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29.虹彩 ✧
しおりを挟むアメジストとジャニスティに助けられた、レヴシャルメ種族の子。
――クォーツと名付けられた。
全てのものを浄化させ万物の調和をとる存在との意味を持つ。水晶の中でも茶水晶《スモーキークォーツ》に近い色のような、くりくりとしたブラウンカラーの瞳は透き通るように、美しい。
羽が復元され力の戻ったクォーツの髪は伸び、背丈も変化していた。
十六歳になるまでは『他種族の目には触れさせない、言葉は教えない、そして名前を与えない』との掟があると聞くレヴ族。しかし今のクォーツは身寄りがなく、これからアメジストの元で安全に暮らしていくための手段として、名前は必要不可欠であった。
――そう、もう後戻りは出来ない。
◇
「お嬢様のおかげで一つ、解決ですね」
多くの不安要素がある中で、ジャニスティはアメジストへ優しく言葉をかける。その真意は考えてばかりではなく行動する事を教えてくれた彼女への感謝、また敬う気持ちを込めた彼なりの思いであった。
「本当? ジャニスにそう言ってもらえるなんて! 私すごく嬉しいわ」
その言葉に答えるアメジストは、とても幸せそうに笑う。すると心が通じ合うかのようにクォーツが喜ぶ仕草を見せる。
「キュあ~ぅ♪」
「まぁ! お歌かしら? 上手だわ」
アメジストの腕の中、両手を前に出し可愛く歌うクォーツ。高い美声は部屋の中に射す陽の光に振動し音楽のように弾けると、明るく彩りを見せ響いた。この時に見えた光の色と波動はクォーツの魔力がかなりの回復しているという証だ。
その姿に復元の成功を改めて確信、安心したジャニスティは次の難題を解決しなければなと、思っていた。
「アメジスト様。クォーツの言語についてですが」
「あ、えぇそうね。会話は驚く程、理解してくれるのだけれど……ん?」
クィクィッ♪
「んたた~!」
「ふふふ、クォーツはいたずらっ子さんなのね」
(もぉ! 可愛くてしょうがないの)
難しい顔で話し始めると「元気だして」と言うように洋服を引っ張られるアメジスト。それは全く濁りのない透けるように綺麗なブラウンカラーの瞳が、ウルウルと期待の眼差しでアメジストを見ている。
(この小さな天使の事も、今後護らなければ)
そうジャニスティは考えつつ、表情を変えずに話しを続けた。
「しかもなぜか私たち二人には、クォーツの言う事がおおよそ理解出来る。ですが他の者たちが同じように話せるのかは、分かりません」
不思議である。
クォーツと二人は言葉が通じなくても、分かり合えるのだ。
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