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第62話 王都の洗礼と第一歩
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王都アステリアでの最初の朝が訪れた。
下宿屋の小さな窓から差し込む柔らかな朝日が、アルトの顔を照らす。
遠くから聞こえてくるのは、昨日、彼を圧倒した、巨大な都市の目覚めの音――荷馬車の車輪が石畳を叩く音、教会の鐘の音、そして無数の人々のざわめき。
アルトはベッドから起き上がり、窓の外に広がる王都の街並みを見下ろした。
高い建物、複雑に入り組んだ道、そして空を突く王城の尖塔。
ここが、自分の新たな冒険の舞台なのだ。
期待と、ほんの少しの不安を胸に、アルトは新しい一日へと踏み出した。
下宿屋の女将さんが用意してくれた、素朴だが温かいパンと野菜スープの朝食をありがたくいただく。
家庭的な味に、少しだけ故郷を思い出し、心が和んだ。
身支度を整え、アルトはまず情報収集のために、昨日訪れたばかりの巨大な冒険者ギルド本部へと再び向かった。
幸い、今日はもう道に迷うことはなかった。
広大なギルドホールは、朝から多くの冒険者たちで賑わっていた。
アルトは、昨日十分に見て回れなかったギルドの内部を、改めて観察してみる。
ランクごとに分けられた依頼掲示板。Dランクの掲示板には、アッシュフォード村では考えられなかったような、多様で、そして報酬も高い依頼がびっしりと貼られている。
「オーク斥候部隊の追跡」「鉱山都市への物資護衛」「貴族からの秘密の依頼」…その一つ一つが、アルトの知らない世界の存在を感じさせる。
奥には、分厚い魔物図鑑や各地の地図、歴史書などが収められた資料室があるようだ。
冒険者たちが自由に情報を交換したり、休憩したりできる談話室からは、賑やかな声が聞こえてくる。
そして、壁には有料訓練場の案内も掲示されていた。様々な設備が整っているようだが、その利用料金を見て、アルトは少しため息をついた。
王都では、強くなるためにもお金が必要なのだ。
バルガス師匠のような存在を、この大都市で見つけるのも容易ではないだろう。
訓練一つするにも、村とは勝手が違うことを実感する。
ギルドを出たアルトは、王都の地理を頭に入れるため、そして様々な情報を得るために、街を歩き回ってみることにした。
活気あふれる中央市場を抜け、屈強な冒険者向けの武具がずらりと並ぶ武器屋街へ。
ショーウィンドウに飾られた、魔法が付与されたらしい輝く剣や、美しい装飾が施された鎧は、アルトが持つショートソードや革鎧とは比べ物にならないほど高価で、そして強力そうだ。
自分の装備が、この王都の基準ではまだまだ心許ないものであることを、改めて思い知らされる。
大神殿地区の荘厳な雰囲気や、遠くに見える貴族街の華麗な建物。
歩けば歩くほど、この王都アステリアという場所の巨大さ、多様さ、そして、きらびやかな光と、その下に潜む影のようなものを感じずにはいられなかった。
さて、これからどうするか。
すぐに高難易度の依頼に挑戦するのも一つの手だが、まずはこの王都の空気と、ギルドのシステムに慣れるのが先決だろう。
アルトは、Dランク依頼の中から、比較的安全で、かつ王都ならではと言える依頼を選んでみることにした。
彼が選んだのは、こんな依頼だった。
『下水道の小型スライム駆除:王都第一区画の下水道に異常発生した小型スライム(ポイズン系含む可能性あり)の駆除。汚損に注意。報酬 銅貨50枚。ランクF以上(Eランク推奨)』
下水道での、スライム駆除。
衛生的とは言えないし、少し地味な仕事かもしれない。
だが、危険度はそれほど高くないはずだ。
まずはこの依頼を確実にこなし、王都での仕事の流れを掴む。
そして、報酬を得て、今後の活動資金を確保する。
それが、今の自分にとって最も堅実な一歩だと判断したのだ。
依頼書を手に、アルトは一度下宿屋へと戻った。
日が暮れるまでにはまだ時間がある。
彼は、灯りの下でペンを取り、故郷のアッシュフォード村へ宛てた手紙を書き始めた。
まずはリナへ。
無事に王都に着いたこと、ギルド本部がとても大きくて驚いたこと、親切な下宿屋を見つけたこと、そして、彼女のくれたお守りが心の支えになっていること。
次に、家族へ。
同じように無事を伝え、王都の様子を知らせ、心配をかけないように、元気にやっていることを強調して書いた。
手紙を書き終えると、アルトはそれを近くの(これも初めて利用する)王都の郵便ギルドに託した。
返事が届くのは、早くて一月以上先になるだろう。
それでも、こうして手紙を出すことで、遠く離れた故郷との確かな繋がりを感じることができた。
リナとの再会の約束も、改めて胸に強く刻み込む。
さあ、明日は王都での初めての依頼だ。
アルトは、気持ちを切り替え、明日の下水道でのスライム駆除に向けて、装備の点検と準備を始めた。
ショートソードの刃を確認し、バックラーの革紐を締め、ランタンの油も補充する。
アッシュフォード村の森や洞窟とは全く違う、王都の地下に広がる未知の迷宮。
そこで彼は一体何を見つけ、そしてどんな戦いを繰り広げるのだろうか。
その第一歩は、薄暗く、湿った地下の世界から始まる。
下宿屋の小さな窓から差し込む柔らかな朝日が、アルトの顔を照らす。
遠くから聞こえてくるのは、昨日、彼を圧倒した、巨大な都市の目覚めの音――荷馬車の車輪が石畳を叩く音、教会の鐘の音、そして無数の人々のざわめき。
アルトはベッドから起き上がり、窓の外に広がる王都の街並みを見下ろした。
高い建物、複雑に入り組んだ道、そして空を突く王城の尖塔。
ここが、自分の新たな冒険の舞台なのだ。
期待と、ほんの少しの不安を胸に、アルトは新しい一日へと踏み出した。
下宿屋の女将さんが用意してくれた、素朴だが温かいパンと野菜スープの朝食をありがたくいただく。
家庭的な味に、少しだけ故郷を思い出し、心が和んだ。
身支度を整え、アルトはまず情報収集のために、昨日訪れたばかりの巨大な冒険者ギルド本部へと再び向かった。
幸い、今日はもう道に迷うことはなかった。
広大なギルドホールは、朝から多くの冒険者たちで賑わっていた。
アルトは、昨日十分に見て回れなかったギルドの内部を、改めて観察してみる。
ランクごとに分けられた依頼掲示板。Dランクの掲示板には、アッシュフォード村では考えられなかったような、多様で、そして報酬も高い依頼がびっしりと貼られている。
「オーク斥候部隊の追跡」「鉱山都市への物資護衛」「貴族からの秘密の依頼」…その一つ一つが、アルトの知らない世界の存在を感じさせる。
奥には、分厚い魔物図鑑や各地の地図、歴史書などが収められた資料室があるようだ。
冒険者たちが自由に情報を交換したり、休憩したりできる談話室からは、賑やかな声が聞こえてくる。
そして、壁には有料訓練場の案内も掲示されていた。様々な設備が整っているようだが、その利用料金を見て、アルトは少しため息をついた。
王都では、強くなるためにもお金が必要なのだ。
バルガス師匠のような存在を、この大都市で見つけるのも容易ではないだろう。
訓練一つするにも、村とは勝手が違うことを実感する。
ギルドを出たアルトは、王都の地理を頭に入れるため、そして様々な情報を得るために、街を歩き回ってみることにした。
活気あふれる中央市場を抜け、屈強な冒険者向けの武具がずらりと並ぶ武器屋街へ。
ショーウィンドウに飾られた、魔法が付与されたらしい輝く剣や、美しい装飾が施された鎧は、アルトが持つショートソードや革鎧とは比べ物にならないほど高価で、そして強力そうだ。
自分の装備が、この王都の基準ではまだまだ心許ないものであることを、改めて思い知らされる。
大神殿地区の荘厳な雰囲気や、遠くに見える貴族街の華麗な建物。
歩けば歩くほど、この王都アステリアという場所の巨大さ、多様さ、そして、きらびやかな光と、その下に潜む影のようなものを感じずにはいられなかった。
さて、これからどうするか。
すぐに高難易度の依頼に挑戦するのも一つの手だが、まずはこの王都の空気と、ギルドのシステムに慣れるのが先決だろう。
アルトは、Dランク依頼の中から、比較的安全で、かつ王都ならではと言える依頼を選んでみることにした。
彼が選んだのは、こんな依頼だった。
『下水道の小型スライム駆除:王都第一区画の下水道に異常発生した小型スライム(ポイズン系含む可能性あり)の駆除。汚損に注意。報酬 銅貨50枚。ランクF以上(Eランク推奨)』
下水道での、スライム駆除。
衛生的とは言えないし、少し地味な仕事かもしれない。
だが、危険度はそれほど高くないはずだ。
まずはこの依頼を確実にこなし、王都での仕事の流れを掴む。
そして、報酬を得て、今後の活動資金を確保する。
それが、今の自分にとって最も堅実な一歩だと判断したのだ。
依頼書を手に、アルトは一度下宿屋へと戻った。
日が暮れるまでにはまだ時間がある。
彼は、灯りの下でペンを取り、故郷のアッシュフォード村へ宛てた手紙を書き始めた。
まずはリナへ。
無事に王都に着いたこと、ギルド本部がとても大きくて驚いたこと、親切な下宿屋を見つけたこと、そして、彼女のくれたお守りが心の支えになっていること。
次に、家族へ。
同じように無事を伝え、王都の様子を知らせ、心配をかけないように、元気にやっていることを強調して書いた。
手紙を書き終えると、アルトはそれを近くの(これも初めて利用する)王都の郵便ギルドに託した。
返事が届くのは、早くて一月以上先になるだろう。
それでも、こうして手紙を出すことで、遠く離れた故郷との確かな繋がりを感じることができた。
リナとの再会の約束も、改めて胸に強く刻み込む。
さあ、明日は王都での初めての依頼だ。
アルトは、気持ちを切り替え、明日の下水道でのスライム駆除に向けて、装備の点検と準備を始めた。
ショートソードの刃を確認し、バックラーの革紐を締め、ランタンの油も補充する。
アッシュフォード村の森や洞窟とは全く違う、王都の地下に広がる未知の迷宮。
そこで彼は一体何を見つけ、そしてどんな戦いを繰り広げるのだろうか。
その第一歩は、薄暗く、湿った地下の世界から始まる。
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