【完結】魔王奮闘記

試練の戦場

翌日、リオンはカイルを連れて訓練場へ向かった。  
カイルが弓の腕前を見せると、矢は風を切って的の中心に突き刺さった。  
リオンは拍手して叫んだ。  

「すごい！  
カイル、めっちゃ上手い！」  

「へへ、魔王様に褒められると嬉しいよ！」  

そこへ、ガルドとミリアが現れ、緊迫した顔で告げた。  

「リオン様、まずいことになった。  
レギナが東部の軍を動かして、城に迫ってるらしい。」  

「ええ！？  
レギナのお姉さん、僕のこと試すって？」  

ゼドラが杖をつきながら現れ、厳かに言った。  

「試練だな、リオン様。  
ここで力を示せねば、魔族は一つにならん。」  

城の外では、レギナ率いる戦士団が陣を構えていた。  
レギナが馬に乗り、剣を掲げて叫んだ。  

「リオン！  
魔王なら出てこい！  
お前が我々を統べる資格があるか、戦いで証明しろ！」  

リオンは訓練場から出て、カイル、ガルド、ミリアと共にレギナの前に立った。  

「僕、戦うの嫌いだけど……みんなを守るならやるよ！」  

戦闘が始まった。  
ガルドがレギナに突進し、剣と剣が激しくぶつかり合う。  
カイルは弓を構え、レギナの部下に矢を放ち、次々と動きを封じた。  
ミリアが杖を振って雷の網を広げ、敵の進軍を阻む。  
リオンは少し離れた場所で、手を震わせながら魔力を集めた。  

「僕だって……負けない！」  
リオンが叫ぶと、地面から黒い魔力が噴き出し、レギナの馬を驚かせた。  
馬が暴れ、レギナがバランスを崩す。  
ガルドがその隙に剣を振り下ろし、レギナの剣を弾き飛ばした。  

「終わりだ、レギナ！」  
ガルドが吼えると、レギナは地面に膝をつき、息を切らした。  
「……確かに、ガキにしてはやるな。」  

戦士団が武器を下ろし、リオンはホッと胸を撫で下ろした。  
「やった……勝ったよ、みんな！」  

レギナが立ち上がり、リオンを見据えた。  

「今回は負けたよ、リオン。  
だが、次はこうはいかんからな。」  
そう言い残し、レギナは部下を連れて去った。  

カイルがリオンに駆け寄り、笑顔で言った。  

「魔王様、やったね！  
僕、仲間になって良かった！」  

ミリアが微笑み、ガルドが肩を叩いた。  
ゼドラが静かに頷き、呟いた。  

「これで魔族の一部の心を掴んだな。  
だが、人間との戦いはまだこれからだ。」  

リオンは仲間たちを見回し、決意を新たにした。  

「うん、僕、もっと強くなるよ。  
みんなと一緒に、魔族を守るんだ！」