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一章 10歳になって
40、ファミリーへ道連れ 7(これは通信機)
しおりを挟む朝、アルベラが部屋を出て一階のエントランスに目をやると、いつもより早く食事を済まし何処かへ出向こうとしている父を見つけた。
ため息をつき、少し困ったような様子で扉へと歩いている。
「お父様!」
昨日の今日だ。さっそくあの件での動きだろうか、とアルベラは階段を降り父の元へ駆ける。
「あ、アルベラ?! ………まさか君まで、」
父はなぜか恐怖するような顔をしていた。
そしていつもと同じテンションで「おはようございます。今日は早いのね」と首を傾ぐ娘の姿にほっと息をつく。考えすぎだと言うように頭に手を当て二~三首を振る。
「いや、そうだよな………………………ああ、そうだとも。済まない何でもないないよ。おはよう、アルベラ」
(なんでもない………。何もない時に突然『何でもない』とは言わない。つまり今、父は何でもなくないから何でもないと言ったわけで)
父の姿をじーっと見つつ、アルベラは上半身ごと傾いで見せる。分かりやすく漠然とした疑問だけを伝えるように。
「ああ。すまんすまん。本当に何でもないんだ」
父は笑ってごまかしていた。そう。ごまかしている。
「どちらへ?」
「ちょっと街役場で会議をな」
「例の悪党の件でしょうか?」
「ああ。そろそろ頃合いでな。お前も来週には安心して外出できるようになってるだろう。少なくとも、今よりはマシにはなってるはずだ。お父さん、明後日のお昼か夕方かに帰るから、お母さんの言うこと聞いていい子にしてるんだぞ」
「はあ、はい」
「いいか」
父は片膝をつき、念を押す様に娘の両肩に手を置く。
「いい子に、ちゃんと、屋敷にいるんだぞ」
不自然な念の入れようだ。
これはまさかツーやネズミの件がバレたのだろうかと少し不安になる。が、アルベラはそれを表に出さず、ニッと笑んで見せた。
「お父様心配しないで。私いつもいい子よ」
「とん」と張った胸を叩いて見せる。
父は「ああ、そうだったな」と和んだように笑うと「じゃあ、父さんいってくるな」とアルベラの頭を撫でて出ていった。
アルベラは「いってらっしゃーい」と手を振る。
父が去り際、扉の前でお辞儀をする使用人に「通信機が転がってたら机に置いといてくれ」と言っていくのが聞こえた。
そして、ふと見たエントランスに置かれたソファーの下。きらりと光る銀の筒がアルベラの目に留まる。
「通信機ですね。質のいいこと」
朝食後、拾ってきたそれをエリーに見せた所、「通信機」だと教えてくれた。
自分の知っているトランシーバーとはやけに形が異なる。
今あるそれは、丁度人の顔の横幅と同じくらいのサイズの銀の筒だ。見ようによってはシンプルで小奇麗な飾り物にも見える。
筒の中央に開けられた楕円型の穴から、なんとなく横笛のようにして使うのだろうという事が予測できる。
筒の中を覗けば、回路のような線が沢山内面に彫り込まれていた。光の当たる角度により、その回路の一筋一筋に光が走って奇麗だ。
「これ、アタッチメントがつけられるタイプですね。すごいですよ。多分四つの株と通信し分けられる高性能品です。流石貴族」
実際に使ったことのないアルベラにはぴんと来なかったが、なかなかいい品のようだ。
通常一~二つのチャンネルしか拾えないところ、これは四つのチャンネルを拾い使い分けて連絡を取れる。みたいな話らしい。
丁度エリーも明日、ツーから一つ通信機を預けられる予定だったそうなので「葉を一つ多く貰えば、音声通信位ならお嬢様とできそうですね」と言っていた。
「うーん。良く分からないけど、リアルタイムで実況が聞けるかもって事ね」
「はい。しかも、数チーム形成して乗り込むので、各チームに一つ所持されます。なので、運が良ければリアルタイムで皆の会話が盗み聞きできますよ」
「なにそれ! おもしろ!」
アルベラは銀の筒をぐっと両手で握りしめる。
この通信機は魔力を流し込むとその魔力を風の精霊の好む質に変えてくれるらしい。そして、筒の端から差し込んだ「ヒックツリー」(別名風泣きの木)という木の一部を反応させて、同じ株の一部を持つ者たちと連絡が取れる、という代物だそうだ。
細かく言えば、木が直接反応するのではなく、一つのヒックツリーで生まれ育った精霊が、同郷の仲間へ風を送るという仕組みだ。その風を受け取った筒が魔術により風で運ばれてきた音の記憶を音声に変換し通信が成立する。
ヒックツリーは人の手で改良を重ねられており、この通信機に会うように進化させられてきた木だ。風の精霊と音の関係に着目した研究者がおり、その研究から発展した一つがこの通信機と現在のヒックツリーなのだという。
もともとヒックツリーは「風の精霊が宿りやすい」「風の精霊が生まれ育つ木」という特性を持っており、通信の道具ととても相性がいいようだ。
という訳で、今回はツー所持のヒックツリーを使用し、皆連絡を取り合う。そこから葉の一枚、一欠けらでも手に入れば、アルベラの通信機はエリー達の物と通信可能とういことだ。
(お父様ありがとう………ちゃんと帰宅までにお返しいたします!)
アルベラは願ってもない道具の入手に、胸の前で手を組んで感謝の念を父へ送る。
***
『公爵陣は二日後の夜決行』
ツーにはネズミを使用し、昨晩すぐに手紙で伝えた。
一体どんな顔をしてあの知らせを読んでいたものか、アルベラにとってとても気になるところであるが見えないものは仕方がない。
「ネミッタ・ソネミー伯爵」なる人物の名も伝えた所、どうやらこの街に住む貴族だという事はツー側も知っているらしい。
街の貴族であれば父の「街の統治」という仕事の上で、仲間、部下、手下、小間使いである可能性はあるだろう。
だが、アルベラはその人物を、見も聞きもしたことはない。父とはあまり親しい間柄ではないのだろうか?
ツー側の適応は早いもので、明日の夜であっても八郎を連れ出す策だけなら決行できるとのことだ。「ネミッタ・ソネミー伯爵」と薬の関係についての情報は収集するが、主な対処は公爵側に任せようという事になった。
時間がないのなら重要度の高い目的に絞るべき、ということだ。
ツー側も、手下が何人か捉えられており、彼らを救い出したいという目的があるのだとか。なのであちらも、優先すべきは「それ」と決めている。
そもそも売人たちを探っていたのも、行方不明になった身内を探すうちにたどり着いたものらしく、更に色々探るうち自分たちのボスの名まで出てきて油を注がれた怒りの火力が大いに増した、という感じのようだ。
多分だが、一番怒っているのはツーよりその右腕のリュージであろう。
(あいつ、私にクソガキっていう時と同じトーンでとにかく全員殺してやりたいみたいなこと言ってたもんな。手紙のやり取りでもクソガキクソギキって………あのクソリュージめ………)
昨晩から頻繁に交わされた手紙の中、自身への悪意ある暴言をいくつか思い出しアルベラは小さく頬を膨らます。だが、ふと昨晩の最後のやり取りを思い出し、満足げな表情でほくそ笑む。
それはともかく、だ。
彼らの仲間とやらも八郎とのやり取りにより居場所がはっきりしたようだ。もっとも、捕まった3名のうち、2名は実験により既に命を落としている可能性があるらしい。
この事実がツー側に伝わるや否や、作戦の内容に若干変更が出た。
前回は八郎救出から主要人物たちを待ち伏せて捕らえる、というものだったが、今回届けられたメモにはこう書かれていた。
―――『公爵よりも早く動き2名を連れ出す。その他捉えられている者たちを解放後、火を放ちその場にいる売人側関係者と思われる者は一人残らず叩き潰す。』
「叩き潰すって言い方よ………」
その感情的な言葉遣いに、「おじさま自身の言葉なのか、あの大人げないリュージの案なのか………」とアルベラは考え、後者であって欲しいものだと息をついた。
「エリーはこれからどうするの? 明日の夜まで普通にお勤め?」
朝食を終え午前の授業の準備をしながら、エリーはニコリと返す。
「はい。ひとまず夕方までは普段通りに」
その後スレイニー先生を迎え授業が始まり、休憩を挟みつつ算数や社会、理科にあたる科目を1時間ずつ受けた。
授業の終わりにこの街の統治について、というより主に「ネミッタ・ソネミー伯爵」のこの街における立場は一体どのようなものなのか、を訪ねてみた。
「アルベラ様、なぜそんなピンポイントな………?」
「お父様が名前を出してるの聞いて誰かと思いまして」
スレイニーは顎に手を当て、どう話し出すべきか考えて居た。
そして、メガネをくいっと上げ、いつものきつめの目元を更にきつめにして話し出す。
「アルベラ様。私がこうして、ディオール公爵様に雇われ、………というより、私に声をかけてくださったのはレミリアス様ですが。こうしてここに教師としてお勤めしているのは、純粋にお二人を尊敬し慕っているからです」
「………はい」
それはスレイニーがこの屋敷に初めて来たときにも言っていた言葉だ。
二人のような立派な方々に声をかけて頂けたのが嬉しい。そしてそんな二人の大事なご令嬢を預かる以上、できうる限りの最善の教育をして見せる。覚悟をなさってください、と。
確かにスレイニーの勉強は分かりやすく内容も濃かったが、アルベラはそれらをきつい、つらいと思ったことはなかった。それはスレイニーがアルベラの年齢や学習の速度を見て適切な調節をしていてくれたからだろう。そして、それが最善の勉強だと、そういう施しができると、母も読んでの人選だったのだろう。
「私のように、ディオール公爵と夫人を慕う者、尊敬するものは多くいます。そして、その反面、あの方たちを非難し、警戒する者たちもいるのです」
「は、はあ………?」
いったいどういう事だろうと頭を回転させ答えを出そうと頑張っている様子の少女の前、スレイニーはかがみこむ。
彼女は少女と視線の高さを同じくし、無意識にであろう、声音を少し小さくしてこういった。
「ネミッタ・ソネミー伯爵は、この街で一番の『公爵嫌い』なのです」
そういうと彼女は、汚らわしいモノでも払うように鼻を鳴らした。
(ソネミーの仕事は主に水路の整備。『そこそこ重要でもあり、当たり障りのない仕事ともいえる。』そして公爵嫌いのソネミーからすれば『ディオール公爵直々に水路系の仕事を申し渡されるのはとても皮肉めいても感じる話であって』………とは??? 先生、どういう事?)
アルベラは昼食後、自室にてエリーを待ちながら先ほどのスレイニー先生の話とその話と表情を思い出していた。
父と母について話をするときの、キラキラとした尊敬のまなざし。
そして、それに相反するもの、主に今回は「ネミッタ・ソネミー伯爵」を口にするときの愚かで低俗な者を見る時の軽蔑のまなざし。
「ネミッタ・ソネミー伯爵」を口にした時の顔よりも、アルベラにとっては父と母を語る時の「酔いしれた」表情の方が怖かった。
変な宗教にはまった信者。
今日のスレイニー先生はそんな感じだった。
(おじい様の家督を継ぎ、伯爵だったお父様。この国でも評価の高い辺境伯『フォーティス・ウォール伯爵』の娘であるお母様)
二人が出会い、結婚し、自分が生まれるまでいろいろあったようだ。人に歴史あり。それは誰にだって当然の事だろう。
そして、父は公爵の位になるまで幾つかの無茶をし、その結果公爵となり、その結果敵も多く作ったようだ。だから、この国の貴族には『ディオール公爵』の名を嫌う者たちがいる。
スレイニー先生の話は大方こんな内容だった。
もっと詳しく、具体的に父が何をしたのか聞きたかったが、スレイニー先生もこの後は別の用事があるらしい。時間に几帳面な彼女は、父の活躍を話せず名残惜しそうにしつつも、止める事の出来ない時間に悔しそうに眉を寄せ「直接お父様に聞くといいですよ」と言い残し去っていった。
(気になる。お父様親ばかだし、デレデレした顔しか見たことないし。正直こうして私が外に興味持つまで、父はただ椅子に座ってるだけでお金をもらってるもんだと思ってたし)
今日父に聞いてみようか、と考えた所で思い出す。明日まで父は帰ってこないのだったと。
「くそう!」と心の中舌を打ちつつ、自分の物の知らなさや、今までの周囲への興味の無さに反省するアルベラだった。
「お疲れ様でーす」
エリーがいつもの通り紅茶をもってやってきた。
頼んでいた通り、幾つかのナッツをお茶うけに持ってきてくれている。
「お疲れ。で、ハイ。手紙来てたよ」
授業が終わり自室に戻ると、窓枠の隅で健気に自分を待っていたネズミから受け取ったメモをテーブルの上に差し出す。
アルベラはエリーのついだ紅茶を受け取り音のならない笛を「スー」と吹いた。そこにちょろちょろとテーブルの足を伝い、一匹のネズミが目の前に現れる。
それはアルベラが「に」となずけたネズミだった。預けられた三匹は微妙に毛の色合いが異なり、薄いものから順にアルベラは「いち」「に」「さん」と呼んでいた。
アルベラは「に」にナッツを渡し頭を撫でる。
ネズミの表情は分からないが、多分喜んでるのだろう。両手でナッツを掴み、ご機嫌にかじる姿は愛らしい。それを部屋の隅から見ていたのだろう。他の二匹も出てきて、テーブルの上ちょこんとならんでアルベラを見上げる。
「『いち』と『さん』もお食べー」とアルベラは掌にナッツを乗せて差し出す。
テーブルの上に置かれたナッツを、人を介して出ないと受け取らない三匹の姿にアルベラは礼儀正しいものだと感心する。
「お嬢様、名前そのままですね。分かりやすいからいいんですけど」
とエリーが手紙に目を通しながらこぼす。
「でしょ。分かりやすいからいいの。どんな名前でも可愛いし」
食べ終わったネズミたちはまたちょこんとテーブルの上に待機していた。食べ物が欲しいわけではなく、追い払われないからいるという様子だ。
アルベラは彼らの頭をぐりぐりと撫でつつ「おじさまなんて?」とエリーへ尋ねる。
今回のメモは地図だ。
小さく簡略化されたそれを見て、エリーは持ってきていた地図を床に広げる。
「準備いいわね」
「ええ。先の手紙で地図を準備するよう書かれてたので」
と地図を眺めていたエリーが「そういえば」とニコニコした顔で、幾つかの手紙をテーブルの上に並べだした。
アルベラは「なんだろう?」と黙って眺める。
まず一枚目。
『承知した。ハチローからの返答を待ち調節をする。クソガキはさっさと寝ろ』
これは父の盗聴後、急いでツーに送った「二日後」についてのメモに対し返ってきたものだ。
そして二枚目。
『まだ起きてたのかガキ。くだらない戯言を言うためだけにネズミを使うな。オヤジは寝てる。そもそもお前のようなガキが生意気に口をきこうとするなガキ』
そして三枚目。
『ガキはガキだ』
四枚目。
『さっさと寝ろクソガキ』
五枚目。
『いい加減ぶっ殺すぞ』
六枚目。
『クソガキ。本当にそろそろ許さねぇぞ』
七枚目。
分かりやすく荒々しい文字が紙一杯に大きく書かれている。
『上等じゃねーか!!! 返り討ちにしてやらぁこのクソガキ!!!!!』
「なに手紙で喧嘩してるんですか?」
エリーは笑顔でこれらの手紙を示す。
どれも昨晩机の上にほおっておいたものだ。いつの間にかなくなってたので、そういえば捨てたのだろうかと思っていたが。そうか、エリーが回収していたのか。とアルベラは納得する。
「あほリュージが律義にお返事をくれる上、あまりに分かりやすく煽りに乗ってくるもんだからつい」
正直、あのチンピラを離れた安全な位置から煽る遊びが楽しくなってしまった。そして最後、相手がわかりやすく切れた文面を確認し眠りに着いたのだ。一仕事やり切った後のような、満たされた気持ちで眠りにつけたのを思い出す。
「ずるい! お嬢様ばっかりリュージさんとイチャイチャして!」
「してないでしょ?! あんた今『喧嘩』って言ったじゃん!」
どうやらエリーの中でリュージは結構好印象らしい。薬の研究所を攻め落とす際、リュージと同じチームなのをエリーは素直に喜んでいた。どんな服でどんな化粧で行こうと、目的とは不釣り合いなはしゃぎ方をしている真っ最中だ。
「それで」
エリーはリュージの最後のブチ切れの手紙を見て首を傾ぐ。
「最後なんて送ったんです?」
「なんだっけ。すぐ寝たからなぁ。確かそれ系の………………………ああ」
―――『寝る』
一言大きく「寝る」と書いて寝たのを思い出す。
小さく丸めたところまで覚えてる。その紙はどうやらこの中にはないので、きっとネズミが届けておいてくれたのだろう。
さて。あんな怒りむき出しの手紙を送ってきた相手が、シンプルなあの二文字の手紙を受け取ったら一体どんな気持ちになるのだろうか。
「どう思う?」
「侮辱的ですね」
エリーは満面の笑みでそう返す。
そして悲し気に眉を潜めたかと思うと、「リュージさんとイチャイチャするお嬢様が憎らしい。なのに、そうやって男を小馬鹿にするお嬢様も、イイ! ああ、………私、どうしたら………」と勝手に悩みだす。
アルベラは「このオカマも大概人のこと言えないんだよな」とその姿に目を座らす。
さて、話は最新の手紙の内容に戻る。
今回は八郎のいる『屋敷』とやらと、「ネミッタ・ソネミー伯爵」の屋敷の場所の確認を兼ねての知らせだそうだ。
ソネミー伯爵の屋敷はこの街の北側。公爵家から見て時計塔の間反対に位置する。そして八郎がいるという屋敷は東側。街の外れにあり、林を背にしている屋敷らしい。
明日の夜、待ち合わせ場所にエリーは地図の上印をつける。
そして伯爵の屋敷と八郎の入る屋敷のちょうど中間。少し小高くなった場所に空き家があり、メモにはどういう意図か「双方の見渡し可」とあった。
一瞬その意味を考え、アルベラはお茶を飲む手を、エリーは地図の上印をつける手を、双方止める。
「ツーのおじさま………」
「あらあら」
アルベラは感動に胸を打ち、エリーは困ったように苦笑した。
まるで「ここからなら安全に事の顛末を眺められるぞ」とでも言いたげな知らせだ。
アルベラはエリーへ熱い視線を向ける。
双眼鏡は数年前に父にもらったおさがりが机の引き出しに眠っていた。そして、運のいいことに今朝は通信機まで拾っている。
「うーん。ここからなら火の手も届かなそうですし………。けど一人というのも………」
「じゃあニーニャ連れてく!」
「もう、それで行きましょう!」
アルベラの提案に、エリーは思考を放棄したように了承した。
「イエーイ! これで明日は完璧☆」と二人は両掌でパンとハイタッチする。
二人の知らないところでニーニャは寒気を感じくしゃみをしていた。一緒に洗濯物を干していた同僚に「大丈夫?」と心配されるのだった。
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