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第81話『天空の方舟と最初の試練』
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アレンのスキルが生み出した、生ける船『天空の方舟(アーク・プラント)』は、大陸中の人々の祈りをその翼に乗せ、大空へと舞い上がった。
眼下に広がるのは、どこまでも続く、美しい雲の海。
アレンは、初めて見る空からの景色に、子供のようにはしゃいでいた。
「うわー!
リナリア、見て!
雲って、なんだか、すごく大きな綿菓子みたいだね!
あれ、食べられるのかな?」
「食べられるわけないでしょ!
それに、アレン、危ないから、あまり縁に寄らないで!」
リナリアが、いつものように、心配そうな顔でアレンの手を引く。
方舟の内部は、アレンの魔力に呼応し、常に、快適な温度と、清浄な空気が保たれていた。
甲板の隅では、アレンが植えた小さな植物が、旅の間の食料となる、新鮮な果実や、綺麗な水を、こんこんと生み出し続けている。
風の精霊と会話し、方舟の進路を正確に導くルミナ。
そして、方舟の先頭に立ち、剣を片手に、常に周囲の警戒を怠らないグレイ。
四人の仲間たちを乗せた、奇跡の方舟は、一路、東の魔大陸を目指し、雲の海を、突き進んでいった。
◇
だが、その穏やかな空の旅は、長くは続かなかった。
大陸棚を越え、禍々しい暗黒海流の上空に差し掛かった、その時だった。
「……来たか」
グレイが、低い声で呟く。
遥か前方の、黒い雲の中から、無数の影が、一行に向かって、急速に接近してきていた。
翼を持つ魔獣、ワイバーンや、ガーゴイルの、大編隊。
魔大陸の、最初の迎撃部隊だった。
キーキーッ、と、甲高い鳴き声を上げながら、魔獣たちが、方舟を、完全に包囲する。
そして、その口から、次々と、炎や、雷のブレスを、吐きかけてきた。
「結界を張ります!」
ルミナの風の魔法と、リナリアの光の魔法が、即座に、方舟を覆う、二重の防御結界を展開する。
だが、敵の数は、あまりにも多い。
結界に、次々とブレスが着弾し、激しい衝撃が、方舟を揺るがした。
「このままでは、ジリ貧だ!」
グレイは、そう叫ぶと、方舟の縁に立ち、襲いかかってくるワイバーンを、その卓越した剣技で、次々と、斬り落としていく。
だが、一匹を倒せば、二匹、三匹と、敵は、後から後から、際限なく、湧いてくる。
そして、ついに。
一際、巨大なワイバーンの吐いた、強力な炎のブレスが、防御結界の一部を突き破り、方舟の、巨大な葉でできた翼の一枚を、黒く、焼き焦がした。
「きゃっ!」
方舟が、大きく傾き、リナリアとルミナが、悲鳴を上げる。
このままでは、撃ち落とされてしまう。
誰もが、絶望的な気持ちになった、その時だった。
アレンは、攻撃に晒され、悲鳴を上げる、自分の方舟の声を聞いていた。
「……僕の畑を、いじめるな!」
アレンは、方舟の甲板の中心に、その両手を、強く、押し当てた。
そして、これまで、外の世界にしか使ってこなかった、彼のスキルの力を、この、方舟そのものに、直接、注ぎ込んだのだ。
すると、信じられないことが起きた。
『天空の方舟』が、アレンのその強い意志に応え、まるで、生きているかのように、その姿を、変貌させ始めたのだ。
方舟の甲板の、至る所から、無数の、しなやかで、強靭なツタが、巨大な鞭のようにしなり、周囲を飛び回る魔獣たちを、次々と、絡め捕っていく。
ブレスで焼かれ、黒焦げになった翼の部分からは、瞬時に、新しい、そして、以前よりも、遥かに強固な、美しい緑の葉が、再生していく。
さらに、驚くべきことに。
方舟の周囲に、敵のブレスを、その大きな口で、まるで、ご馳走を食べるかのように、ぱくり、ぱくりと、吸収してしまう、巨大な『捕食花(カーニバル・フラワー)』が、何輪も、何輪も、咲き誇ったのだ。
『天空の方舟』は、もはや、ただの乗り物ではなかった。
攻撃を受ければ受けるほど、そのエネルギーを自らの栄養とし、自己修復し、そして、反撃する、まさに、無敵の「空中要塞庭園」と化していた。
◇
魔獣の迎撃部隊は、手も足も出なくなった。
攻撃は、全て吸収され、近づけば、ツタに絡め取られる。
彼らは、その、あまりにも規格外な、生ける要塞を前に、恐怖に駆られ、混乱し、やがて、撤退していった。
一行は、魔大陸からの、最初の試練を、アレンの、その圧倒的なスキルによって、見事に、乗り越えたのだった。
だが、グレイは、安堵しながらも、目の前で、今も、生き物のように、その姿を変容させ続ける方舟と、その中心に立つアレンを見て、静かに、呟いた。
「……アレン。
お前のその力は、もはや、儂の、いや、この世界の、誰の想像をも、超えている。
その、あまりにも強大すぎる力は、果たして、お前自身に、本当に、制御しきれるものなのか……?」
アレンの力が、彼の意思とは関係なく、どこまでも、進化し続けていることへの、かすかな不安と、そして、畏怖。
その時、ルミナが、前方を指さし、声を上げた。
「見てください!
あれは……!」
遥か、前方の空。
禍々しい、紫色の魔力の嵐に、分厚く、覆われた、巨大な、大陸の影が、見え始めていた。
ついに、敵の本拠地、魔大陸が、その姿を、現したのだ。
眼下に広がるのは、どこまでも続く、美しい雲の海。
アレンは、初めて見る空からの景色に、子供のようにはしゃいでいた。
「うわー!
リナリア、見て!
雲って、なんだか、すごく大きな綿菓子みたいだね!
あれ、食べられるのかな?」
「食べられるわけないでしょ!
それに、アレン、危ないから、あまり縁に寄らないで!」
リナリアが、いつものように、心配そうな顔でアレンの手を引く。
方舟の内部は、アレンの魔力に呼応し、常に、快適な温度と、清浄な空気が保たれていた。
甲板の隅では、アレンが植えた小さな植物が、旅の間の食料となる、新鮮な果実や、綺麗な水を、こんこんと生み出し続けている。
風の精霊と会話し、方舟の進路を正確に導くルミナ。
そして、方舟の先頭に立ち、剣を片手に、常に周囲の警戒を怠らないグレイ。
四人の仲間たちを乗せた、奇跡の方舟は、一路、東の魔大陸を目指し、雲の海を、突き進んでいった。
◇
だが、その穏やかな空の旅は、長くは続かなかった。
大陸棚を越え、禍々しい暗黒海流の上空に差し掛かった、その時だった。
「……来たか」
グレイが、低い声で呟く。
遥か前方の、黒い雲の中から、無数の影が、一行に向かって、急速に接近してきていた。
翼を持つ魔獣、ワイバーンや、ガーゴイルの、大編隊。
魔大陸の、最初の迎撃部隊だった。
キーキーッ、と、甲高い鳴き声を上げながら、魔獣たちが、方舟を、完全に包囲する。
そして、その口から、次々と、炎や、雷のブレスを、吐きかけてきた。
「結界を張ります!」
ルミナの風の魔法と、リナリアの光の魔法が、即座に、方舟を覆う、二重の防御結界を展開する。
だが、敵の数は、あまりにも多い。
結界に、次々とブレスが着弾し、激しい衝撃が、方舟を揺るがした。
「このままでは、ジリ貧だ!」
グレイは、そう叫ぶと、方舟の縁に立ち、襲いかかってくるワイバーンを、その卓越した剣技で、次々と、斬り落としていく。
だが、一匹を倒せば、二匹、三匹と、敵は、後から後から、際限なく、湧いてくる。
そして、ついに。
一際、巨大なワイバーンの吐いた、強力な炎のブレスが、防御結界の一部を突き破り、方舟の、巨大な葉でできた翼の一枚を、黒く、焼き焦がした。
「きゃっ!」
方舟が、大きく傾き、リナリアとルミナが、悲鳴を上げる。
このままでは、撃ち落とされてしまう。
誰もが、絶望的な気持ちになった、その時だった。
アレンは、攻撃に晒され、悲鳴を上げる、自分の方舟の声を聞いていた。
「……僕の畑を、いじめるな!」
アレンは、方舟の甲板の中心に、その両手を、強く、押し当てた。
そして、これまで、外の世界にしか使ってこなかった、彼のスキルの力を、この、方舟そのものに、直接、注ぎ込んだのだ。
すると、信じられないことが起きた。
『天空の方舟』が、アレンのその強い意志に応え、まるで、生きているかのように、その姿を、変貌させ始めたのだ。
方舟の甲板の、至る所から、無数の、しなやかで、強靭なツタが、巨大な鞭のようにしなり、周囲を飛び回る魔獣たちを、次々と、絡め捕っていく。
ブレスで焼かれ、黒焦げになった翼の部分からは、瞬時に、新しい、そして、以前よりも、遥かに強固な、美しい緑の葉が、再生していく。
さらに、驚くべきことに。
方舟の周囲に、敵のブレスを、その大きな口で、まるで、ご馳走を食べるかのように、ぱくり、ぱくりと、吸収してしまう、巨大な『捕食花(カーニバル・フラワー)』が、何輪も、何輪も、咲き誇ったのだ。
『天空の方舟』は、もはや、ただの乗り物ではなかった。
攻撃を受ければ受けるほど、そのエネルギーを自らの栄養とし、自己修復し、そして、反撃する、まさに、無敵の「空中要塞庭園」と化していた。
◇
魔獣の迎撃部隊は、手も足も出なくなった。
攻撃は、全て吸収され、近づけば、ツタに絡め取られる。
彼らは、その、あまりにも規格外な、生ける要塞を前に、恐怖に駆られ、混乱し、やがて、撤退していった。
一行は、魔大陸からの、最初の試練を、アレンの、その圧倒的なスキルによって、見事に、乗り越えたのだった。
だが、グレイは、安堵しながらも、目の前で、今も、生き物のように、その姿を変容させ続ける方舟と、その中心に立つアレンを見て、静かに、呟いた。
「……アレン。
お前のその力は、もはや、儂の、いや、この世界の、誰の想像をも、超えている。
その、あまりにも強大すぎる力は、果たして、お前自身に、本当に、制御しきれるものなのか……?」
アレンの力が、彼の意思とは関係なく、どこまでも、進化し続けていることへの、かすかな不安と、そして、畏怖。
その時、ルミナが、前方を指さし、声を上げた。
「見てください!
あれは……!」
遥か、前方の空。
禍々しい、紫色の魔力の嵐に、分厚く、覆われた、巨大な、大陸の影が、見え始めていた。
ついに、敵の本拠地、魔大陸が、その姿を、現したのだ。
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