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「……これが、正式な招請状です」
ユリアが手渡した封筒には、神殿本庁の印と共に、王家評議会の副印が添えられていた。
《信仰再定義会議 拡大協議顧問席 招聘》
その宛名には、私の名が書かれていた。
──エヴァリーナ=フォン=ヴァイセローゼ。
かつて断罪され、舞台から追われたその名が、今また“言葉を持つ者”として呼ばれたのだ。
「……来ましたね、ついに」
ノエルが壁にもたれながら言う。
「これはつまり、“あんたの思想”が個人の意見じゃなく、“時代の意志”になりつつあるってことだ」
「その代わり、全方位から見られるということでもあります」
ユリアが眉を寄せる。
「貴族たちは“女の顔”を、神官たちは“思想の純度”を、王家は“利用価値”を見ようとする。
あなたの真意ではなく、“どの側に立つのか”が問われるのです」
「……でも私は、どこにも立たないわ」
私は静かに言った。
「“語るだけ”。
名を持たなかった子どもたちが、初めて自分の言葉で語れるようになったこと。
それを、私の言葉で伝えるだけよ」
その日、私はクラウディアにもその話をした。
彼女は目を丸くして言った。
「じゃあ、今度は“お姉さん”が、舞台に立つんだね。
でも、今のエヴァリーナさんは“誰かの代わり”じゃなくて、“自分のため”に立つから、きっと大丈夫」
私は思わず笑ってしまった。
「そうね。あなたたちがここにいるから、私はもう、間違わない」
夕暮れの庭。
薬草畑の間を走り回る子どもたちの声が、風に乗って揺れていた。
王都で私の名が呼ばれても、ここには変わらぬ日常がある。
そのことが、何よりの力になった。
──だから、もう怖くはない。
私が語るのは、真理でも正義でもない。
ただ、“誰かの声を聞いたという証”。
それが時に、制度よりも強くなることを、私は知ってしまったから。
そして、神殿会議の議長室では。
「これで、すべての役者が揃ったわね」
ユリアナ王妃が書状を見下ろしながら、ふっと笑みを浮かべた。
「でも、彼女はもう“駒”ではない。盤面すら作り直そうとしている。
面白いわね──エヴァリーナ。
あなたが語る“静かな正しさ”が、果たしてどこまでこの国を動かすのか」
王妃の言葉を誰が聞いていたかは、誰も知らない。
だが確かに、物語の幕はまた一枚、音もなく上がろうとしていた。
ユリアが手渡した封筒には、神殿本庁の印と共に、王家評議会の副印が添えられていた。
《信仰再定義会議 拡大協議顧問席 招聘》
その宛名には、私の名が書かれていた。
──エヴァリーナ=フォン=ヴァイセローゼ。
かつて断罪され、舞台から追われたその名が、今また“言葉を持つ者”として呼ばれたのだ。
「……来ましたね、ついに」
ノエルが壁にもたれながら言う。
「これはつまり、“あんたの思想”が個人の意見じゃなく、“時代の意志”になりつつあるってことだ」
「その代わり、全方位から見られるということでもあります」
ユリアが眉を寄せる。
「貴族たちは“女の顔”を、神官たちは“思想の純度”を、王家は“利用価値”を見ようとする。
あなたの真意ではなく、“どの側に立つのか”が問われるのです」
「……でも私は、どこにも立たないわ」
私は静かに言った。
「“語るだけ”。
名を持たなかった子どもたちが、初めて自分の言葉で語れるようになったこと。
それを、私の言葉で伝えるだけよ」
その日、私はクラウディアにもその話をした。
彼女は目を丸くして言った。
「じゃあ、今度は“お姉さん”が、舞台に立つんだね。
でも、今のエヴァリーナさんは“誰かの代わり”じゃなくて、“自分のため”に立つから、きっと大丈夫」
私は思わず笑ってしまった。
「そうね。あなたたちがここにいるから、私はもう、間違わない」
夕暮れの庭。
薬草畑の間を走り回る子どもたちの声が、風に乗って揺れていた。
王都で私の名が呼ばれても、ここには変わらぬ日常がある。
そのことが、何よりの力になった。
──だから、もう怖くはない。
私が語るのは、真理でも正義でもない。
ただ、“誰かの声を聞いたという証”。
それが時に、制度よりも強くなることを、私は知ってしまったから。
そして、神殿会議の議長室では。
「これで、すべての役者が揃ったわね」
ユリアナ王妃が書状を見下ろしながら、ふっと笑みを浮かべた。
「でも、彼女はもう“駒”ではない。盤面すら作り直そうとしている。
面白いわね──エヴァリーナ。
あなたが語る“静かな正しさ”が、果たしてどこまでこの国を動かすのか」
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だが確かに、物語の幕はまた一枚、音もなく上がろうとしていた。
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