【完結・R18】触手彼氏

星式香璃143

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1.ないしょ ※R18表現あり

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 呼吸の仕方を忘れてしまったかのように、息ができない。


 それでも、体は空気中の酸素を肺胞に与えようと、ひたすら口を動かす。
 しかし、躍起になったところで飲み込みきれない唾液がだらしなく滴るだけ。
 一向に呼吸は楽にならない。




「あ゛ッ……、っい、やだ……これッ……ぇ!!」



 もう嫌だ。
 そう何度叫んでも聞き入れてもらえず、四肢を拘束する《ソレ》に、股関節が軋むくらい左右大きく開脚させられる。
 少年の体は宙に浮いており、安定性がない分、余計につながっている部分を意識してしまう。


 そのことを知ってか知らずか、《ソレ》は容赦なく侵入を繰り返してくる。
 まるで、腹の中に生物を飼っているかのようなうごめきと圧迫感。
 息が詰まるほど内部を掻き回され、白濁の液体をまき散らされる。

 いや、まき散らすは自分も同じだ。
 気が狂うほど突き上げられ、前立腺裏をえぐられたら、もう何度イかされたかわからない。腹部は自分が吐き出したものでどろどろに濡れていたし、ぽたぽたと床に粘液が滴るほど下肢は汚されていた。


「ッン、ぁ……ッひ、も、もう、…中は、やめ……!!」


 内部でひときわ大きくなった異物。
 限界を察し、少年は泣きながら拒否した。
 しかし拒否した途端、赤黒い異物が少年の口に近づいた。少年は、朦朧と焦点が定まらない瞳でソレをとらえると苦しげに呻く。


「――っうぅ……わ、…ったから、口なら……、出していいから…!」


 男性器に似た――《触手》はずるり、と少年の口腔内部にはいる。
 まるで少年の口腔が性器であるかのように咽頭まで深く入り出し入れを繰り返しだした。



「ンン!! う、グぅ……っゔ!」


 触手からの分泌液だろうか。少しほろ苦い液体と唾液が混ざり合う。
 上からも下からも、ぐちゃぐちゃと濡れた粘着質の音が響き渡る。


 人ではない。
 ましてや《動物》でもない何かに、後ろだけでなく、口にも異物をねじこまれるという非現実的な状況。

 しかし少年は、すがるものがそれしかないように、ぬめりを帯びた《触手》にしがみつくしかできなかった。
 触手に舌を絡ませて、吸い上げたとたん口腔内部に何かをぶちまけられた。大量に出され、口の端からどろりと粘着質の分泌液がこぼれる。
 咽頭近くまで犯されていたせいで、触手の分泌液は吐き出す暇もなく大半を飲み込んでしまった。



「ンッ、…ふぐ…ぅん゛ンッ」


 ほろ苦い分泌物を嚥下したとたん、そこから発熱したように全身が熱く震えだす。

 恐らく、快楽物質のような成分が含まれているのだろう。
 さんざん凌辱されたというのに、体は貪欲に刺激を求め始める。少年は体の奥から湧き上がってくる欲に泣き出しそうになった。


 触れられた部分が熱い。
 もっと刺激が欲しい。
 乱暴に犯してほしい。


 まさに淫乱女のような言葉を必死で呑み込みながら、少年は自分に嫌悪した。
 しかし、嫌悪しながらも敏感になった身体は自我を裏切り、触手との深いつながりをもとめて、無意識に腰が動き出す。



「……やっ、…いやだぁ…ッ!」



 嫌だ、嫌だと快楽に震えて泣きながら、自らぐちゃぐちゃと音がするほど陰部を触手に押し付ける。肥大した触手から精液を絞りとるように腸壁が収縮を繰り返し、さらに奥へといざなう。


 終わらない狂行。
 少年は快楽におぼれながらも、先の見えない行為に終わりを求めて、欲に濡れたかすれた声で叫んだ。




「わか…ッ、中にも、だしていいっ……から!! ッ好きにしていいから!!」


 早くイかせて!
 叫んだ少年に呼応するように、細長いひもの様な形でせき止めていた少年の性器を開放し、絶頂を促すようにもみしだいた。まるで無数の手に悪戯されてるかのような触手の動きに加え、腸壁をえぐるような突き上げに意識が遠のきそうになる。

 何度目かの突き上げで、凶暴なほど肥大していた後穴の触手がビクビクと震え、体の奥底が濡れたような刺激が伝わった。


「ひゃ、ア、ァっ!!いやぁああ!」


 それと同時に、少年ももはや出しすぎて透明になりかけていた液を断続的に吐き出した。



「あ、…ン…ッ!」


 達した直後、ごプッ…と腹の奥で音がした。
 何の音かは考えなくてもわかる。
 吐き出された欲望の多さに眩暈がしそうだった。

 
「……は、ぁ……は、……」


 やっと、終わった。
 宙を漂っていた少年の体がゆっくりと地に下ろされる。
 拘束されていた四肢はゆるやかに解放され、さんざん吐き出して満足したのか、後ろの触手がゆるりと引き抜かれた。

「ン、ぁ……っ!」


 安堵の吐息が少し色めいてしまったのは、栓をなくしてしまった後穴から、どろりと精液があふれ出してきたからだ。

 もう、下半身の感覚がない。
 自分の体なのに、甘くしびれたように麻痺していて、自分の体じゃないようだ。
 これではしばらく歩けそうにない。


「ッ…お、まえぇ……!」


 ひんやりとした便座の冷たさが心地よくて、背後に当たる貯水タンクにぐったりともたれかかりながら、少年は《ソレ》を睨んだ。


「……いくらなんでも、限度ってもんがあるだろうが……ッ!」


 熱を多量に含んだ荒い吐息がおさまらないまま、少年が一喝する。
 その声は驚くほどトイレ内によく響いた。
 あんまりにも響くものだから、慌てて少年は自分の口を両手でふさいだほどだ。


 怒鳴られた無数の異物はというと、反省していることを少年に伝えたいのか、先端から舌のようなものを出して体を舐めはじめた。
 突然の行動に、少年は息をのんだ。


「ッもういいっ! 舐めなくていいから!」


 ぴちゃぴちゃと全身の至るところを同時になめられ、少年は体を硬直させた。
 このままでは《第二ラウンド》に突入しかねない。
 少年は残された力を振り絞り、今まさに少年のやわらかな尻に突入しようとうごめく触腕を掴みあげた。




「――ッいい加減にしないと引きちぎるぞお前!!」



 自由自在にうごめく触手でも、さすがに引きちぎられたくはないのか。
 その一喝で驚くほどおとなしくなり、今度は少年に許しを請うようにすり寄ってきた。



 あたりは夕闇に包まれ、遠くから野球部のかけ声が聞こえる。


 なぜ野球部の声が聞こえるのか。
 それは、ここは公立高校の本館から離れた別棟4階の男子トイレだからだ。


 一見、乱暴されているようにしか見えなかったこの少年が、なぜそんな人気のない場所にいるかというと。




「いいか? 明日は、一回で終わりだからな」





 そう。
 少年は触手とこの場所で毎日の様に情交をしているのだ。


 しかも同意の上で。







【触手彼氏】
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