出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ

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第百四十話:帝国の影

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僕の王国が産声を上げてから一年が過ぎた。
ノーランドはもはやかつての寂れた辺境ではない。
僕がもたらした新しい技術と莫大な富は、この凍てついた大地を人々の希望が芽吹く豊かな土地へと変貌させていた。
だがその急激な変化は、眠れる獅子の髭を逆撫でするには十分すぎた。

ノーランドの北に国境を接する強大な軍事国家——ガルブレイス帝国。
彼らが僕たちのその静かな繁栄に気づくまで、そう時間はかからなかった。

「若様! またです! 北の見張り塔が正体不明の武装集団に襲われ、兵が数名やられました!」

執務室に飛び込んできたボリンの報告に、僕は静かに地図から顔を上げた。
ここ数ヶ月、帝国との国境付近で小規模ないざこざが頻発していた。

それは山賊や盗賊の仕業ではない。
その統率された動き、そして装備。
それは明らかに帝国の正規兵か、その息のかかった傭兵団の仕業だった。

「……探りを入れているのでしょうな」

魔力通信を通じて王都からこの会議に参加しているセバスが静かに分析する。

「ノーランドの急激な発展。その噂はすでに帝国の耳にも届いているはず。彼らはこの地の新しい領主であるあなた様の力量を測っているのです」

「父上や王国は動かないと?」

「はい。この程度の小競り合いでは騎士団を動かす大義名分が立ちませぬ。……おそらくは静観でしょうな」

その答えは僕の予想通りだった。

僕は集まった腹心たちを見渡した。ボリン、ニール、そしてリリア。

「ならばこれは我々の問題だ。そして我々の力だけで解決する」

僕は立ち上がると壁に貼られたノーランドの巨大な地図の前に立った。

「ボリン。君が育て上げたノーランド防衛隊、その力見せてもらうぞ」

「へい! お任せください! 俺たちの鋼鉄の武具は帝国のどんな名剣よりも強靭ですぜ!」

「ニール。君の転移魔法陣はすでに領内の全ての砦を結んでいるな?」

「はい、ルキウス様! 誤差なく完璧に作動します!」

「よろしい」

僕は僕の最初の「戦争」の計画を語り始めた。

「——我々は防衛線を引かない。全ての兵はこの中央兵舎に待機させろ。そして敵の襲撃報告が入った瞬間、転移魔法陣を使ってその背後に出現する。一撃の下に敵を粉砕し、そして彼らが援軍を呼ぶ前に再び転移して姿を消すのだ」

僕のそのあまりに常識外れの戦術に、ボリンたちは息を呑んだ。

「我々は、ノーランドの『幽霊』となる。帝国に、我々の、本当の力を、決して、悟られてはならない」

その、数日後。
帝国の、より大規模な襲撃部隊が、東の森林地帯にある伐採所を襲ったという報せが入った。
僕は執務室の作戦指令室で、ニールと共にその時を待っていた。

「——ボリン、聞こえるか。出撃だ」

僕のその一言で、戦いの火蓋は切られた。

東の森林地帯。
百名を超える帝国の兵士たちが、抵抗する伐採所の労働者たちを蹂躙していた。
その彼らの背後。
何もない空間が突如として揺らぎ、青白い光の門が開かれた。
そして、その中から鋼鉄の鎧に身を包んだノーランド防衛隊が音もなく姿を現した。

「なっ……!?」

驚愕する帝国兵たち。
だが彼らが武器を構える暇はなかった。

「ノーランドの土を踏む、不届き者どもに鉄槌を!」

ボリンの雄叫びと共に、兵士たちが襲いかかる。
戦いは一方的だった。
奇襲と装備の差。
そして何よりも、自らの故郷を守るという兵士たちの士気の高さ。
帝国部隊は、わずか数分で壊滅した。

ボリンたちは、捕虜となった兵士たちを、縛り上げると再び光の門の中へと消えていく。
後に残されたのは無数の亡骸と、そして悪夢のような光景に腰を抜かした数名の生存者だけだった。

その数分後。
僕の執務室にボリンからの勝利の報告が届いた。
僕は静かに頷くと、地図の上の東の森林地帯に一つの勝利の印をつけた。

「……最初の一撃は成功だ。だがこれは始まりに過ぎない」

僕は地図の、さらに北——ガルブレイス帝国の本土を見据えていた。
彼らが僕の挑発に乗り、より大きな軍隊を動かすその時こそ、僕の本当の計画が始まる。
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