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30.説明

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「どうして私たち、クォーツと通じ合えるのかしら?」
 アメジストの何気ない一言にジャニスティは難しい表情で、しばらく黙り考えていた。そして先程クォーツの心配で聞きそびれてしまった質問の言葉を、再度彼女に聞いてみようと心に決める。

「お嬢様。先程タイミングが悪く、聞けなかった件ですが。やはりお聞きしてもよろしいですか?」
 ジャニスティの真剣な顔、声。緊張感のある雰囲気になりかけアメジストはふふっと笑ってしまう。

「……?」
 その様子に彼は不思議な顔で少し頭を傾けた。

「クォーツはしんみりな雰囲気が嫌みたいだから。楽しく笑っていようと思って」
「そうですか」
 ジャニスティは、アメジストの思いやりの考えに目を細め、優しく微笑んだ。

「そう、それに」
「ん? それに?」
 アメジストはハッとなり口を閉じる。それから恥ずかしそうに頬へ手を添え「何でもないの」とだけ言った。

――あなたの優しくて柔らかい声に、私は自然と笑っていたの。

「では、話の続きを。私が目覚めた時、お嬢様は気を失っておられた。そして指の傷、かなり深めの刺し傷のようで。どういう状況だったのかと」

 話された内容にアメジストは、彼と目を合わせぬよう、口籠くちごもりながら小さめの声で説明を始めた。

「ジャニス、あなたの事を助けたくて」
「はい、その気持ちは伝わっております」
(これではきちんとお話出来ない、もっとちゃんと言わなくちゃ!!)

 そう彼女は意を決して、ハキハキと話し始める。

「ジャニス、あなたの意識が薄れていく中で、頑張って話してくれて。あなたがサンヴァル種族の末裔まつえいだという事を」
「私とした事が、話してしまいましたか」
(種族の事は出来れば知ってほしくなかった)

「言われた通りその魔水を、ゆっくりと飲ませていたの。でも全然良くなっているようには見えなくて。それで人の血を飲めば、きっと元気になると思って」
 アメジストは魔水を飲ませるふりをして自分の指に傷をつけ血を与えた事を、正直に話した。その後ジャニスティを抑えるのに必死で、いつ気を失ったのか分からない事も。

「そうでしたか。お嬢様……」

 ふわっ……。

「ん、えっ?」
「辛い思いをさせ、傷まで負わせてしまい、本当に申し訳ありませんでした」

 ジャニスティの甘く良い香りと体温が再び彼女を包み込んだ。

「助けて頂き、ありがとうございます」

 どうなってしまうのか後先考えずに行動を起こした事を叱られると思っていたアメジストは、驚いていた。
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