21 / 37
第2章 金の成る魚編
暗躍する影
しおりを挟む
「「転移装置?」」
城壁の外。
老人の話を聞いたニナとネロは、同時に首を傾げた。
私はアイテムボックスから買ったものを取り出し、2人に見せる。
「こっちは地力石だな。そう珍しいものじゃない。それで……このオブジェは何だ?」
「穴が開いてます。地力石をここにはめるんですか?」
「そうみたいだよ。物は試しというからやってみようか」
私は右手でニナの肩に、左手でネロの肩に触れた。
「やってみるって何を……」
「【収納】」
「「ああああ……」」
2人を、オグリギャップとハニーブライアンと馬車を、そして荷物を全てアイテムボックスに収納すると、私は青色の地力石を転移装置にはめた。
そしてその頭部を掴み、老人がやっていたのと同じように呟く。
「【転移】」
刹那、耳元にざわざわと風のような音がした。
そして一気に目の前が真っ白になる。
次の瞬間、私は村の入口に立っていた。
「すごぉ……」
改めて自分で体感してみると、すごさもひとしおだ。
画期的な移動手段を手に入れてしまった。
王都の地力石もつけてくれておかげで、オークションのお金を取りに行くときもわざわざ日数を掛けなくて済む。
「【解放】」
アイテムボックスの外に出してあげると、2人はしばらく呆然としていた。
そして同時に我に返って叫ぶ。
「これは一体どういうことですか!?」
「これは一体どういうことなんだ!?」
「ふっふっふ~。実はね……」
私は自分が開発したわけでもないのに、自慢げに転移装置について話す。
全てを聞き終えたあと、ネロが真剣な顔で言った。
「その老人、どんな見た目だった?」
「うんとね、歳はミョン爺と同じくらいで特徴らしい特徴はなかったよ。普通のお爺ちゃんって感じ。でも力はすごかったな。紫の布に広げてた商品を、ちっちゃな体で背負って歩いてっちゃったんだから」
ニナとネロが顔を見合わせて言う。
「「クレシュさんだ……」」
クレシュさん……。
それがあの老人の名前なんだろうか。
確かに向こうはニナのことを知っていたし、2人が老人のことを知っていてもおかしくはない。
「クレシュさんっていうのは?」
私が尋ねると、ネロが教えてくれた。
「クレシュさんは稀代の天才発明家、天才道具師にしてミョン爺の弟さんだよ。最後に村に来たのは、ニナがまだ赤ちゃんの頃だな」
「私は直接の記憶はないんですけど、ミョン爺やお母さんから話を聞いたことがあるんです」
「それでニナのことも知ってたんだね」
「あの人はどこに定住するわけでもなく、色んなところを回っているらしい。目撃情報は何度か耳にしてたけど、まさか同じタイミングで王都にいたとはな」
稀代の天才クレシュか。
確かに1から転移装置を作ったというのは、すさまじい才能だ。
彼も「また会える気がする」と言っていたし、いつかもう一度会ってみたいな。
※ ※ ※ ※
王都から少し離れた洞窟の中。
焚き火の前に老人が1人。
稀代の天才クレシュだ。
「来たか」
洞窟の中に1つの影が入ってきて、クレシュの前に立つ。
そして頭を下げた。
「分かっていらしたのですか? 私が来ることを」
「当然だな」
「それはそれは……。お待たせしました。お迎えに上がりました」
「それで今回は何の用だ」
「詳しいことは直接お聞きになってください。私は迎えの者に過ぎませんので」
「そうか」
ゆっくりと立ち上がると、クレシュは荷物を荷物を持ち火を消した。
「お持ちします」
「いや、これは自分で持たせてもらう」
影の申し出を断ると、洞窟の入口へと歩き始める。
外に出ると、深くしわの刻まれた顔を月明かりが照らした。
青白い光が浮かび上がらせるクレシュの顔が、ニヤリと歪む。
「行くか」
「はい」
「案内は任せたぞ。エレネ」
影――エレネが大きく翼を広げるのだった。
※ ※ ※ ※
さらに所は変わって、ガルガームの住んでいた竜の巣。
ミオンが回収しなかったガルガームの死体に、静かに近づく男がいた。
手に持った剣の刃が月明かりに照らされて光る。
男は迷わず、剣をガルガームの喉元へと突き刺した。
「……」
男が何かを唱える。
数秒後、突き刺さった剣が眩い光を放った。
そして光が収まると、ゆっくりガルガームが目を開ける。
ミオンが確かに倒したガルガームが、完全に……復活した。
「う……ぐ……」
「手ひどくやられたな、ガルガーム」
ガルガームは男の姿を見ると、驚いて体を硬直させた。
「あなたは……いえ、あなた様は……っ!」
「“機功の竜”。お前にやってほしいことがある」
「何なりと」
男はガルガームの背中にまたがると、指示を出した。
「飛べ。詳しい話は移動しながらする」
「かしこまりました」
謎の男を乗せた竜が、夜の暗闇へと飛び去って行った。
城壁の外。
老人の話を聞いたニナとネロは、同時に首を傾げた。
私はアイテムボックスから買ったものを取り出し、2人に見せる。
「こっちは地力石だな。そう珍しいものじゃない。それで……このオブジェは何だ?」
「穴が開いてます。地力石をここにはめるんですか?」
「そうみたいだよ。物は試しというからやってみようか」
私は右手でニナの肩に、左手でネロの肩に触れた。
「やってみるって何を……」
「【収納】」
「「ああああ……」」
2人を、オグリギャップとハニーブライアンと馬車を、そして荷物を全てアイテムボックスに収納すると、私は青色の地力石を転移装置にはめた。
そしてその頭部を掴み、老人がやっていたのと同じように呟く。
「【転移】」
刹那、耳元にざわざわと風のような音がした。
そして一気に目の前が真っ白になる。
次の瞬間、私は村の入口に立っていた。
「すごぉ……」
改めて自分で体感してみると、すごさもひとしおだ。
画期的な移動手段を手に入れてしまった。
王都の地力石もつけてくれておかげで、オークションのお金を取りに行くときもわざわざ日数を掛けなくて済む。
「【解放】」
アイテムボックスの外に出してあげると、2人はしばらく呆然としていた。
そして同時に我に返って叫ぶ。
「これは一体どういうことですか!?」
「これは一体どういうことなんだ!?」
「ふっふっふ~。実はね……」
私は自分が開発したわけでもないのに、自慢げに転移装置について話す。
全てを聞き終えたあと、ネロが真剣な顔で言った。
「その老人、どんな見た目だった?」
「うんとね、歳はミョン爺と同じくらいで特徴らしい特徴はなかったよ。普通のお爺ちゃんって感じ。でも力はすごかったな。紫の布に広げてた商品を、ちっちゃな体で背負って歩いてっちゃったんだから」
ニナとネロが顔を見合わせて言う。
「「クレシュさんだ……」」
クレシュさん……。
それがあの老人の名前なんだろうか。
確かに向こうはニナのことを知っていたし、2人が老人のことを知っていてもおかしくはない。
「クレシュさんっていうのは?」
私が尋ねると、ネロが教えてくれた。
「クレシュさんは稀代の天才発明家、天才道具師にしてミョン爺の弟さんだよ。最後に村に来たのは、ニナがまだ赤ちゃんの頃だな」
「私は直接の記憶はないんですけど、ミョン爺やお母さんから話を聞いたことがあるんです」
「それでニナのことも知ってたんだね」
「あの人はどこに定住するわけでもなく、色んなところを回っているらしい。目撃情報は何度か耳にしてたけど、まさか同じタイミングで王都にいたとはな」
稀代の天才クレシュか。
確かに1から転移装置を作ったというのは、すさまじい才能だ。
彼も「また会える気がする」と言っていたし、いつかもう一度会ってみたいな。
※ ※ ※ ※
王都から少し離れた洞窟の中。
焚き火の前に老人が1人。
稀代の天才クレシュだ。
「来たか」
洞窟の中に1つの影が入ってきて、クレシュの前に立つ。
そして頭を下げた。
「分かっていらしたのですか? 私が来ることを」
「当然だな」
「それはそれは……。お待たせしました。お迎えに上がりました」
「それで今回は何の用だ」
「詳しいことは直接お聞きになってください。私は迎えの者に過ぎませんので」
「そうか」
ゆっくりと立ち上がると、クレシュは荷物を荷物を持ち火を消した。
「お持ちします」
「いや、これは自分で持たせてもらう」
影の申し出を断ると、洞窟の入口へと歩き始める。
外に出ると、深くしわの刻まれた顔を月明かりが照らした。
青白い光が浮かび上がらせるクレシュの顔が、ニヤリと歪む。
「行くか」
「はい」
「案内は任せたぞ。エレネ」
影――エレネが大きく翼を広げるのだった。
※ ※ ※ ※
さらに所は変わって、ガルガームの住んでいた竜の巣。
ミオンが回収しなかったガルガームの死体に、静かに近づく男がいた。
手に持った剣の刃が月明かりに照らされて光る。
男は迷わず、剣をガルガームの喉元へと突き刺した。
「……」
男が何かを唱える。
数秒後、突き刺さった剣が眩い光を放った。
そして光が収まると、ゆっくりガルガームが目を開ける。
ミオンが確かに倒したガルガームが、完全に……復活した。
「う……ぐ……」
「手ひどくやられたな、ガルガーム」
ガルガームは男の姿を見ると、驚いて体を硬直させた。
「あなたは……いえ、あなた様は……っ!」
「“機功の竜”。お前にやってほしいことがある」
「何なりと」
男はガルガームの背中にまたがると、指示を出した。
「飛べ。詳しい話は移動しながらする」
「かしこまりました」
謎の男を乗せた竜が、夜の暗闇へと飛び去って行った。
12
あなたにおすすめの小説
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
神託が下りまして、今日から神の愛し子です! 最強チート承りました。では、我慢はいたしません!
しののめ あき
ファンタジー
旧題:最強チート承りました。では、我慢はいたしません!
神託が下りまして、今日から神の愛し子です!〜最強チート承りました!では、我慢はいたしません!〜
と、いうタイトルで12月8日にアルファポリス様より書籍発売されます!
3万字程の加筆と修正をさせて頂いております。
ぜひ、読んで頂ければ嬉しいです!
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
非常に申し訳ない…
と、言ったのは、立派な白髭の仙人みたいな人だろうか?
色々手違いがあって…
と、目を逸らしたのは、そちらのピンク色の髪の女の人だっけ?
代わりにといってはなんだけど…
と、眉を下げながら申し訳なさそうな顔をしたのは、手前の黒髪イケメン?
私の周りをぐるっと8人に囲まれて、謝罪を受けている事は分かった。
なんの謝罪だっけ?
そして、最後に言われた言葉
どうか、幸せになって(くれ)
んん?
弩級最強チート公爵令嬢が爆誕致します。
※同タイトルの掲載不可との事で、1.2.番外編をまとめる作業をします
完了後、更新開始致しますのでよろしくお願いします
転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう! 公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ
幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
アルファポリス様より書籍化!
転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。
どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。
- カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました!
- アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました!
- この話はフィクションです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
「お前の戦い方は地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん、その正体は大陸を震撼させた伝説の暗殺者。
夏見ナイ
ファンタジー
「地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん冒険者アラン(40)。彼はこれを機に、血塗られた過去を捨てて辺境の村で静かに暮らすことを決意する。その正体は、10年前に姿を消した伝説の暗殺者“神の影”。
もう戦いはこりごりなのだが、体に染みついた暗殺術が無意識に発動。気配だけでチンピラを黙らせ、小石で魔物を一撃で仕留める姿が「神業」だと勘違いされ、噂が噂を呼ぶ。
純粋な少女には師匠と慕われ、元騎士には神と崇められ、挙句の果てには王女や諸国の密偵まで押しかけてくる始末。本人は畑仕事に精を出したいだけなのに、彼の周りでは勝手に伝説が更新されていく!
最強の元暗殺者による、勘違いスローライフファンタジー、開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる