65 / 106
無人島
しおりを挟む
いやー、マジで勘弁してほしい体験しちゃったんだよ、この前…。
まだ、なんかこう、思い出しても背中がゾワゾワするっていうか。
俺、友達のヒロと二人でさ、先週、ちょっとした冒険気分で、
レンタルボート借りて、近場の海に釣りに出たんだ。
で、その時、地図にも載ってないような、小さな、緑に覆われた島を見つけてさ。
「なあ、あれ、無人島じゃね? ちょっと上陸してみようぜ!」って、ヒロが言い出して。
俺も、なんか面白そうだな、って、軽いノリで賛成しちゃったんだよな…。それが、間違いだった。
島に近づくと、砂浜はなくて、ゴツゴツした岩場ばっかり。
なんとかボートを岩場に寄せて、ロープで固定して、上陸した。
木々が、もう、手付かずって感じで、鬱蒼と茂ってる。
昼間なのに、島の中は薄暗くて、シーンとしてる。鳥の声もしない。風の音だけ。
なんか、最初から、嫌な感じはしてたんだよ。
「おい、こっち来てみろよ!」
ヒロの声に、ついていくと、少し開けた場所に、古びた、今にも崩れそうな小屋があった。
いや、小屋っていうか、木材とか、青いビニールシートとかで、無理やり作ったみたいな、粗末なシェルター?
中を覗くと、誰もいない。ただ、床に、何か黒い炭みたいなもので、ぐちゃぐちゃっと、
奇妙な模様っていうか、記号みたいなのが、いくつも描かれてた。気味が悪い。
さらに奥へ進むと、森の中に、不自然に開けた場所があったんだ。
そこには、黒くてゴツゴツした石が、円形に並べられてて。
で、その周りの木々の枝という枝に、色褪せた布切れとか、木の札みたいなのが、
いっぱい、いっぱい、ぶら下がってた。
風が吹くと、それが、カサカサ、ヒラヒラって、一斉に揺れるんだけど、
その音が、まるで、たくさんの人が、ヒソヒソ囁いてるみたいで…。
「なあ、ここ、ヤバくないか…?」ヒロも、さすがに顔がこわばってた。
俺も、もう、早く島から出たいって気持ちでいっぱいだった。
その時だよ。
——— ウゥ………ン………。
って、低い、唸るような音が、森の奥から、聞こえてきたんだ。
地鳴り? いや、違う。もっと、こう、生き物の声みたいな…でも、何の生き物かは全然わからない。
しかも、一つじゃない。いくつも、重なり合ってる感じ。
俺とヒロは、もう顔を見合わせて、無言で頷きあって、
一目散に、ボートを停めた岩場に戻ろうとした。
その帰り道。
大きな、ねじれた木の根元に、何か、白っぽいものが落ちてるのに気づいたんだ。
なんだろう?って、ヒロが、落ちてた木の枝で、それをツンツンって突いた。
それは、古びた、木彫りの人形だった。
子供の手くらいの大きさで、雑な作りなんだけど、人の形はしてる。
でも、その顔が、ヤバかった。
目は、ただ穿たれたような穴で、口は、大きく、歪に裂けてて、まるで、苦悶の表情で叫んでるみたいなんだ。
ヒロが、その人形を枝で持ち上げようとした、まさにその瞬間。
——— バキッ!!!!
森の奥で、太い木の枝が、へし折れるような、ものすごい音が響いたんだ!
と同時に、今まで聞こえてた、あの低い唸り声も、囁き声も、風の音さえも、
——— ピタッ!
と、完全に消えた。
シーン………。
森全体が、息を潜めたみたいに、静まり返った。
そして、俺とヒロは、同時に感じたんだ。
茂みの奥から、無数の、冷たい、悪意に満ちた「視線」が、俺たちに突き刺さってるのを。
見えないけど、確かに、「何か」が、俺たちを、じっと見てる。
「…逃げるぞ!!」
どっちが言ったか、もう覚えてない。
俺たちは、人形も何もかも放り出して、岩場まで、文字通り、転がるように逃げた。
ボートに飛び乗って、必死でエンジンかけて、全速力で、その島から離れた。
島が、だんだん小さくなっていく。
でも、ずっと、あの、見えない視線を感じてた。
島全体が、一つの大きな「目」になって、俺たちを見送ってるような、そんな錯覚さえした。
無人島って、本当に、誰もいないとは限らないんだな…。
俺たち、何かの領域に、踏み込んじまったんだろうか。
あそこの石のサークルとか、木の札とか、あの人形とか…。
あれは、一体、何のためのものだったんだろう。
あの人形の、叫ぶような顔。
今でも、夢に見るんだよ…。
思い出すだけで、ぞっとする…。
まだ、なんかこう、思い出しても背中がゾワゾワするっていうか。
俺、友達のヒロと二人でさ、先週、ちょっとした冒険気分で、
レンタルボート借りて、近場の海に釣りに出たんだ。
で、その時、地図にも載ってないような、小さな、緑に覆われた島を見つけてさ。
「なあ、あれ、無人島じゃね? ちょっと上陸してみようぜ!」って、ヒロが言い出して。
俺も、なんか面白そうだな、って、軽いノリで賛成しちゃったんだよな…。それが、間違いだった。
島に近づくと、砂浜はなくて、ゴツゴツした岩場ばっかり。
なんとかボートを岩場に寄せて、ロープで固定して、上陸した。
木々が、もう、手付かずって感じで、鬱蒼と茂ってる。
昼間なのに、島の中は薄暗くて、シーンとしてる。鳥の声もしない。風の音だけ。
なんか、最初から、嫌な感じはしてたんだよ。
「おい、こっち来てみろよ!」
ヒロの声に、ついていくと、少し開けた場所に、古びた、今にも崩れそうな小屋があった。
いや、小屋っていうか、木材とか、青いビニールシートとかで、無理やり作ったみたいな、粗末なシェルター?
中を覗くと、誰もいない。ただ、床に、何か黒い炭みたいなもので、ぐちゃぐちゃっと、
奇妙な模様っていうか、記号みたいなのが、いくつも描かれてた。気味が悪い。
さらに奥へ進むと、森の中に、不自然に開けた場所があったんだ。
そこには、黒くてゴツゴツした石が、円形に並べられてて。
で、その周りの木々の枝という枝に、色褪せた布切れとか、木の札みたいなのが、
いっぱい、いっぱい、ぶら下がってた。
風が吹くと、それが、カサカサ、ヒラヒラって、一斉に揺れるんだけど、
その音が、まるで、たくさんの人が、ヒソヒソ囁いてるみたいで…。
「なあ、ここ、ヤバくないか…?」ヒロも、さすがに顔がこわばってた。
俺も、もう、早く島から出たいって気持ちでいっぱいだった。
その時だよ。
——— ウゥ………ン………。
って、低い、唸るような音が、森の奥から、聞こえてきたんだ。
地鳴り? いや、違う。もっと、こう、生き物の声みたいな…でも、何の生き物かは全然わからない。
しかも、一つじゃない。いくつも、重なり合ってる感じ。
俺とヒロは、もう顔を見合わせて、無言で頷きあって、
一目散に、ボートを停めた岩場に戻ろうとした。
その帰り道。
大きな、ねじれた木の根元に、何か、白っぽいものが落ちてるのに気づいたんだ。
なんだろう?って、ヒロが、落ちてた木の枝で、それをツンツンって突いた。
それは、古びた、木彫りの人形だった。
子供の手くらいの大きさで、雑な作りなんだけど、人の形はしてる。
でも、その顔が、ヤバかった。
目は、ただ穿たれたような穴で、口は、大きく、歪に裂けてて、まるで、苦悶の表情で叫んでるみたいなんだ。
ヒロが、その人形を枝で持ち上げようとした、まさにその瞬間。
——— バキッ!!!!
森の奥で、太い木の枝が、へし折れるような、ものすごい音が響いたんだ!
と同時に、今まで聞こえてた、あの低い唸り声も、囁き声も、風の音さえも、
——— ピタッ!
と、完全に消えた。
シーン………。
森全体が、息を潜めたみたいに、静まり返った。
そして、俺とヒロは、同時に感じたんだ。
茂みの奥から、無数の、冷たい、悪意に満ちた「視線」が、俺たちに突き刺さってるのを。
見えないけど、確かに、「何か」が、俺たちを、じっと見てる。
「…逃げるぞ!!」
どっちが言ったか、もう覚えてない。
俺たちは、人形も何もかも放り出して、岩場まで、文字通り、転がるように逃げた。
ボートに飛び乗って、必死でエンジンかけて、全速力で、その島から離れた。
島が、だんだん小さくなっていく。
でも、ずっと、あの、見えない視線を感じてた。
島全体が、一つの大きな「目」になって、俺たちを見送ってるような、そんな錯覚さえした。
無人島って、本当に、誰もいないとは限らないんだな…。
俺たち、何かの領域に、踏み込んじまったんだろうか。
あそこの石のサークルとか、木の札とか、あの人形とか…。
あれは、一体、何のためのものだったんだろう。
あの人形の、叫ぶような顔。
今でも、夢に見るんだよ…。
思い出すだけで、ぞっとする…。
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
(ほぼ)1分で読める怖い話
涼宮さん
ホラー
ほぼ1分で読める怖い話!
【ホラー・ミステリーでTOP10入りありがとうございます!】
1分で読めないのもあるけどね
主人公はそれぞれ別という設定です
フィクションの話やノンフィクションの話も…。
サクサク読めて楽しい!(矛盾してる)
⚠︎この物語で出てくる場所は実在する場所とは全く関係御座いません
⚠︎他の人の作品と酷似している場合はお知らせください
【完結】本当にあった怖い話 ~実話怪談集『図書館の“あれ”』・『旅先の怪』・『負のパワースポット』~
悠月
ホラー
実話怪談のショートショートを集めた短編集。
『図書館の“あれ”』
私の出身大学の図書館、閉架書庫には“あれ”がいる。私以外のほとんどの人が遭遇したという“あれ”。
しかし、“あれ”に遭遇した人たちの人生が、少しずつ壊れていく……。
『旅先の怪』
非日常の体験がしたくて、人は旅に出る。ときに、旅先では異界を覗くような恐怖を体験してしまうこともあるのです。
京都、遠野、青森……。
そんな、旅先で私が出遭ってしまった恐怖。旅先での怪異譚を集めました。
『負のパワースポット』
とある出版社からパワースポット本の取材と執筆を請け負った、フリーランスライターのN。「ここは、とてもいいスポットだから」と担当編集者から言われて行った場所には……?
この話、読んだ方に被害が及ばないかどうかの確認は取れていません。
最後まで読まれる方は、どうか自己責任でお願いいたします。
※カクヨムに掲載していたものの一部を修正して掲載しています。
霊和怪異譚 野花と野薔薇
野花マリオ
ホラー
その“語り”が始まったとき、世界に異変が芽吹く。
静かな町、ふとした日常、どこにでもあるはずの風景に咲きはじめる、奇妙な花々――。
『霊和怪異譚 野花と野薔薇』は、不思議な力を持つ語り部・八木楓と鐘技友紀以下彼女達が語る怪異を描く、短編連作形式の怪異譚シリーズ。
一話ごとに異なる舞台、異なる登場人物、異なる恐怖。それでも、語りが始まるたび、必ず“何か”が咲く――。
語られる怪談はただの物語ではない。
それを「聞いた者」に忍び寄る異変、染みわたる不安。
やがて読者自身の身にも、“あの花”が咲くかもしれない。
日常にひっそりと紛れ込む、静かで妖しいホラー。
あなたも一席、語りを聞いてみませんか?
完結いたしました。
タイトル変更しました。
旧 彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせる
※この物語はフィクションです。実在する人物、企業、団体、名称などは一切関係ありません。
エブリスタにも公開してますがアルファポリス の方がボリュームあります。
表紙イラストは生成AI
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2026/1/6:『まどのそと』の章を追加。2026/1/13の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/5:『おちゃ』の章を追加。2026/1/12の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/4:『かみ』の章を追加。2026/1/11の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/3:『おかのうえからみるけしき』の章を追加。2026/1/10の朝8時頃より公開開始予定。
2026/1/2:『そうしき』の章を追加。2026/1/9の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/1:『いえい』の章を追加。2026/1/8の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/31:『たこあげ』の章を追加。2026/1/7の朝4時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる