内側からしゃがれた声が聞こえた。
「…誰だい?
うちは物乞いにやるようなもんは何もないよ」
「物乞いではありません。
エルマ様にお願いがあって参りました。
ヴァイス…いいえ、アリアと申します」
アリアンナが名乗ると、扉がギシリと音を立ててわずかに開いた。
隙間から覗いたのは、無数の皺に覆われた老婆の片目だった。
その瞳は、年の割には鋭く、アリアンナの全身を値踏みするように見ている。
「アリア…ねぇ。
何の用だい。
あたしはただのしがない隠居婆さんだよ」
「あなたが『鍵師の妖精』と謳われたエルマ様だと伺っています。
どうか、私たちにあなたの技術を貸していただけないでしょうか。
開けていただきたい『箱』があるのです」
アリアнナは単刀直入に切り出した。
エルマは、しばらくアリアンナの顔をじっと見つめていたが、やがてため息と共に扉を大きく開けた。
「…入りな。
こんなところで立ち話もなんだろう」
家の中は薄暗く、様々な種類の金属部品や工具類が所狭しと置かれていた。
壁には、見たこともないような複雑な形状の鍵や錠前がいくつも飾られている。
エルマは、部屋の中央にある小さなテーブルにつき、アリアンナたちにも座るよう促した。
「で、どんな『箱』なんだい?
あたしはもう、現役は引退した身だよ。
面倒ごとはごめんだ」
エルマはぶっきらぼうに言った。
その態度は、ヴォルフが言っていた通り、偏屈で気難しそうだ。
「王都の…ある大貴族の隠し金庫です。
その中には、彼の悪事を暴く重要な証拠が眠っているはずなのです」
アリアンナは、エルマの目を真っ直ぐに見つめて答えた。
「大貴族、ねぇ…。
そいつはまた、厄介な相手に手を出そうとしてるんだねぇ。
あんた、見かけは綺麗だけど、随分と物騒なことを考えるじゃないか」
エルマは面白がるでもなく、冷めた口調で言う。
「私には、どうしてもその証拠が必要なのです。
その貴族は、私から全てを奪い、私の人生をめちゃくちゃにした男…私の復讐相手なのです」
アリアンナの声には、抑えきれない怒りと悲しみが滲んでいた。
彼女は、自分の過去、エドワードとリリアの裏切り、そして「赤狼の牙」として戦う決意を、エルマに包み隠さず語った。
カインは、黙ってその様子を見守っている。
話を聞き終えたエルマは、しばらく目を閉じて何かを考えていたが、やがて静かに口を開いた。
「…あたしもね、昔、貴族に酷い目に遭わされたことがあるのさ。
信じていた人間に裏切られ、全てを奪われた。
だから、あんたの気持ちは、少しは分かるつもりだよ」
エルマの瞳の奥に、深い哀しみの色が浮かんだように見えた。
「ですが、だからといって、危険な橋を渡る義理はないわ。
あたしはもう…」
「お願いします、エルマ様!
あなたのお力添えがなければ、私たちは何もできません。
これは、私の個人的な復讐であると同時に、腐敗した貴族社会に一矢報いるための戦いでもあるのです。
『赤狼の牙』は、そのために活動しています」
アリアンナは頭を下げ、必死に懇願した。
その真摯な姿に、エルマの心がわずかに揺らいだように見えた。
「…ふん、赤狼の牙、ねぇ。
ヴォルフの奴も、相変わらずお人好しだねぇ。
いいだろう。
一度だけだ。
あんたたちの金庫破り、手伝ってやるよ」
「本当ですか!?」
アリアンナは顔を上げた。
「ただし、条件がある。
金庫を開けるのは、あたしじゃない。
あんたたち自身だ。
あたしは、そのための知識と技術を教えてやるだけさ。
それと、成功したら、報酬はきっちり貰うからね」
エルマはニヤリと笑った。
その笑顔は、どこか悪戯好きな子供のようにも見えた。
こうして、アリアンナと「赤狼の牙」は、「鍵師の妖精」エルマという強力な協力者を得ることになった。
翌日から、アリアンナと、手先の器用さを見込まれた数人のメンバーは、エルマの家で鍵開けと金庫破りのための厳しい訓練を開始した。
エルマの指導は容赦なく、アリアンナたちは何度も失敗を繰り返しながら、少しずつ技術を習得していく。
特にアリアンナは、元貴族令嬢とは思えないほどの集中力と器用さを発揮し、エルマを驚かせた。
「あんた、見かけによらず筋がいいねぇ。
その細い指は、鍵開けに向いてるのかもしれないよ」
エルマは、ぶっきらぼうながらも、アリアンナの才能を認めているようだった。
アリアンナもまた、エルマの奥深い知識と経験に敬意を抱き、師として仰ぐようになっていった。
その頃、王都では、エドワードがアリアンナの存在を確信し、ブラウンシュバイク公爵家の総力を挙げて彼女の行方を追っていた。
バルムの街にも多くの密偵が送り込まれ、「赤狼の牙」に関する情報収集が強化される。
街のあちこちには、アリアンナ(変装している可能性も示唆して)や、「赤狼の牙」の主要メンバーの似顔絵と共に、高額な懸賞金が掲げられた。
「ちっ、エドワードの奴、本気で俺たちを潰しに来る気だな」
カインは、街角に貼られた手配書を苦々しげに見つめる。
アジトの雰囲気も、以前より緊張感を増していた。
メンバーの中には、ブラウンシュバイク公爵家という巨大な敵を相手にすることへの不安を口にする者も出始めた。
「リーダー、本当に大丈夫なんでしょうか?
俺たちは、ただの盗賊団ですぜ。
公爵様に睨まれたら、ひとたまりもありませんよ…」
ある夜、古参のメンバーの一人がヴォルフに詰め寄った。
「黙れ!
我々はただの盗賊ではない!
腐った権力に立ち向かう『義賊』だということを忘れたか!
アリアンナの復讐は、我々の大義にも繋がっている。
ここで怖気づくようなら、最初から仲間になるな!」
ヴォルフは一喝し、動揺するメンバーたちを鎮めた。
しかし、彼の胸の内にも、不安がなかったわけではない。
アリアンナは、その様子を複雑な思いで見つめていた。
自分の個人的な復讐が、仲間たちを危険に晒している。
その事実に、彼女は重い責任を感じていた。
「(私が、もっと強くならなければ…みんなを守れるくらいに…)」
アリアンナの決意は、さらに固いものへと変わっていった。
数週間後。
ミラが王都から重要な情報をもたらした。
「掴んだわ!
ブラウンシュバイク邸の警備が、一時的に手薄になる日が!
三日後、エドワードはクラウディア姫を伴って、隣国の祝祭に出席するため王都を離れるらしいの。
その間、邸の主だった警備兵も同行するため、普段より侵入しやすくなるはずよ!」
「本当か、ミラ!」
ヴォルフが身を乗り出す。
「ええ!
それに、エルマ様が言っていた金庫の型番も分かったわ。
旧式の、だが非常に頑丈な『タイタン鉄鋼社製』のものらしいわね」
その情報を聞いたエルマは、ニヤリと笑った。
「タイタン鉄鋼社製か…。
懐かしいねぇ。
そいつは、一筋縄ではいかない代物だよ。
だが、開けられない鍵はないのさ」
エルマは、アリアンナに一つの小さな革袋を手渡した。
中には、特殊な形状をした細い金属製の道具が数本入っている。
「こいつは、あたしが若い頃に使っていた秘蔵のピックだ。
あんたに託すよ。
必ず、そのクソ貴族の鼻を明かしてやりな」
「エルマ様…ありがとうございます!」
アリアンナは、エルマの手を固く握りしめた。
作戦決行の日は、三日後。
潜入チームは、アリアンナ、カイン、そして鍵開けの訓練を積んだもう一人のメンバー、小柄で俊敏な若者リックに決まった。
ミラは後方支援と情報操作、ヴォルフは全体の指揮を執る。
アジトには、決戦前夜のような静かな緊張感が漂っていた。
アリアンナは、エルマから譲り受けたピックを手に、一人、隠し金庫の構造図と睨めっこをしていた。
その顔には、不安と期待、そして何よりもエドワードへの燃えるような憎しみが浮かんでいる。
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