落ちこぼれギフト【ダメージ反射】は諦めない ~1割返しから始まる異世界冒険譚~

シマセイ

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第101話 深夜の襲撃者、決意の反撃

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闇ギルド「黒蛇の牙」からの、明確な殺意を帯びた警告。
それは、アルトたちパーティが王都の暗部と対峙しなければならないことを意味していた。
彼らは覚悟を決めた。
逃げるのではなく、迎え撃つ。
そして、この理不尽な脅威に対し、断固として反撃することを。

数日間、アルト、ノエル、ゴルドーは、来るべき襲撃に備え、情報収集と迎撃準備に全力を注いだ。
ノエルは裏社会の情報網を駆使し、「黒蛇の牙」が得意とする暗殺術や毒物、そして最近王都で活動している要注意の刺客についての情報を集めた。
ゴルドーも、彼の持つ人脈を辿り、マルコム男爵のさらなる悪事の証拠や、闇ギルドとの具体的な繋がりを探る。
アルトは、エリアーヌから毒物や罠に関する知識、そしてギフトの特性に関する新たな考察を聞き、それを対策に活かそうとしていた。

そして、三人はアルトが寝泊まりしている下宿屋を、一種の要塞へと変貌させていった。
ノエルが、その天才的な罠師としての技術を遺憾なく発揮し、部屋の窓や扉、廊下、そして周辺の路地にまで、侵入者を感知し、足止めし、あるいは動きを阻害するための、巧妙かつ致命的ではない罠を、幾重にも仕掛けたのだ。
それは、彼女にしかできない、まさに芸術的なまでの防衛網だった。
ゴルドーとアルトは、部屋の家具の配置を変え、狭い空間での乱戦を想定した連携戦術を、何度も何度も確認し合った。

嵐の前の静けさのような、張り詰めた緊張感が数日間続いた。
そして、三日目の夜。
王都が深い眠りにつき、月も雲に隠れた、まさに漆黒の闇夜。
その時は、ついに訪れた。

カチャリ。
アルトの部屋の窓の外から、鍵を特殊な道具で開ける、ごくわずかな、しかし聞き逃しようのない金属音が響いた。
普通の人間ならば、深夜の物音として気にも留めないであろう、その微かな音。
しかし、極限まで感覚を研ぎ澄ませていたアルトの耳は、それを明確に捉えていた。

(来た…!)

アルトは、息を殺し、ベッドの中で静かに身を起こした。
筋肉が緊張で硬くなる。
隣の部屋で屈強な体を横たえていたゴルドーも、そして天井裏の梁の上に、まるでヤモリのように張り付いていたノエルも、同時にその気配を察知していた。
三人の間に、無言の合図が交わされる。

窓が、音もなく、ゆっくりと開けられる。
そして、闇よりも深い黒い影が、音もなく、滑るように部屋の中へと侵入してきた。
一つ、そしてもう一つ。
刺客は、二人。
全身を黒い夜陰の装束で覆い、その顔も黒い布で隠されている。
手には、緑色の怪しい光を放つ短剣――おそらくは毒が塗られているのだろう――が、それぞれ逆手に握られていた。
その動き、その気配、どれをとっても、先日アルトの前に現れた警告者と同等か、それ以上の手練れであることを示していた。

刺客たちは、アルトがベッドで眠っている(と油断している)と思い込んでいるのだろう。
音もなく床に降り立ち、連携を取りながら、ベッドへと忍び寄ってくる。

(今だ!)

アルトは、刺客たちが完全に油断した、その瞬間を狙った。
ベッドから、まるでバネが弾けるかのように飛び起きると同時に、枕元に置いていた黒曜の剣とバックラーを瞬時に構える!

「!?」

予想外の反撃に、刺客たちの動きが一瞬だけ止まる。
その隙を、アルトは見逃さない。

「インパクト・パルス!」

ギフトの応用技を、至近距離で二人の刺客に向けて放つ!
ブォン!
不可視の衝撃波が、狭い部屋の中で炸裂する!
刺客たちは、その予期せぬ力に体勢を崩し、後方へとよろめいた。

「なにっ!?」
「罠か!」

刺客たちが驚きの声を上げるのと同時に、部屋の扉が蹴破られ、巨大な戦斧を構えたゴルドーが雄叫びと共に突入してきた!

「待ちかねたぞ、闇ギルドのネズミどもめ!」

さらに、天井裏から音もなくノエルが飛び降り、刺客たちの背後へと回り込む!
三方向からの、完璧な挟撃態勢が完成した。

刺客たちも、すぐに状況を理解し、体勢を立て直した。
彼らはプロの暗殺者だ。
驚きはしたが、動揺は一瞬。
すぐに短剣を構え直し、アルトたち三人を睨みつける。

狭い下宿屋の一室で、息詰まるような乱戦が始まった。
刺客たちの動きは、恐ろしく素早く、そして無駄がない。
連携を取りながら、毒の塗られた短剣で、アルトたちの急所を的確に狙ってくる。
時折、足元から小さな針のようなものを飛ばしたり、目くらましになる粉末を撒いたりといった、トリッキーな攻撃も織り交ぜてくる。

ゴルドーは、その巨体とパワーで、刺客たちの強力な攻撃を受け止め、パーティの盾となる。
戦斧を振るい、相手を部屋の隅へと追い詰めようとするが、刺客たちは巧みにそれをかわし、致命傷を避ける。

ノエルは、その俊敏さを活かし、刺客たちの死角から奇襲を仕掛ける。
短剣での攻撃だけでなく、彼女が部屋に仕掛けておいた、床に塗られた滑りやすい油や、壁際に張られた細いワイヤーなどが、刺客たちの動きを微妙に、しかし確実に阻害していた。

そしてアルトは、前衛でゴルドーと連携しつつ、刺客たちの攻撃を剣と盾で捌き、そしてカウンター反射を狙う。
しかし、相手はプロの暗殺者。
無駄な攻撃はせず、反射のタイミングを簡単には与えてくれない。
それでも、アルトは集中力を切らさず、バックラーで短剣を受け止め、あるいはインパクト・パルスで牽制し、着実に相手を追い詰めていく。

激しい攻防の中、一体の刺客が、アルトの防御の隙を突き、毒の短剣を突き出してきた!
避けきれない!
アルトは咄嗟にバックラーで受け止める!
鋭い痛みが腕に走る!
短剣はバックラーを貫通はしなかったが、その衝撃は大きい。
そして、この至近距離での攻撃こそ、アルトが待っていた瞬間だった!

(今度こそ…!守るんだ!)

アルトは、仲間を守る、自分自身を守るという強い意志を込め、受け止めた衝撃と共に、ギフトを発動させた!
蒼白い閃光が、再びアルトの体から迸る!
閃光は、至近距離にいた刺客を直撃し、その動きを、ほんの一瞬だが、明確に停止させた!

「ぐっ…!?」

麻痺効果!
完全ではないが、確実に発動した!
アルトはこの好機を逃さなかった。
動きの止まった刺客の胸元に、黒曜の剣を深々と突き立てる!
刺客は声もなく崩れ落ちた。

残る刺客は一人。
仲間が倒され、そしてアルトの放った未知の力に動揺したのか、その動きにわずかな乱れが生じる。
その隙を、ゴルドーとノエルが見逃すはずはなかった。
ゴルドーの戦斧が刺客の体勢を崩し、ノエルの短剣がその首筋を捉えた。
二人目の刺客も、もはや抵抗する力は残っていなかった。

激闘の末、アルトたちはついに、闇ギルド「黒蛇の牙」から送り込まれた刺客を撃退したのだ。
部屋の中は、戦闘の跡が生々しく残っていたが、三人の冒険者の間には、安堵と、そして勝利の確信が満ちていた。

しかし、これで全てが終わったわけではない。
刺客を送り込んできた張本人、マルコム男爵。
そして、その背後にいる闇ギルド「黒蛇の牙」。
彼らの悪事を、これ以上見過ごすわけにはいかない。

アルト、ノエル、ゴルドーは、互いの顔を見合わせ、固く頷き合った。
受けて立つだけではない。
今度は、こちらから反撃する番だ。
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