42 / 96
第四十三話:川面の誘惑、試される夜
しおりを挟む
霧隠の里を後にしてから、私は、ただひたすらに、灰色の川に沿って歩き続けた。
エララさんの警告が、常に、頭の片隅にあったから。
『日が暮れる前に、できるだけ遠くへ。そして、夜は、決して、川に近づいてはいけない』
その言葉に突き動かされるように、私は、ほとんど休憩も取らず、足を前に進めた。
新しいブーツは、確かに歩きやすかったけれど、それでも、慣れない道なき道を行くのは、体力を激しく消耗する。
時折、アレンさんの本で見た、食べられる木の実を口にし、水筒の水を飲み、そして、胸の奥の『聖なる力』を、ほんの少しだけ引き出して、疲労を誤魔化す。
それが、私の、精一杯だった。
昼間の川は、ただ、雄大で、どこか物憂げな灰色の水を、黙々と流しているだけに見える。
でも、注意深く観察していると、時折、風もないのに、川面の一部が、奇妙な模様を描いて揺らめいたり、川岸の茂みが、不自然に、ざわざわと音を立てたりするような気がした。
気のせいかもしれない。
エララさんの話を聞いて、私が、過敏になっているだけかもしれない。
それでも、その度に、私の心臓は、小さく、嫌な音を立てた。
太陽が、西の空を、赤く染め始める。
まずい、夜が来る。
私は、焦って、川から離れた、少し小高い場所を探し始めた。
エララさんの言いつけ通り、川岸から、できるだけ距離を取らなければ。
幸い、大きな岩がいくつも重なり合った、ちょうど良い窪地を見つけることができた。
ここなら、雨風も、多少はしのげるだろうし、川からも、直接は見えないはずだ。
私は、落ちていた乾いた枝をできるだけ集めた。
エララさんは、火を焚けと言っていた。
火は、獣除けにもなるし、暖も取れる。
でも……。
火を焚けば、逆に、何かを、呼び寄せてしまうのではないか?
迷った末に、私は、すぐには火を点けず、いつでも点けられるように、準備だけしておくことにした。
そして、エララさんにもらった、清めの塩。
これを、自分の周りに、ぐるりと、薄く撒いておく。
気休めにしかならないかもしれないけれど、やらないよりはマシだと思った。
ボリンにもらった、最後の干し肉を、ゆっくりと噛みしめる。
これが、最後の食料だ。
明日、水車の町に着けなければ、私は、本格的に飢えることになるだろう。
やがて、空から、完全に光が失われ、深い、深い闇が、森を包み込んだ。
眼下に広がるはずの灰色の川も、今は、ただ、黒い帯のように見えるだけ。
しん、と静まり返った森に、私の、荒い呼吸の音だけが響く。
その時だった。
最初は、気のせいかと思った。
川の方から、微かに……本当に微かに、何か、光が見えるような……。
目を凝らす。
間違いじゃない。
川面の上、少し下流の方に、蛍火のような、青白い光が、いくつか、ふわり、ふわりと、漂っている。
それは、まるで、誰かが、提灯でも持って、歩いているかのようだ。
でも、こんな時間に、川辺を歩く者など……。
そして、光だけではなかった。
耳を澄ますと、風に乗って、何か、囁くような声が、聞こえてくる気がする。
それは、言葉にはなっていない。
ただ、くすくす、と笑うような……あるいは、すすり泣くような……。
心を、ざわつかせる、奇妙な音。
(……これが、『水影』……?)
エララさんの警告が、現実のものとなって、目の前に現れた。
全身の毛が、総毛立つ。
恐怖で、体が、動かせない。
光は、ゆっくりと、こちらへ近づいてくる……ような気がする。
囁き声も、だんだんと、はっきりと、私を呼んでいるように、聞こえてくる……。
『……おいで……』
『……こっちへ……』
『……さびしいよ……』
甘く、物悲しいような、誘惑の声。
思わず、そちらへ、歩き出してしまいそうになる。
水辺へ行けば、この孤独から、解放されるのかもしれない……。
そんな、危険な考えが、頭をよぎる。
(ダメだ!!!)
私は、心の中で、絶叫した。
エララさんの言葉を、思い出す。
『決して、応えたり、近づいたりしてはいけない』
私は、岩陰に、さらに深く身を隠し、両手で、強く耳を塞いだ。
短剣を、胸元に、きつく抱きしめる。
そして、意識を、胸の奥の『聖なる力』に集中させた。
温かい、金色の光を、心の中で、強く、強く、イメージする。
お願い、私を守って……!
光よ……!
不思議なことに、聖なる光を意識すると、耳元で囁いていたような、不気味な声が、少しだけ、遠のいたような気がした。
幻惑魔法で、自分の周りの気配を、できるだけ、消す。
ここに、私はいない。
ただの、岩と、闇だけ……。
どれくらいの時間が、経っただろうか。
誘惑の声と、妖しい光は、夜明けが近づくまで、何度も、私を試すかのように、現れては、消え、また、現れた。
その度に、私は、ただ、じっと耐え続けた。
恐怖と戦いながら。
聖なる光と、幻惑魔法を、頼りにしながら。
そして……。
東の空が、ほんのりと、明るみ始めた時。
まるで、嘘のように、川辺の怪しい気配は、すっと消え去った。
夜の闇と共に、『水影』もまた、姿を消したのだ。
私は、全身の力が抜けるのを感じながら、その場に、へたり込んだ。
生きた心地がしなかった……。
夜明けの光の中で、灰色の川は、また、昨日と同じ、ただの、物憂げな川の姿に戻っている。
でも、私は、知ってしまった。
この川が、夜には、恐ろしい顔を見せることを。
私は、生き延びた。
エララさんの警告と、そして、私の、わずかな力が、私を守ってくれた。
でも、水車の町までは、まだ、道のりは遠い。
もう一度、あの、恐ろしい夜を、越えなければならないかもしれない。
私は、疲労困憊の体に鞭打って、立ち上がった。
朝日が、昇りきる前に、少しでも、先へ進まなければ。
夜が、再び、訪れる前に。
エララさんの警告が、常に、頭の片隅にあったから。
『日が暮れる前に、できるだけ遠くへ。そして、夜は、決して、川に近づいてはいけない』
その言葉に突き動かされるように、私は、ほとんど休憩も取らず、足を前に進めた。
新しいブーツは、確かに歩きやすかったけれど、それでも、慣れない道なき道を行くのは、体力を激しく消耗する。
時折、アレンさんの本で見た、食べられる木の実を口にし、水筒の水を飲み、そして、胸の奥の『聖なる力』を、ほんの少しだけ引き出して、疲労を誤魔化す。
それが、私の、精一杯だった。
昼間の川は、ただ、雄大で、どこか物憂げな灰色の水を、黙々と流しているだけに見える。
でも、注意深く観察していると、時折、風もないのに、川面の一部が、奇妙な模様を描いて揺らめいたり、川岸の茂みが、不自然に、ざわざわと音を立てたりするような気がした。
気のせいかもしれない。
エララさんの話を聞いて、私が、過敏になっているだけかもしれない。
それでも、その度に、私の心臓は、小さく、嫌な音を立てた。
太陽が、西の空を、赤く染め始める。
まずい、夜が来る。
私は、焦って、川から離れた、少し小高い場所を探し始めた。
エララさんの言いつけ通り、川岸から、できるだけ距離を取らなければ。
幸い、大きな岩がいくつも重なり合った、ちょうど良い窪地を見つけることができた。
ここなら、雨風も、多少はしのげるだろうし、川からも、直接は見えないはずだ。
私は、落ちていた乾いた枝をできるだけ集めた。
エララさんは、火を焚けと言っていた。
火は、獣除けにもなるし、暖も取れる。
でも……。
火を焚けば、逆に、何かを、呼び寄せてしまうのではないか?
迷った末に、私は、すぐには火を点けず、いつでも点けられるように、準備だけしておくことにした。
そして、エララさんにもらった、清めの塩。
これを、自分の周りに、ぐるりと、薄く撒いておく。
気休めにしかならないかもしれないけれど、やらないよりはマシだと思った。
ボリンにもらった、最後の干し肉を、ゆっくりと噛みしめる。
これが、最後の食料だ。
明日、水車の町に着けなければ、私は、本格的に飢えることになるだろう。
やがて、空から、完全に光が失われ、深い、深い闇が、森を包み込んだ。
眼下に広がるはずの灰色の川も、今は、ただ、黒い帯のように見えるだけ。
しん、と静まり返った森に、私の、荒い呼吸の音だけが響く。
その時だった。
最初は、気のせいかと思った。
川の方から、微かに……本当に微かに、何か、光が見えるような……。
目を凝らす。
間違いじゃない。
川面の上、少し下流の方に、蛍火のような、青白い光が、いくつか、ふわり、ふわりと、漂っている。
それは、まるで、誰かが、提灯でも持って、歩いているかのようだ。
でも、こんな時間に、川辺を歩く者など……。
そして、光だけではなかった。
耳を澄ますと、風に乗って、何か、囁くような声が、聞こえてくる気がする。
それは、言葉にはなっていない。
ただ、くすくす、と笑うような……あるいは、すすり泣くような……。
心を、ざわつかせる、奇妙な音。
(……これが、『水影』……?)
エララさんの警告が、現実のものとなって、目の前に現れた。
全身の毛が、総毛立つ。
恐怖で、体が、動かせない。
光は、ゆっくりと、こちらへ近づいてくる……ような気がする。
囁き声も、だんだんと、はっきりと、私を呼んでいるように、聞こえてくる……。
『……おいで……』
『……こっちへ……』
『……さびしいよ……』
甘く、物悲しいような、誘惑の声。
思わず、そちらへ、歩き出してしまいそうになる。
水辺へ行けば、この孤独から、解放されるのかもしれない……。
そんな、危険な考えが、頭をよぎる。
(ダメだ!!!)
私は、心の中で、絶叫した。
エララさんの言葉を、思い出す。
『決して、応えたり、近づいたりしてはいけない』
私は、岩陰に、さらに深く身を隠し、両手で、強く耳を塞いだ。
短剣を、胸元に、きつく抱きしめる。
そして、意識を、胸の奥の『聖なる力』に集中させた。
温かい、金色の光を、心の中で、強く、強く、イメージする。
お願い、私を守って……!
光よ……!
不思議なことに、聖なる光を意識すると、耳元で囁いていたような、不気味な声が、少しだけ、遠のいたような気がした。
幻惑魔法で、自分の周りの気配を、できるだけ、消す。
ここに、私はいない。
ただの、岩と、闇だけ……。
どれくらいの時間が、経っただろうか。
誘惑の声と、妖しい光は、夜明けが近づくまで、何度も、私を試すかのように、現れては、消え、また、現れた。
その度に、私は、ただ、じっと耐え続けた。
恐怖と戦いながら。
聖なる光と、幻惑魔法を、頼りにしながら。
そして……。
東の空が、ほんのりと、明るみ始めた時。
まるで、嘘のように、川辺の怪しい気配は、すっと消え去った。
夜の闇と共に、『水影』もまた、姿を消したのだ。
私は、全身の力が抜けるのを感じながら、その場に、へたり込んだ。
生きた心地がしなかった……。
夜明けの光の中で、灰色の川は、また、昨日と同じ、ただの、物憂げな川の姿に戻っている。
でも、私は、知ってしまった。
この川が、夜には、恐ろしい顔を見せることを。
私は、生き延びた。
エララさんの警告と、そして、私の、わずかな力が、私を守ってくれた。
でも、水車の町までは、まだ、道のりは遠い。
もう一度、あの、恐ろしい夜を、越えなければならないかもしれない。
私は、疲労困憊の体に鞭打って、立ち上がった。
朝日が、昇りきる前に、少しでも、先へ進まなければ。
夜が、再び、訪れる前に。
1
あなたにおすすめの小説
『「女は黙って従え」と婚約破棄されたので、実家の軍隊を率いて王都を包囲しますわ』
放浪人
恋愛
「戦場の銀薔薇」の異名を持つ天才的な軍略家、ヴィクトリア・フォン・ローゼンベルク公爵令嬢。彼女は、王国最強と謳われる東部辺境領主の一人娘として、故郷と民を深く愛していた。
しかし、政略結婚の婚約者である第一王子アルフォンスは、彼女の才能と気高さを妬み、夜会の席で公然と侮辱する。
「女は黙って従え」
その一言と共に婚約指輪を奪われたヴィクトリアは、もはや偽りの淑女を演じることをやめた。彼女は、腐敗しきった王家と国を内側から変革するため、たった一人で戦うことを決意する。
故郷ローゼンベルクへと帰還したヴィクトリアは、父であるゲルハルト公爵と、彼女を女神と崇める領民たちの絶大な支持を得て、ついに反旗を翻した。その圧倒的なカリスマ性と軍略の才は、瞬く間に領地を一つの強固な軍事国家へと変貌させ、周りの辺境諸侯をも巻き込んでいく。
一方、王都では聡明な第二王子エリオットが、兄と宰相の暴走を憂い、水面下でヴィクトリアに協力する。二人の間には、国の未来を憂う同志としての固い絆が芽生え、やがてそれは淡い恋心へと変わっていく。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。
潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。
処刑台の皇妃、回帰して復讐を誓う ~冷酷公爵と偽りの婚約者~ おまえたちは許さない!
秦江湖
ファンタジー
皇妃エリアーナは、夫である皇帝アランと、たった一人の親友イザベラの策略により、無実の罪で処刑される。
民衆に罵られ、アランの冷酷な目とイザベラの嘲笑を「始まりの景色」として目に焼き付けながら絶命した彼女は、しかし、処刑の記憶を持ったまま三年前の過去に回帰する。
「おまえたちは許さない」
二度目の人生。
エリアーナの目的はただ一つ、自分を陥れた二人への完璧な復讐。
彼女はまず、アラン(皇太子)からの婚約内示を拒絶。そして、アラン最大の政敵である「北の冷血公爵」ルシアン・ヴァレリウスに接触する。
1周目で得た「未来の知識」を対価に、エリアーナはルシアンに持ちかける。
「貴方様には帝国の覇権を。わたくしには復讐の舞台を。そのための『契約婚約』を――」
憎悪を糧に生きる皇妃と、氷の瞳を持つ公爵。
二人の偽りの婚約の行く末は……
【完結】領主の妻になりました
青波鳩子
恋愛
「私が君を愛することは無い」
司祭しかいない小さな教会で、夫になったばかりのクライブにフォスティーヌはそう告げられた。
===============================================
オルティス王の側室を母に持つ第三王子クライブと、バーネット侯爵家フォスティーヌは婚約していた。
挙式を半年後に控えたある日、王宮にて事件が勃発した。
クライブの異母兄である王太子ジェイラスが、国王陛下とクライブの実母である側室を暗殺。
新たに王の座に就いたジェイラスは、異母弟である第二王子マーヴィンを公金横領の疑いで捕縛、第三王子クライブにオールブライト辺境領を治める沙汰を下した。
マーヴィンの婚約者だったブリジットは共犯の疑いがあったが確たる証拠が見つからない。
ブリジットが王都にいてはマーヴィンの子飼いと接触、画策の恐れから、ジェイラスはクライブにオールブライト領でブリジットの隔離監視を命じる。
捜査中に大怪我を負い、生涯歩けなくなったブリジットをクライブは密かに想っていた。
長兄からの「ブリジットの隔離監視」を都合よく解釈したクライブは、オールブライト辺境伯の館のうち豪華な別邸でブリジットを囲った。
新王である長兄の命令に逆らえずフォスティーヌと結婚したクライブは、本邸にフォスティーヌを置き、自分はブリジットと別邸で暮らした。
フォスティーヌに「別邸には近づくことを許可しない」と告げて。
フォスティーヌは「お飾りの領主の妻」としてオールブライトで生きていく。
ブリジットの大きな嘘をクライブが知り、そこからクライブとフォスティーヌの関係性が変わり始める。
========================================
*荒唐無稽の世界観の中、ふんわりと書いていますのでふんわりとお読みください
*約10万字で最終話を含めて全29話です
*他のサイトでも公開します
*10月16日より、1日2話ずつ、7時と19時にアップします
*誤字、脱字、衍字、誤用、素早く脳内変換してお読みいただけるとありがたいです
【完結】聖女の私を処刑できると思いました?ふふ、残念でした♪
鈴菜
恋愛
あらゆる傷と病を癒やし、呪いを祓う能力を持つリュミエラは聖女として崇められ、来年の春には第一王子と結婚する筈だった。
「偽聖女リュミエラ、お前を処刑する!」
だが、そんな未来は突然崩壊する。王子が真実の愛に目覚め、リュミエラは聖女の力を失い、代わりに妹が真の聖女として現れたのだ。
濡れ衣を着せられ、あれよあれよと処刑台に立たされたリュミエラは絶対絶命かに思われたが…
「残念でした♪処刑なんてされてあげません。」
堅実に働いてきた私を無能と切り捨てたのはあなた達ではありませんか。
木山楽斗
恋愛
聖女であるクレメリアは、謙虚な性格をしていた。
彼女は、自らの成果を誇示することもなく、淡々と仕事をこなしていたのだ。
そんな彼女を新たに国王となったアズガルトは軽んじていた。
彼女の能力は大したことはなく、何も成し遂げられない。そう判断して、彼はクレメリアをクビにした。
しかし、彼はすぐに実感することになる。クレメリアがどれ程重要だったのかを。彼女がいたからこそ、王国は成り立っていたのだ。
だが、気付いた時には既に遅かった。クレメリアは既に隣国に移っており、アズガルトからの要請など届かなかったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる