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358.推量
しおりを挟む「確かに……思えばまるで自分の未来を“予言”していたかのように、ベリルは楽しい思い出話を織り交ぜ、今後のベルメルシア家で必要となるであろう情報を私に語っていた」
オニキスは右手を軽く握り顎に当てると考え事をする時の仕草に変わる。その姿を見たジャニスティは声のトーンを落とし、話を続けた。
「旦那様。私は当然、ベリル様と面識はありませんが、書庫にある隠し扉の秘密を先程聞いてから……あの場所で感じた経験のないものが何モノだったのかが判った今だからこそ、ベリル様という御方は“強き魔力”をお持ちだったのだろうと、私は心から思います」
何度か扉の中を調査していた彼はそこにずっと大きな存在を感じ、不思議な気分になっていた。最終的にそれは敵ではないと判断してからも一体何者なのかと、模索する。
そのうち「自分に理解出来ない力だとすれば、もしやこのベルメルシア家の者だけが感じ取れるのでは」との答えに、辿りついていた。
しかしそれも確証のない彼だけの考え。
数日前に継母スピナから発見されぬよう逃がすためアメジストを書庫の隠し扉へと案内した際――『三つの注意』を彼女へと伝えたのは力の正体が、見えなかったからである。
それはどんな状況でも危険な目に遭わぬよう安全を考えた上での、彼なりの注意事項であった。
「ジャニスの推察通り『オレンジマリーゴールドの花言葉』を当時のベリルが理解しており、産後に取った意味ある行動だとすれば……」
(ベリル、やはり君は生きてくれているのかい?)
――そこから我々に、何かを伝えようとしていたのだろうか。
「ふむ……坊ちゃまのお声は貴重な意見。こうして広く多くの可能性を視野に入れ、考えることも必要でしょうからな」
「はい、もちろんです。私の話は一つの意見としてお聞き下されば幸いです」
「あぁ、だがジャニスの言う事は、これまで我々三人が思いもしなかったような、有力な考えだと思うがね」
「そうですな、考察すること然り。そこで互いに耳を傾け、推量し合うことも大事でありましょう」
「エデ……旦那様、ありがとうございます」
あくまでも彼が独学で学んだ花の知識から推しはかられた想像の話であると、エデはやんわり念を押す。それに深く頷き応えたジャニスティとのやり取りに真の信頼を感じるオニキスは「やはり二人は親子のようだ」と心の中で、呟く。
それから一瞬で顔色を変え「気になった言葉がある」とジャニスティに聞き始めた。
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