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第五話:禁じられた奇跡と絶望の目撃者
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ジュリアンの書斎で過ごす奇妙な日常が、私のすべてになりつつあった。
あれから、数週間が過ぎた。
私たちは、相変わらず主と侍女という立場でありながら、その実、年の近い学友のように、あるいは、共に何かを企む共犯者のように、濃密な時間を過ごしていた。
解読を進める古文書は、大陸の根幹を揺るがしかねない、驚くべき事実を示唆していた。
ガルディナ帝国が正史としてきた歴史は、勝者によって書き換えられたものであり、真の王権の正統性は、武力ではなく、古の魔法の血筋にある、と。
「馬鹿げたおとぎ話だ。だが、もしこれが真実なら、面白いことになる」
そう言って笑うジュリアンの横顔を、私は盗み見ていた。
この日々が、心地よいと感じ始めてしまっている自分に、気づかないふりをしながら。
復讐という灼熱の炎は、彼の隣にいる時間だけ、穏やかな温かさへと変わってしまう。
その温もりが、私を甘く、そして確実に蝕んでいた。
レオンハルトとは、あの日以来、一度も会っていない。
彼が私をどう思っているか、考えないようにしていた。
考えれば、この心地よい居場所が、罪悪感で塗りつぶされてしまうから。
私は、孤独だった。
そして、その孤独を埋めてくれるのが、最も憎むべき敵であるという矛盾に、深く苦しんでいた。
そんなある日、宮廷では皇帝主催の、年に一度の狩猟大会が催されることになった。
貴族たちが、己の武勇と権力を誇示するための、華やかな催しだ。
もちろん、皇太子であるジュリアンも、参加は免れない。
「面倒くさいこと、この上ないな。俺は、森で動物を追い回すより、書庫で埃をかぶった本を追いかける方が好きだというのに」
狩りの装束に着替えながら、ジュリアンは心底うんざりしたようにため息をつく。
私は、彼の装束のベルトを締めながら、思わず小さく笑ってしまった。
「殿下。そのようなことをおっしゃって、獲物を一頭も狩れなかったら、また皆に『腑抜け皇子』と笑われますよ」
「お前にまで言われるとは、心外だな」
彼は、私の鼻を指で軽くつついて、悪戯っぽく笑った。
そんな何気ない触れ合いに、私の心臓が、とくん、と小さく跳ねる。
いけない。
この距離は、あまりにも危険だ。
狩猟場の準備区域は、貴族たちの熱気でむせ返っていた。
私は、ジュリアン付きの侍女として、彼の弓や矢を管理し、出発を見送る。
「ティナ」
馬上の人となったジュリアンが、私を呼んだ。
「お前は、ここで待っていろ。すぐに、一番でかい獲物を仕留めて、お前の目の前に放り投げてやるさ」
「ご武運を、お祈りしております」
深く頭を下げる私に、彼は満足そうに頷くと、馬の腹を蹴って、深い森の中へと消えていった。
他の貴族たちも、次々と森へとなだれ込んでいく。
その中には、宰相オルダスの、氷のように冷たい視線があったことに、私は気づかなかった。
残された者たちの、退屈な待ち時間。
私は、ただひたすらに、彼の無事だけを祈っていた。
敵の、無事を。
その矛盾した祈りに、我ながら自嘲の笑みが浮かぶ。
どれくらいの時間が経っただろうか。
森の奥から、けたたましい角笛の音が響き渡った。
それは、緊急事態を知らせる合図。
準備区域が、一気に騒がしくなる。
何が起きたのかと、誰もが不安な表情で森の入り口を見つめる。
やがて、数人の騎士が、担架を担いで血相を変えて飛び出してきた。
担架の上には、ぐったりとした人影。
その人物がまとっている、皇太子だけが許された紫の装束を見て、私の血の気が引いた。
「ジュリアン様!」
誰かの悲鳴が上がる。
担架で運ばれてきたのは、間違いなくジュリアンだった。
彼の胸や腹は、獣の牙で引き裂かれたように、赤黒く染まっている。
顔は蒼白で、その唇からは、か細い呼吸が漏れるだけだ。
「一体、何があったのだ!」
「巨大な猪が……突然、殿下の前に……!」
「侍医を呼べ!早く!」
現場は、大パニックに陥っていた。
私は、人垣をかき分け、彼のそばへ駆け寄る。
「殿下!しっかりしてください、殿下!」
呼びかけても、彼の紫色の瞳が開かれることはない。
すぐに駆けつけた侍医が、彼の傷口を見るなり、絶望的な表情で首を振った。
「だめだ……傷が深すぎる。内臓までやられている。もはや、神に祈るしか……」
その言葉が、私の頭を鈍器で殴られたかのように、ぐらつかせた。
彼が、死ぬ?
この男が?
復讐の相手が、いなくなる。
私の目的が、一つ、果たされる。
喜ぶべきだ。
笑うべきだ。
なのに。
どうして、胸が、こんなにも張り裂けそうに痛いのだろう。
どうして、涙が、勝手に溢れてくるのだろう。
嫌だ。
死なせたくない。
彼を、失いたくない。
その強い感情が、私の身体を突き動かした。
私は、薬指にはめられた、銀の指輪を固く握りしめる。
これを使うしかない。
たとえ、それが、何を意味することになったとしても。
「皆様、お下がりください!」
私は、ほとんど叫ぶように言った。
「殿下は、誇り高き方です!このようなお姿を、大勢に見られることをお望みにはなりません!私が、責任をもって、殿下のお身体を清めます!」
私の気迫に押されたのか、あるいは、もう助からないという諦めからか、侍医も騎士たちも、少しずつテントの外へと出ていく。
宰相オルダスが、探るような視線を一瞬私に向けたが、やがて興味を失ったように去っていった。
ついに、テントの中には、私と、死の淵にいるジュリアンだけが残された。
「……殿下」
私は、彼の血まみれの手を握る。
まだ、温かい。
でも、その温もりは、どんどん失われていっている。
覚悟を、決めなくては。
私は、震える手で、彼の額にかかった汗を拭う。
そして、ゆっくりと、彼の顔に自分の顔を近づけた。
『我が命の灯火を、愛しき人に』
父から伝えられた、古の契約の言葉。
愛しき人。
そう、私は、この男を。
憎むべき、この男を。
私は、彼の、血の気の失せた唇に、そっと自分の唇を重ねた。
その瞬間、左手の指輪が、灼熱を帯びたかのように熱くなる。
まばゆい、白銀の光が、指輪から溢れ出し、私とジュリアンの身体を包み込んだ。
温かい何かが、私の胸から、彼の中へと流れ込んでいくのが分かった。
私の生命そのものが、彼へと注がれていく。
光の中で、彼の無残な傷口が、奇跡のように少しずつ塞がっていくのが見えた。
良かった。
助かる。
安堵したのも束の間、私の身体から、急速に力が失われていく。
視界が、ぐにゃりと歪む。
意識が、遠のいていく。
ああ、これが、代償。
薄れゆく意識の中、テントの入り口の隙間に、人影が見えた。
その人物は、目の前の光景が信じられないというように、大きく目を見開き、わなわなと震えている。
レオン……?
どうして、彼がここに。
彼の絶望に染まった顔が、私の最後の記憶となった。
最大の秘密は、最悪の形で、最も知られてはならない相手に、知られてしまった。
私は、深い、深い闇の中へと落ちていった。
あれから、数週間が過ぎた。
私たちは、相変わらず主と侍女という立場でありながら、その実、年の近い学友のように、あるいは、共に何かを企む共犯者のように、濃密な時間を過ごしていた。
解読を進める古文書は、大陸の根幹を揺るがしかねない、驚くべき事実を示唆していた。
ガルディナ帝国が正史としてきた歴史は、勝者によって書き換えられたものであり、真の王権の正統性は、武力ではなく、古の魔法の血筋にある、と。
「馬鹿げたおとぎ話だ。だが、もしこれが真実なら、面白いことになる」
そう言って笑うジュリアンの横顔を、私は盗み見ていた。
この日々が、心地よいと感じ始めてしまっている自分に、気づかないふりをしながら。
復讐という灼熱の炎は、彼の隣にいる時間だけ、穏やかな温かさへと変わってしまう。
その温もりが、私を甘く、そして確実に蝕んでいた。
レオンハルトとは、あの日以来、一度も会っていない。
彼が私をどう思っているか、考えないようにしていた。
考えれば、この心地よい居場所が、罪悪感で塗りつぶされてしまうから。
私は、孤独だった。
そして、その孤独を埋めてくれるのが、最も憎むべき敵であるという矛盾に、深く苦しんでいた。
そんなある日、宮廷では皇帝主催の、年に一度の狩猟大会が催されることになった。
貴族たちが、己の武勇と権力を誇示するための、華やかな催しだ。
もちろん、皇太子であるジュリアンも、参加は免れない。
「面倒くさいこと、この上ないな。俺は、森で動物を追い回すより、書庫で埃をかぶった本を追いかける方が好きだというのに」
狩りの装束に着替えながら、ジュリアンは心底うんざりしたようにため息をつく。
私は、彼の装束のベルトを締めながら、思わず小さく笑ってしまった。
「殿下。そのようなことをおっしゃって、獲物を一頭も狩れなかったら、また皆に『腑抜け皇子』と笑われますよ」
「お前にまで言われるとは、心外だな」
彼は、私の鼻を指で軽くつついて、悪戯っぽく笑った。
そんな何気ない触れ合いに、私の心臓が、とくん、と小さく跳ねる。
いけない。
この距離は、あまりにも危険だ。
狩猟場の準備区域は、貴族たちの熱気でむせ返っていた。
私は、ジュリアン付きの侍女として、彼の弓や矢を管理し、出発を見送る。
「ティナ」
馬上の人となったジュリアンが、私を呼んだ。
「お前は、ここで待っていろ。すぐに、一番でかい獲物を仕留めて、お前の目の前に放り投げてやるさ」
「ご武運を、お祈りしております」
深く頭を下げる私に、彼は満足そうに頷くと、馬の腹を蹴って、深い森の中へと消えていった。
他の貴族たちも、次々と森へとなだれ込んでいく。
その中には、宰相オルダスの、氷のように冷たい視線があったことに、私は気づかなかった。
残された者たちの、退屈な待ち時間。
私は、ただひたすらに、彼の無事だけを祈っていた。
敵の、無事を。
その矛盾した祈りに、我ながら自嘲の笑みが浮かぶ。
どれくらいの時間が経っただろうか。
森の奥から、けたたましい角笛の音が響き渡った。
それは、緊急事態を知らせる合図。
準備区域が、一気に騒がしくなる。
何が起きたのかと、誰もが不安な表情で森の入り口を見つめる。
やがて、数人の騎士が、担架を担いで血相を変えて飛び出してきた。
担架の上には、ぐったりとした人影。
その人物がまとっている、皇太子だけが許された紫の装束を見て、私の血の気が引いた。
「ジュリアン様!」
誰かの悲鳴が上がる。
担架で運ばれてきたのは、間違いなくジュリアンだった。
彼の胸や腹は、獣の牙で引き裂かれたように、赤黒く染まっている。
顔は蒼白で、その唇からは、か細い呼吸が漏れるだけだ。
「一体、何があったのだ!」
「巨大な猪が……突然、殿下の前に……!」
「侍医を呼べ!早く!」
現場は、大パニックに陥っていた。
私は、人垣をかき分け、彼のそばへ駆け寄る。
「殿下!しっかりしてください、殿下!」
呼びかけても、彼の紫色の瞳が開かれることはない。
すぐに駆けつけた侍医が、彼の傷口を見るなり、絶望的な表情で首を振った。
「だめだ……傷が深すぎる。内臓までやられている。もはや、神に祈るしか……」
その言葉が、私の頭を鈍器で殴られたかのように、ぐらつかせた。
彼が、死ぬ?
この男が?
復讐の相手が、いなくなる。
私の目的が、一つ、果たされる。
喜ぶべきだ。
笑うべきだ。
なのに。
どうして、胸が、こんなにも張り裂けそうに痛いのだろう。
どうして、涙が、勝手に溢れてくるのだろう。
嫌だ。
死なせたくない。
彼を、失いたくない。
その強い感情が、私の身体を突き動かした。
私は、薬指にはめられた、銀の指輪を固く握りしめる。
これを使うしかない。
たとえ、それが、何を意味することになったとしても。
「皆様、お下がりください!」
私は、ほとんど叫ぶように言った。
「殿下は、誇り高き方です!このようなお姿を、大勢に見られることをお望みにはなりません!私が、責任をもって、殿下のお身体を清めます!」
私の気迫に押されたのか、あるいは、もう助からないという諦めからか、侍医も騎士たちも、少しずつテントの外へと出ていく。
宰相オルダスが、探るような視線を一瞬私に向けたが、やがて興味を失ったように去っていった。
ついに、テントの中には、私と、死の淵にいるジュリアンだけが残された。
「……殿下」
私は、彼の血まみれの手を握る。
まだ、温かい。
でも、その温もりは、どんどん失われていっている。
覚悟を、決めなくては。
私は、震える手で、彼の額にかかった汗を拭う。
そして、ゆっくりと、彼の顔に自分の顔を近づけた。
『我が命の灯火を、愛しき人に』
父から伝えられた、古の契約の言葉。
愛しき人。
そう、私は、この男を。
憎むべき、この男を。
私は、彼の、血の気の失せた唇に、そっと自分の唇を重ねた。
その瞬間、左手の指輪が、灼熱を帯びたかのように熱くなる。
まばゆい、白銀の光が、指輪から溢れ出し、私とジュリアンの身体を包み込んだ。
温かい何かが、私の胸から、彼の中へと流れ込んでいくのが分かった。
私の生命そのものが、彼へと注がれていく。
光の中で、彼の無残な傷口が、奇跡のように少しずつ塞がっていくのが見えた。
良かった。
助かる。
安堵したのも束の間、私の身体から、急速に力が失われていく。
視界が、ぐにゃりと歪む。
意識が、遠のいていく。
ああ、これが、代償。
薄れゆく意識の中、テントの入り口の隙間に、人影が見えた。
その人物は、目の前の光景が信じられないというように、大きく目を見開き、わなわなと震えている。
レオン……?
どうして、彼がここに。
彼の絶望に染まった顔が、私の最後の記憶となった。
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