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37.同意
しおりを挟む「クォーツの生活に必要な物については、心配ありません」
詳細はまた……と答えるジャニスティ。その言葉にアメジストは驚く事はなかった。なぜならいつ如何なる時でも先を読み予測をして動き、準備をする。これが彼女が尊敬する“ジャニス”だからだ。
「しかし良い機会です。もう一つお嬢様にレヴ族の話を――」
「え、うん?」
アメジストはあまり見た事のない彼の表情と雰囲気に、少し戸惑う。そして伝えられたレヴシャルメ種族――秘密。
ジャニスティは言葉を選び言葉少なに、話した。
「レヴ族には……クォーツには、性別が存在しないのです」
「――!!」
アメジストはあまりにも衝撃的な真実を知り、一驚を喫した。
◆
あの日。暗い路地で助けたレヴシャルメ種族の子(後にクォーツ)は、色白でやせ細った身体に短い白銀髪、見た目は幼くしかしアメジストには可愛らしい男の子に見えていた。
屋敷へ連れ帰ってからは緊迫した一刻を争う状況の中で顔の特徴をじっくりと見る余裕はなく、羽を切られた背中の痛々しい傷にばかり気を取られ内心パニックになっていた彼女には、レヴ族の“からだ”の作りが全く目に入っていなかったのだ。
そして今日、回復したと思われるレヴ族の子クォーツ。純白の美しい羽をフワフワとさせ彼女を魅了したクォーツは色白で健康的な体系になり、髪は長く艶のある空色に変化、背は少しだけ成長したようにも見えた。唯一、初めて会った瞬間と変わらずアメジストが感じたのは、愛おしいと想う心である。
しかし回復したと思われる姿は果たして元の姿と同じなのか? 今は確認のしようがないのであった。
◆
「てっきり今日の姿を見て……女の子だとばかり、思っていたわ」
(私、身体を拭いてあげている時は、命の事ばかりが心配で。全然気付かなかった)
アメジストは昨夜、此処で起こった出来事を思い出そうと必死で記憶を辿ってみるが、浮かんでくるのはクォーツの苦しそうな顔や息づかいと血の滲む背中ばかりが思い出され、頭から離れない。
結局、性別を確認できるような部分については一欠片も覚えてはいなかった。
「女の子……そうですね。その方が旦那様や奥様を説得するに都合が良く、住みやすいでしょう」
「んっきゃ~♪」
「え、まぁ! うふふ」
ジャニスティとアメジストはその可愛い声に顔を見合わせると、笑い合った。
「どうやらクォーツは、同意してくれているようですね」
そう言うと彼は目を細め優しくニコッと、微笑んだ。
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