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第68話 街道の巨影、オーガとの死闘
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ギフト研究家エリアーヌとの出会いは、アルトに自身のギフト【ダメージ反射】への新たな視点と、その謎を解き明かしたいという強い探求心をもたらした。
研究と実践、その両輪こそが、彼をさらなる高みへと導いてくれるはずだと信じていた。
次なる挑戦としてアルトが選んだのは、Eランク依頼の中でも特に危険度が高いとされる、「街道荒らしのオーガ討伐」だった。
単独で行動しているとはいえ、オーガはホブゴブリンに匹敵する、あるいはそれ以上の脅威となりうる。
今の自分の力がどこまで通用するのか、それを試すには絶好の相手と言えた。
ギルドでオーガに関する情報を徹底的に収集する。
身長3メートルを超える巨体、人間を赤子のように捻り潰す怪力、分厚く硬い皮膚による驚異的な耐久力。
主食は肉で、人間も例外ではない。
武器として巨大な棍棒を好んで使う。
動きは基本的に鈍重だが、一度怒り出すと短時間だけ驚くほどの俊敏さを見せることもあるという。
弱点は、比較的皮膚の薄い目や関節部分、そして何よりも、その低い知能。
エリアーヌにもオーガについて尋ねてみた。
彼女は「まあ、オーガですって?素晴らしい研究対象ですわ!」と、いつものように目を輝かせながらも、学者らしい冷静な分析と助言をくれた。
「オーガの皮膚は、並大抵の物理攻撃を寄せ付けませんわ。特にあの緑がかった灰色の皮膚は、革のように硬質化していることが多いのです。打撃系の攻撃か、あるいは内部に直接響くような衝撃…そう、あなたの【ダメージ反射】は、理論上は非常に有効なはずですわ」
エリアーヌは続ける。
「特に、もし可能であれば、あの巨大な棍棒による衝撃を、上手く反射できれば理想的ですわね。相手自身の武器の質量と、あなたの反射エネルギーが合わさることで、通常よりも大きなダメージを与えられる可能性がありますわ。もちろん、受け止めきれるかどうかが問題ですが…」
エリアーヌのアドバイスも参考に、アルトは戦術を練り上げた。
カウンター反射を主軸としつつ、剣と盾で確実に防御し、隙を見て弱点を的確に突く。
オーガのパワーに真正面から付き合わず、フットワークと技術で翻弄する。
回復薬や砥石などの準備も入念に行い、アルトは決戦の地、王都東街道へと向かった。
東街道を進むにつれて、道沿いの風景は徐々に荒涼としたものになっていく。
そして、道端には、オーガの仕業と思われる生々しい痕跡がいくつも見られた。
不自然にへし折られた太い木の枝。
地面に深く刻まれた、巨大な足跡。
そして、荷物が散乱し、無残に破壊された荷車の残骸。
荷車のそばには、乾いた血痕も残っており、ここで悲劇が起こったことを物語っていた。
アルトは、オーガという存在の圧倒的な破壊力と凶暴性を改めて実感し、気を引き締めた。
街道から少し外れた、大きな岩が点在するエリア。
そこで、アルトはついに目的の存在と遭遇した。
岩陰に腰を下ろし、何か大きな獣の骨のようなものを齧っていたのは、紛れもないオーガだった。
噂に違わぬ巨体。
緑がかった灰色の、ごわごわとした皮膚は、まるで岩石のようだ。
低い額の下には、小さな、しかし凶暴な光を宿した豚のような目が二つ。
手には、アルトの身長ほどもある、巨大な丸太をそのまま削り出したかのような棍棒が握られている。
アルトの存在に気づくと、オーガは骨を放り投げ、鼻息を荒くし、口から涎を垂らしながら立ち上がった。
そして、大地を揺るがすかのような、凄まじい咆哮を上げた。
「グオオオオオオオッ!!」
その声だけで、周囲の空気がビリビリと震える。
オーガは、その巨体に見合わぬほどの素早さで地を蹴り、巨大な棍棒を振りかざしながら、アルトに向かって突進してきた!
(来る!)
振り下ろされる棍棒!
その風圧だけで、アルトの体が後ろへよろめきそうになる。
真正面から受け止めれば、バックラーごと左腕が砕かれるだろう。
アルトは咄嗟に横へと跳び、紙一重でその一撃を回避した。
ドゴォォォン!!
アルトが先ほどまで立っていた場所の地面が、棍棒によって大きく陥没し、土煙が上がる。
凄まじい破壊力だ。
オーガの攻撃は大振りだが、その一撃一撃が致命傷になりかねない。
アルトは、訓練で培ったフットワークを最大限に駆使し、オーガの攻撃を避け、あるいはバックラーで受け流すことに専念する。
ショートソードで反撃を試みるが、オーガの分厚く硬い皮膚は、アルトの剣を容易く弾き返してしまう。
時折、関節部分や脇腹など、比較的柔らかそうな部分を狙って突きを入れるが、深い傷を与えるには至らない。
弱点を狙おうにも、オーガの動きが思ったよりも速く、なかなか決定的な隙が見つからなかった。
(やはり、反射しかない…!だが、あの棍棒の一撃を、本当に受け止めきれるのか…?)
アルトの心に、一瞬、迷いが生じる。
しかし、迷っている暇はない。
オーガが、再び巨大な棍棒を振り上げてくる。
アルトは覚悟を決めた。
バルガスとの訓練、そしてエリアーヌの言葉を信じる。
アルトは、オーガの攻撃軌道を見極め、バックラーを構えた。
そして、棍棒が振り下ろされる、まさにその瞬間。
全身の筋肉を総動員し、衝撃を受け止めると同時に、ギフトを発動させた!
カウンター反射!
ゴンッ!!
バックラーを持つ左腕に、骨が砕けるかのような衝撃が走る!
しかし、アルトは耐えた。
そして、受けた衝撃以上の力が、ギフトによって増幅され、オーガ自身へと返っていく!
「グオッ!?」
反射ダメージを受けたオーガは、棍棒を持つ腕を押さえ、わずかに呻き声を上げた。
その表情には、驚きと、そしてわずかな痛みの色が浮かんでいる。
効いた!
反射ダメージは、このオーガの硬い皮膚の上からでも、確実に通っている!
しかし、オーガの体力は尋常ではなかった。
反射を受けても、致命傷には程遠い。
それどころか、痛みによってさらに怒りを増したのか、その動きはより一層、凶暴さを増していく。
(カウンター反射だけじゃ、倒しきれない…!もっと、何か…!)
強敵だ。
これまでのどの相手よりも、桁違いに強い。
アルトは焦りを抑え、冷静に活路を探る。
オーガの動きを観察する。
力任せの攻撃が多い。
だが、時折、足元を狙った薙ぎ払いや、アルトを掴みかかろうとするような動きも見せる。
知能は低いとはいえ、本能的な戦闘勘は鋭いのかもしれない。
アルトは、ギフトの応用を試みることにした。
「衝撃波(仮)」!
オーガの顔面めがけて放つ!
巨体のオーガには、ほとんど効果がないかと思われたが、不意を突かれたオーガは一瞬、その動きを止めた。
目くらましにはなったようだ。
その一瞬の隙!
アルトは、オーガの懐に素早く潜り込み、ショートソードで膝の裏――比較的皮膚が薄く、腱が集まっているであろう部分――を狙って、力強く突きを入れた!
「グッ!?」
オーガが短い呻き声を上げ、その巨体がわずかに傾ぐ。
動きが、明らかに鈍った!
(いける!)
アルトは、地道に弱点を狙い続け、同時に反射で衝撃を与え続けるしかない、と判断した。
長期戦は避けられないだろう。
自分のスタミナが持つかどうかの勝負になる。
アルトは、集中力を極限まで研ぎ澄ませる。
オーガの棍棒を避け、受け流し、そして受け止め、反射する。
隙を見ては、剣で膝や脇腹を突き、斬りつける。
激しい攻防が続く。
アルトの革鎧にも、オーガの攻撃による深い傷が刻まれていく。
バックラーを持つ左腕は、もはや感覚がなくなりかけている。
それでも、アルトは足を止めなかった。
死闘はまだ、始まったばかりだ。
研究と実践、その両輪こそが、彼をさらなる高みへと導いてくれるはずだと信じていた。
次なる挑戦としてアルトが選んだのは、Eランク依頼の中でも特に危険度が高いとされる、「街道荒らしのオーガ討伐」だった。
単独で行動しているとはいえ、オーガはホブゴブリンに匹敵する、あるいはそれ以上の脅威となりうる。
今の自分の力がどこまで通用するのか、それを試すには絶好の相手と言えた。
ギルドでオーガに関する情報を徹底的に収集する。
身長3メートルを超える巨体、人間を赤子のように捻り潰す怪力、分厚く硬い皮膚による驚異的な耐久力。
主食は肉で、人間も例外ではない。
武器として巨大な棍棒を好んで使う。
動きは基本的に鈍重だが、一度怒り出すと短時間だけ驚くほどの俊敏さを見せることもあるという。
弱点は、比較的皮膚の薄い目や関節部分、そして何よりも、その低い知能。
エリアーヌにもオーガについて尋ねてみた。
彼女は「まあ、オーガですって?素晴らしい研究対象ですわ!」と、いつものように目を輝かせながらも、学者らしい冷静な分析と助言をくれた。
「オーガの皮膚は、並大抵の物理攻撃を寄せ付けませんわ。特にあの緑がかった灰色の皮膚は、革のように硬質化していることが多いのです。打撃系の攻撃か、あるいは内部に直接響くような衝撃…そう、あなたの【ダメージ反射】は、理論上は非常に有効なはずですわ」
エリアーヌは続ける。
「特に、もし可能であれば、あの巨大な棍棒による衝撃を、上手く反射できれば理想的ですわね。相手自身の武器の質量と、あなたの反射エネルギーが合わさることで、通常よりも大きなダメージを与えられる可能性がありますわ。もちろん、受け止めきれるかどうかが問題ですが…」
エリアーヌのアドバイスも参考に、アルトは戦術を練り上げた。
カウンター反射を主軸としつつ、剣と盾で確実に防御し、隙を見て弱点を的確に突く。
オーガのパワーに真正面から付き合わず、フットワークと技術で翻弄する。
回復薬や砥石などの準備も入念に行い、アルトは決戦の地、王都東街道へと向かった。
東街道を進むにつれて、道沿いの風景は徐々に荒涼としたものになっていく。
そして、道端には、オーガの仕業と思われる生々しい痕跡がいくつも見られた。
不自然にへし折られた太い木の枝。
地面に深く刻まれた、巨大な足跡。
そして、荷物が散乱し、無残に破壊された荷車の残骸。
荷車のそばには、乾いた血痕も残っており、ここで悲劇が起こったことを物語っていた。
アルトは、オーガという存在の圧倒的な破壊力と凶暴性を改めて実感し、気を引き締めた。
街道から少し外れた、大きな岩が点在するエリア。
そこで、アルトはついに目的の存在と遭遇した。
岩陰に腰を下ろし、何か大きな獣の骨のようなものを齧っていたのは、紛れもないオーガだった。
噂に違わぬ巨体。
緑がかった灰色の、ごわごわとした皮膚は、まるで岩石のようだ。
低い額の下には、小さな、しかし凶暴な光を宿した豚のような目が二つ。
手には、アルトの身長ほどもある、巨大な丸太をそのまま削り出したかのような棍棒が握られている。
アルトの存在に気づくと、オーガは骨を放り投げ、鼻息を荒くし、口から涎を垂らしながら立ち上がった。
そして、大地を揺るがすかのような、凄まじい咆哮を上げた。
「グオオオオオオオッ!!」
その声だけで、周囲の空気がビリビリと震える。
オーガは、その巨体に見合わぬほどの素早さで地を蹴り、巨大な棍棒を振りかざしながら、アルトに向かって突進してきた!
(来る!)
振り下ろされる棍棒!
その風圧だけで、アルトの体が後ろへよろめきそうになる。
真正面から受け止めれば、バックラーごと左腕が砕かれるだろう。
アルトは咄嗟に横へと跳び、紙一重でその一撃を回避した。
ドゴォォォン!!
アルトが先ほどまで立っていた場所の地面が、棍棒によって大きく陥没し、土煙が上がる。
凄まじい破壊力だ。
オーガの攻撃は大振りだが、その一撃一撃が致命傷になりかねない。
アルトは、訓練で培ったフットワークを最大限に駆使し、オーガの攻撃を避け、あるいはバックラーで受け流すことに専念する。
ショートソードで反撃を試みるが、オーガの分厚く硬い皮膚は、アルトの剣を容易く弾き返してしまう。
時折、関節部分や脇腹など、比較的柔らかそうな部分を狙って突きを入れるが、深い傷を与えるには至らない。
弱点を狙おうにも、オーガの動きが思ったよりも速く、なかなか決定的な隙が見つからなかった。
(やはり、反射しかない…!だが、あの棍棒の一撃を、本当に受け止めきれるのか…?)
アルトの心に、一瞬、迷いが生じる。
しかし、迷っている暇はない。
オーガが、再び巨大な棍棒を振り上げてくる。
アルトは覚悟を決めた。
バルガスとの訓練、そしてエリアーヌの言葉を信じる。
アルトは、オーガの攻撃軌道を見極め、バックラーを構えた。
そして、棍棒が振り下ろされる、まさにその瞬間。
全身の筋肉を総動員し、衝撃を受け止めると同時に、ギフトを発動させた!
カウンター反射!
ゴンッ!!
バックラーを持つ左腕に、骨が砕けるかのような衝撃が走る!
しかし、アルトは耐えた。
そして、受けた衝撃以上の力が、ギフトによって増幅され、オーガ自身へと返っていく!
「グオッ!?」
反射ダメージを受けたオーガは、棍棒を持つ腕を押さえ、わずかに呻き声を上げた。
その表情には、驚きと、そしてわずかな痛みの色が浮かんでいる。
効いた!
反射ダメージは、このオーガの硬い皮膚の上からでも、確実に通っている!
しかし、オーガの体力は尋常ではなかった。
反射を受けても、致命傷には程遠い。
それどころか、痛みによってさらに怒りを増したのか、その動きはより一層、凶暴さを増していく。
(カウンター反射だけじゃ、倒しきれない…!もっと、何か…!)
強敵だ。
これまでのどの相手よりも、桁違いに強い。
アルトは焦りを抑え、冷静に活路を探る。
オーガの動きを観察する。
力任せの攻撃が多い。
だが、時折、足元を狙った薙ぎ払いや、アルトを掴みかかろうとするような動きも見せる。
知能は低いとはいえ、本能的な戦闘勘は鋭いのかもしれない。
アルトは、ギフトの応用を試みることにした。
「衝撃波(仮)」!
オーガの顔面めがけて放つ!
巨体のオーガには、ほとんど効果がないかと思われたが、不意を突かれたオーガは一瞬、その動きを止めた。
目くらましにはなったようだ。
その一瞬の隙!
アルトは、オーガの懐に素早く潜り込み、ショートソードで膝の裏――比較的皮膚が薄く、腱が集まっているであろう部分――を狙って、力強く突きを入れた!
「グッ!?」
オーガが短い呻き声を上げ、その巨体がわずかに傾ぐ。
動きが、明らかに鈍った!
(いける!)
アルトは、地道に弱点を狙い続け、同時に反射で衝撃を与え続けるしかない、と判断した。
長期戦は避けられないだろう。
自分のスタミナが持つかどうかの勝負になる。
アルトは、集中力を極限まで研ぎ澄ませる。
オーガの棍棒を避け、受け流し、そして受け止め、反射する。
隙を見ては、剣で膝や脇腹を突き、斬りつける。
激しい攻防が続く。
アルトの革鎧にも、オーガの攻撃による深い傷が刻まれていく。
バックラーを持つ左腕は、もはや感覚がなくなりかけている。
それでも、アルトは足を止めなかった。
死闘はまだ、始まったばかりだ。
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