幼女公爵令嬢、魔王城に連行される

けろ

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第55話 待ち伏せの必要性

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 バハムート達がスターチア達3人を待ち伏せしていたという私。
 しかし、連中はスターチア達が来る場所と時間は把握していなかったという私に魔物たちは困惑するのだった。

「しかし、待ち伏せしているところにスターチア達が通りかからなかったら成立しないのではないかのう?」

 私にぶつけられた小さな紙屑を広げながら言うシグマ。
 広げた紙に「はずれ」と書いてあるのを見てガクリと肩を落とすシグマの言うことは他の魔物にとっても疑問が残る点であった。
 隣で何故か落ち込んでいるシグマを見て呆れているヴァネッサも「こいつの言う通り、外れる可能性が高すぎじゃないかしら?」と私に意見を言う。
 当然の疑問として彼女が言う「確率」の問題も、ある条件を満たせばクリアできる。
 どうやったら待ち伏せが成功するのか私の意見を待つ魔物たち。
 しかし、それに対して私は自ら答えを言わなかった。
 この問題について少し、アリシアがどんな風に考えているのか気になったからである。
 なので私はアリシアに「あなたならどうやって待ち伏せの成功率をあげるかしら?」と問いかけた。
 すると、彼女は会場の魔物たちの思考の斜め上を行く返答をする。

「私でしたら、待ち伏せが上手くいかなくても「成功」する作戦を考えます」

 そもそも「待ち伏せ」の成功率など0%でいいと答えるアリシアに魔王やアドルですら驚いていた。
 彼女の意見を聞いた私は、想定していた二つの回答の内の一つをアリシアが言い当てたことに満足する。
 アリシアの言った作戦とは「待ち伏せが上手くいったらラッキー」という保険的な発想であった。
 戦闘能力もなく、シグマを始めとした強者たちを動かすという発想もないアリシアらしい考え方である。
 彼女とは対照的な「強き者たち」はアリシアの言う作戦がどういうものなのか気になるのであった。

「魔王軍の皆さんを利用できそうなら利用する、そうでない場合は邪神教が力づくで教国を支配するというわけです」

 アリシアの口から出る意外にも「シンプル」な作戦に魔物たちは更に驚く。
 しかし、彼女の言う「力づく」の支配ができるならば初めからそうすればいいじゃないかと言うシグマやドレイクを筆頭とした「パワー系」の魔物たち。
 確かにその通りではあるが、それならば「待ち伏せ」をすることで得られる旨味すら0%になってしまうはずである。
 なぜなら、結局得られる結果が同じであり、待ち伏せをしない方がコストが少なくて済むのならばその方がいいからだ。
 では、なぜ失敗する可能性がありながらも面倒な待ち伏せをしなければいけなかったのか。

「待ち伏せが成功しなくてもいいことは理解したが、それならばなぜ待ち伏せをするのだ?」

 パワー系代表の魔物であるシグマが待ち伏せに対して疑問を持つ。
 他の魔物たちもそのことに関して同様に不思議に思っていた。
 だが、待ち伏せの必要性に関しては意外にも「魔王」から説明される。

「邪神教がそのまま教国をつぶした場合、連中にはプラスにならんどころかマイナスになる可能性がある」

 邪神教が単純に教国を破壊したところで現状では邪神教に利益は出ないという魔王。
 仮に教国に対して破壊活動を行ったとしても「魔物が国を襲った」という情報しか残らない。
 もちろん、人間達に邪神教と魔王軍の魔物の区別がつくとは思えないが有名人ともなると別である。
 バハムートを始めとする大戦時代からの四天王やヴァネッサ達隊長格は、一応魔王軍や邪神教について記されている各国の機密文書なんかには情報があるという魔王。
 流石に王国でも機密文書までは見ることが叶わなかった私は「そうなのかー」と人間界に関する新たな情報を興味深く聞くのだった。

「つまり、各国に邪神教の魔物が現れたことが露見するわけだ」

 そうなると人間達は「邪神教」の調査を始めるだろうという魔王。
 邪神教としても普通の人間如きならば何の問題もないらしいが、人間界の最強集団「六柱」が出張ってくると厄介なことになるという。
 六柱とは大戦時に活躍した人間界のスーパースター達である「六星」の後継者たちである。
 魔王軍の隊長格や、邪神教の四天王たちですら一目置くという彼らが集団で討伐に向かってこられるのはまずいという。
 そこで、なんとか魔王軍をデコイにしておく必要があるのだとか。

「でも、それならフェイリスが復活していない今のタイミングで攻め込む必要ってあるのかしら?」

 待ち伏せの必要性があるのかという問題の核心を突く発言をするヴァネッサであった。
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