【完結】魔王奮闘記

魔法修行とミリアの試練

新魔王リオン・ヴァルガードの戴冠から数日が経ち、ダークロアの城内は慌ただしさに包まれていた。

食料不足や内乱の報告が次々と届く中、リオンは魔王としての力を少しでも身につけるため、魔法の修行に励むことになった。指導役は、妖艶な魔術師ミリアだ。

訓練場の一角に設けられた魔法陣の前で、リオンはミリアと向き合っていた。
ミリアは黒いドレスから覗く白い腕を軽く振って、リオンに微笑んだ。  

「リオン様、魔法ってのはね、心と魔力の調和が大事なんです。まずは簡単な火の魔法からやってみましょう。」  

リオンは目を輝かせて頷いた。  
「ミリア、火ってかっこいいよね！ 僕、頑張るよ！」  

ミリアが指を鳴らすと、魔法陣の中央に小さな炎が浮かんだ。  
「これを見よう見まねでやってみてください。イメージして、魔力を指先に集めるんです。」  

リオンは目を閉じ、真剣な顔で手を前に出した。  
「えっと……火、火、火……燃えろー！」  

すると、リオンの指先から小さな火花がチリッと飛び散った。
だが、次の瞬間、魔法陣全体が突然爆発し、黒煙がモクモクと立ち上った。
リオンは咳き込みながら後ろに倒れ、ミリアは目を丸くした。  

「げほっ！ 何！？ 僕、失敗した！？」  
リオンが叫ぶと、ミリアはクスクスと笑いながら手を叩いた。  

「ふふっ、失敗どころかすごいですよ、リオン様。初めてで魔法陣ごと吹き飛ばすなんて、私でもできません。」  

リオンは煙にまみれた顔で首をかしげた。  
「え？ それって褒めてるの？」  

「半分はね。でも、もうちょっと制御しないと、城が丸焦げになっちゃいますよ？」  

ミリアがそう言って笑うと、リオンは慌てて立ち上がった。  
「やばい！ 僕、城燃やしたらみんなに怒られる！」  

その時、訓練場の端にいたゼドラがゆっくりと近づいてきた。  
「リオン様の魔力は確かに膨大だが、制御がまるでできておらん。ミリア、この子の才能を引き出すのはお主の役目だぞ。」  

ミリアはニヤリと笑い、リオンにウィンクした。  
「任せてください、ゼドラ様。リオン様、私の特訓でビシバシ鍛えてあげますから！」  

リオンは「うわっ、なんか怖い！」と叫びつつも、ミリアの指導の下、魔法の基礎を学び始めた。

火を出すつもりが水が飛び出したり、風を起こそうとして地面が割れたりと失敗続きだったが、リオンの魔力の異常な強さはミリアやゼドラを驚かせ続けた。