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王都レーヴェンシュタイン。
整いすぎた街並みも、磨き上げられた石畳も、何ひとつ変わっていなかった。
けれど、歩く私の足取りだけは、もう違っていた。
「……まさか、あのエヴァリーナ様が王都に戻られるとは」
王宮近くの通りでは、噂話が早くも広がっていた。
「断罪された“悪役令嬢”が、今度は“改革の象徴”として招かれたんだとか」
「でも、どうせまた“誰かに利用されてる”んじゃないのか?」
そんな声もあった。
だが私は、そのすべてを背中で受け止めながら、足を止めなかった。
やがて迎賓棟の前に馬車が着く。
王宮の使用人が扉を開き、私の名を告げる。
「神殿再定義会議、外部顧問──エヴァリーナ=フォン=ヴァイセローゼ様、お着きです」
静かな空気。
だが、空気の底には確かに緊張が満ちていた。
そのとき──
「……本当に、来たんだな」
あの声が、背後から聞こえた。
振り返らなくても分かった。
エドモンド=アルヴィス=クラウゼヴィッツ王太子。
かつて私を“断罪”し、“舞台から降ろした”男。
私が静かに振り返ると、彼は予想よりもずっと痩せた顔で、
それでもまっすぐにこちらを見ていた。
「会議の前に……一言、話せないだろうか」
「その前に、ひとつだけ」
私は言った。
「今日は“王太子”として話しますか? それとも、“かつての婚約者”として?」
彼は、少しだけ視線を落とした。
「……どちらでもなく、“罪を抱えた一人の人間”として。
君に、語られたままで終わるのが、どうしても許せなかった」
私は小さく息をついた。
「なら、少しだけ時間を差し上げましょう。
けれど、私はもう“赦すため”に王都へ来たのではありません。
“語るため”に来たのです」
「分かってる。……だから、語ってくれ。
君の言葉を、あのときの僕が聞けなかった分まで」
再会は、赦しではなかった。
ただ、“失われた対話”の続きが、ようやく始まるだけ。
そして私は、この王都で再び“名を呼ばれる者”になる。
それが、もう誰かの望んだ役柄ではなく、
私自身が選んだ“語り手”としての名である限り──
私は、何度でも立つことができる。
整いすぎた街並みも、磨き上げられた石畳も、何ひとつ変わっていなかった。
けれど、歩く私の足取りだけは、もう違っていた。
「……まさか、あのエヴァリーナ様が王都に戻られるとは」
王宮近くの通りでは、噂話が早くも広がっていた。
「断罪された“悪役令嬢”が、今度は“改革の象徴”として招かれたんだとか」
「でも、どうせまた“誰かに利用されてる”んじゃないのか?」
そんな声もあった。
だが私は、そのすべてを背中で受け止めながら、足を止めなかった。
やがて迎賓棟の前に馬車が着く。
王宮の使用人が扉を開き、私の名を告げる。
「神殿再定義会議、外部顧問──エヴァリーナ=フォン=ヴァイセローゼ様、お着きです」
静かな空気。
だが、空気の底には確かに緊張が満ちていた。
そのとき──
「……本当に、来たんだな」
あの声が、背後から聞こえた。
振り返らなくても分かった。
エドモンド=アルヴィス=クラウゼヴィッツ王太子。
かつて私を“断罪”し、“舞台から降ろした”男。
私が静かに振り返ると、彼は予想よりもずっと痩せた顔で、
それでもまっすぐにこちらを見ていた。
「会議の前に……一言、話せないだろうか」
「その前に、ひとつだけ」
私は言った。
「今日は“王太子”として話しますか? それとも、“かつての婚約者”として?」
彼は、少しだけ視線を落とした。
「……どちらでもなく、“罪を抱えた一人の人間”として。
君に、語られたままで終わるのが、どうしても許せなかった」
私は小さく息をついた。
「なら、少しだけ時間を差し上げましょう。
けれど、私はもう“赦すため”に王都へ来たのではありません。
“語るため”に来たのです」
「分かってる。……だから、語ってくれ。
君の言葉を、あのときの僕が聞けなかった分まで」
再会は、赦しではなかった。
ただ、“失われた対話”の続きが、ようやく始まるだけ。
そして私は、この王都で再び“名を呼ばれる者”になる。
それが、もう誰かの望んだ役柄ではなく、
私自身が選んだ“語り手”としての名である限り──
私は、何度でも立つことができる。
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