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114.同調
しおりを挟む見るもの全てを睨みつけるような、視線。
容赦なく冷たい氷水を浴びせるかのようなスピナの眼は皆が一番、威圧を感じる瞬間であった。しかし今やその切れ長で整った睫毛が虚ろな自分の瞳を眩しさから、隠そうとしている。
(いけないわ、何なの……この感覚は。眠ってしまうようだわ)
「そう、そうだ……たわね、アメジスト。お前さっき手に、光が――」
スピナは心の奥で自身の何かと戦うように顔を歪めるとアメジストへ向けて言葉を、発する。
「お嬢様、その力は!?」
(私がいない間……昨日? お嬢様に何が、起こったというのだろうか)
驚き声を上げたジャニスティの顔を恥ずかしそうに見るアメジストはそう静かに微笑み、答えた。
「ジャニス、私……少しだけ、魔力? というものが、分かった気がします」
クォーツを助けた後も指導するため自室に籠りアメジストと離れていたジャニスティ。ほんの少し普段より長く感じた、あの時間。お互い今までに無い濃い経験をし、過ごしていたのであった。
その後に訪れた、ジャニスティにとって思いもよらぬ出来事。
――感じられないと悩み続けていた魔力を、お嬢様が使っておられる!?
ずっと成長を見守り護ってきた大切な主人である、アメジスト。その敬愛するお嬢様がたった一日で魔力の開花を成し遂げた理由を考えてしまうジャニスティであったが、しかし。
「そう、そうですか。しかし、何故……」
今、目の前で起こっている現実を受け入れようとしやはり戸惑ってしまう。
「どうしてか、まだ分からなくて」
いつものように冷たくあしらう様子もないスピナに触れたままで話すアメジストの手にはたくさん、光が溢れている。それを見たジャニスティは再度、驚愕していた。
「な、んで。お前、魔法が……」
その温かなアメジストの愛情に顔を少しだけしかめ、声を出したスピナであったがそこに、いつもの威圧感はない。
昨日の昼食後、スピナの恐怖に怯えるラルミの心を癒したアメジストのわずかな魔法が開花した瞬間に立ち会っていたのは、数えるほど。その為、ここにいるのはアメジストの魔力(魔法)を初めて目にした者ばかりであった。
「まぁ! なんて綺麗な輝きでしょう……」
「アメジストお嬢様が、力を!!」
「ついにベリル様の御力を、受け継がれるのですね」
窓から射し込む温かい太陽と同調するかのようなアメジストの力は、穏やかな光と変化する。その輝きはスピナだけではなく部屋にいる皆を、包み込み始めた。
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