【完結】魔王奮闘記

シマセイ

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初戦闘と才能の片鱗

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その日の午後、リオンはガルドと訓練場へ向かった。訓練場は城の裏手にあり、黒い砂が敷き詰められた広場だった。

ガルドが手に持つ巨大な剣を軽々と振り回す姿に、リオンは目を輝かせた。  

「すごい! 僕もあんな風に剣振りたい!」  

「ならやってみろ、小僧!」  

ガルドが木剣を放り投げると、リオンは慌ててキャッチした。
しかし、木剣を手に持った瞬間、その重さにバランスを崩して尻餅をついた。  

「うわっ! 重い!」  
「何!? それくらいで倒れるとは情けない!」  
ガルドが呆れたように言うと、周囲の見物人である魔族の兵士たちが笑い声を上げた。  

「やっぱりガキだな!」  
「こんなのが魔王かよ!」  

リオンは顔を真っ赤にして立ち上がり、木剣を両手で握った。  

「笑うな! 僕だって頑張るもん!」  

ガルドがニヤリと笑い、剣を構えた。  
「なら来てみろ! 一撃でも当てられたら褒めてやる!」  

リオンはヨロヨロと走り出し、木剣を振り上げた。しかし、ガルドが軽く剣を振るだけで、リオンの木剣は弾き飛ばされ、地面に転がった。  

「うそ!? 強すぎ!」  
リオンが叫ぶと、ガルドが豪快に笑った。  

「ははは! これが魔王か! 笑いものだな!」  

だがその時、リオンが地面に手を突いた瞬間、黒い砂が突然渦を巻き始めた。兵士たちの笑い声が止まり、ガルドが目を細めた。  
「……何だ?」  

次の瞬間、リオンの周囲に黒い魔力が渦巻き、地面が震えた。
リオン自身も驚いた顔で立ち上がり、手を振った。  
「え、えっと……僕、何かした?」  

その魔力の奔流がガルドに向かって吹き荒れ、巨漢の戦士は慌てて剣で防いだ。しかし、衝撃に押されて数歩後退してしまう。  

「何!? この魔力は……!」  
ガルドが驚愕の声を上げると、リオンは目をパチパチさせた。  
「え? 僕、魔法使えたの?」  

訓練場が静まり返る中、ゼドラがゆっくりと現れた。  
「リオン様、それは魔王の血に宿る力です。まだ制御できていないようですが……その才能、底知れませんな。」  

リオンは首をかしげたが、すぐに笑顔になった。  
「へえ、なんかすごい! じゃあもっと頑張ろっと!」  

こうして、リオンの魔王としての第一歩が始まった。
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