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36.解決
しおりを挟むダージリンの紅茶を一気に飲み干すとジャニスティは椅子から立ち上がった。その姿を見上げたアメジストには、彼がいつも自分を懸命に教育してくれている時の、真剣な表情になっている気がした。
「やはり、レヴシャルメ種族は頭が良いな」
「えっ?」
不思議な顔でジャニスティを見ているアメジスト。彼女はレヴ族についての知識があまりにもなさ過ぎたのだ。
「お嬢様、レヴ族についてはまだまだお伝えしたい、教えたい事が多くあります。しかし本日は時間がありませんので。昼食前にはお部屋へお戻りになりませんと」
そう言われて時計を見たアメジストは慌てふためく。
「本当! 大変だわ、もうこんな時間」
その瞬間に幸せしか感じていなかった夢の世界からまるで引き戻されるように、現実の世界を思い出す。
(もし此処にいる事がお母様に見つかったら)
――きっと怒られるだけでは終わらない。
そう、屋敷の中とはいえ近づくなと言われていたジャニスティの部屋へ近づきその上、中で楽しくお茶を飲んでいたなどと継母に知られれば、アメジストはただでは済まない。
「ジャニス……言う通り、私はお部屋へ戻ります。あの、クォーツの事は」
継母への恐怖心からか、好物のベルメ苺ミルクティーを半分程残しおもむろに立ち上がった彼女は、一番の気掛かりであるクォーツの事に触れた。
すると「お任せ下さい」とジャニスティが簡単な説明を始める。
「まずレヴ族について、彼らはとても賢い事で知られています。現に今、私たちの話す言語を理解し、名前というものを認識、さらに聞き取った言葉を話した。この短時間でそれだけの事をやったクォーツの知能は、高いように見受けられます。ですので、難関と思われていた言葉を覚えさせる問題。これは心配ないでしょう」
後は明日の朝を乗り越えられるだけの挨拶や動作を教えればと、先程まで悩んでいた事が嘘のようにジャニスティの中では計画が立てられ、解決への道が開けてきたと、にこやかに話した。
「そう、良かった。とりあえず解決、という事かしら?」
「えぇ、まだ分かりませんが。しかし、この私が教育するのですから」
フッと笑うジャニスティは自信ありげに、問題ないと答えた。
「あっ! あと、クォーツのお洋服を何とかしないと」
クォーツは昨夜、ジャニスティのクローゼットから取り急ぎ手にした水色のカラーシャツを被ったように着ている。それを見て「何とかしてあげないと」そう彼女は思ったのであった。
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