落ちこぼれギフト【ダメージ反射】は諦めない ~1割返しから始まる異世界冒険譚~

シマセイ

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第107話 王都震撼、Cランクの凱旋

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夜明け前の薄明かりが、王都の古い下水道の出口を照らし出す。
そこから、泥と血と、そして尋常ではない疲労にまみれた三人の冒険者が、おぼつかない、しかし確かな足取りで地上へと姿を現した。

アルト、ノエル、ゴルドー。
彼らは、王都の暗部に巣食う闇ギルド「黒蛇の牙」のアジトを壊滅させ、その首領格であるジャドウを討ち取ったのだ。

下宿屋に戻り、女将さんの温かい心遣いに感謝しつつ、三人はまず傷の手当てと、仮眠を取った。
極度の緊張と疲労から解放され、彼らは文字通り泥のように眠った。

目覚めた後、アルトたちは今回の戦いで手に入れたものを改めて確認した。
ジャドウが遺した、明らかに魔力を帯びた黒い長剣と、蛇の紋章が刻まれた禍々しいペンダント。

そして、アジトの隠し棚から発見された、マルコム男爵と闇ギルドの繋がりを示すさらなる証拠書類や、闇ギルドの他の活動拠点、構成員に関する情報が記された地図など。
これらは、男爵を追い詰め、そして王都の闇をさらに深く探るための、決定的な手がかりとなるだろう。

体力をある程度回復させた三人は、ギルド本部へと向かった。
彼らがカウンターに姿を現し、ジャドウの黒剣やペンダント、そして関連書類などを証拠として提示し、冷静に、しかし詳細に任務の完了を報告した時、ギルドマスターは言葉を失い、ただただ目を見開いていた。

アルトは報告の最後に付け加えた。
「…そして、首領格のジャドウは、討伐した後、黒い霧となって消滅しました。おそらく…普通の人間ではなかったのかもしれません」

「なんと……霧に……!?」
ギルドマスターは絶句し、深く考え込むような仕草を見せた。
「やはり、ただの暗殺ギルドの長ではなかったというわけか…。情報感謝する。それはギルドとしても、詳しく調査する必要があるだろう」

そして、マスターはアルトたち三人の顔を改めて見渡し、深い感嘆と共に、そして強い敬意を込めて言った。

「……アルト君、ノエル君、ゴルドー君。君たちは、本当にやり遂げたのだな。王都の平和を脅かす大きな脅威を、その手で打ち砕いた。ギルドとして、いや、王都に住まう者として、心から感謝する」

マスターの声には、抑えきれないほどの称賛がこもっていた。

「Cランクパーティによる、闇ギルド『黒蛇の牙』アジトの壊滅、及び首領格ジャドウの討伐。これは、ギルドの記録においても、特筆すべき偉業だ!」

マスターは、依頼達成の基本報酬に加え、危険な任務の完遂、闇ギルド壊滅への多大な貢献、そして貴重な情報提供に対する特別功労金として、金貨を多数含む、破格の報酬を三人に手渡した。

「これは君たちの勇気と、卓越した実力に対する正当な対価だ。胸を張って受け取るがいい。そしてアルト君、君のCランク昇格は、この功績をもって、ギルドの誰もが認めるところだ!」

ギルド内からは、アルトたちパーティの偉業と、アルトのCランク昇格を称える、大きな拍手と賞賛の声が上がった。
もはや彼らを単なる「運のいい新人」と見る者はいない。
彼らは、王都ギルドにおいて、誰もが認める実力派Cランクパーティとしての地位を、確固たるものにしたのだ。

ギルドでの報告を終えた後、アルトはエリアーヌの研究室を訪れた。
ジャドウ討伐の経緯、彼が霧となって消滅したという不可解な現象、そして戦闘中にギフトの麻痺効果が明確に発動したことを、詳しく報告する。
回収してきたジャドウのペンダントも、分析のために彼女に託した。

エリアーヌは、アルトの話を聞き、ペンダントを受け取ると、研究者としての興奮を隠しきれない様子だった。

「まあ!まあ!まあ!ついに完全な覚醒が!しかもジャドウは霧に!?このペンダントには…確かに、古代の闇の呪詛に似た、非常に禍々しい魔力が残留していますわ!素晴らしいサンプルです!これで研究が一気に進みます!」

彼女は目を輝かせ、すぐにペンダントの分析と、アルトのギフトに関する考察に取り掛かり始めた。

「ギフトの麻痺効果…やはり、アルトさん自身の強い『守護意志』と、生命の危機に瀕するほどの『極限状態』が、複合的なトリガーとなっている可能性が極めて高いですわね!制御方法の解明にはまだ時間がかかりますが、必ず、必ず突き止めてみせますから!」

エリアーヌの力強い言葉に、アルトはギフトの謎解明への希望を、さらに強くした。

大きな依頼を終え、Cランク冒険者としての地位を確立し、ギフトの覚醒という大きな収穫も得たアルト。
彼は、下宿屋に戻り、再び休息を取りながら、今後のことを考え始めた。

仲間であるゴルドーとノエルとは、今回の依頼達成後、一旦それぞれの活動に戻ることになった。
しかし、彼らの間に生まれた絆は固く、「また何か面白いことがあったら声をかけろ」という言葉を交わし、再会を約束している。

アルトは、当面の間、王都に留まり、冒険者としての実力をさらに高めつつ、エリアーヌと協力してギフトの研究を進めることを決めた。

王都でのアルトの評判は、日増しに高まっていた。
「Cランクに昇格したばかりのパーティが、闇ギルドのアジトを壊滅させたらしい」
「アルトとかいう反射使いは、とんでもない力を持っているそうだ」
そんな噂が、冒険者だけでなく、商人や貴族たちの間にも広まり始めていた。

バーンスタイン子爵からは、改めて多大な感謝の意と共に、今後の協力関係を望む丁寧な書状が届いた。
シルヴィからも、「面白い話、詳しく聞かせてもらうわよ」という、期待のこもった?伝言があった。

王都での彼の存在感は確固たるものとなり、多くの可能性と挑戦が、彼の前に広がっている。
しかし、彼は決して驕ることはない。
自身の未熟さを自覚し、さらなる成長への渇望を胸に秘めている。

マルコム男爵の悪事はまだ裁かれておらず、闇ギルドの残党も完全に消えたわけではない。

そして、ギフトの謎も、まだ解き明かされてはいない。
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