アイテムボックスを極めた廃ゲーマー、異世界に転生して無双する。

メルメア

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第2章 金の成る魚編

SOS団

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「おおおおお!!!」

 改装が完了した店舗の外観を見て、私は歓声を上げる。
 一緒に来たニナも目を輝かせた。
 私が描いたイメージ通りの店が完成している。
 石畳の都に突如現れた、大漁旗のある海鮮料理店。
 何のギャグ漫画だよと思うけど、注目を集められることは間違いなしだ。

「さあさあ、中も見てください」

 ピノに促され、建物の中に入る。
 壁紙などの内装も大幅に改装したため、最初にピノが出してくれた見積もりをオーバーしてしまった。
 でも納得のいく店舗になったからオッケーだ。

「こちらが調理場になります。調理器具などは、ミオンさん自身で搬入していただくということで良かったですよね?」

「うん。もう準備はしてあるよ」

 何せ必要なものは全て買って、すでにアイテムボックスへ入れてある。
 あとは取り出して、所定の位置に置いていくだけだ。

「うんうん。使いやすそうな調理場だね……ん? これは?」

 注文した覚えのない縦長で箱型のものが置かれている。
 高さとしては、私の身長より少し高いくらいだ。
 開けてみると、ひんやり冷気が伝わってきた。
 これってまさか……

「冷蔵庫!?」

 まさか異世界に冷蔵庫!?
 はっきり言ってありがたすぎる。
 私のアイテムボックスは、保存こそできても冷却は出来ない。
 だから氷を使った地道な方法で冷やすしかないと思っていた。
 だけどこの冷蔵庫があれば、その手間を省くことができる。

「冷蔵庫、という名前なんですね」

「という名前なんですねって……商業ギルドからのプレゼントじゃないの?」

「違いますよ。先日、急に商業ギルドへ届いたんです。ミオンさんが必要とするだろうから、プレゼントしてほしいと。送り主はクレシュさんでした」

「クレシュさんが……」

 頭の中に力持ちお爺さんの姿が浮かぶ。
 確かに転移装置を作るあの人なら、冷却装置、いわゆる冷蔵庫を作れてもおかしくない。
 でもなんで、私が店をやることや冷蔵庫が必要なことを知っていたんだろう。
 つくづく不思議な人だ。
 天才の頭の中というのは分からないもんだね。

「実際にオープンするのは明後日からですよね」

「うん。精一杯頑張るよ」

 お店をやるのに必要な魚は、当然のことながら正規のお金を払って村から買うことになった。
 さらに私だけでは手が回らないので、ニナとフェンリア、その他にも複数の村人が店員として働いてくれることになっている。
 快く応援、協力してくれる村のみんなには頭が上がらないね。

「この見た目ですから、工事中から王都内でかなり話題になっていますよ。認知されているのは確かです。あとはお客さんを店に入れることができるかですね」

 ピノにアドバイスをもらいながら、チラシを作って配ったり、店の前に開店予告の看板を建てたりした。
 その甲斐あってか、私が工事の様子を確認しにやってくると、足を止めて何ができるんだと様子をうかがっている人も見かけた。
 ただ王都の中では奇抜な見た目なので、入るのには勇気が必要だ。
 もう一段階、お客さんを中に引き込める仕掛けが必要になる。

「そこはちょっと考えがあるんだ」

「どんな考えです?」

「ピノはSOS団って知ってる?」

「えすおーえすだん? 知らないですね」

 まあ、知らないでしょうね。
 逆に「知ってますよ! テッテレッテーテッテレッテッテーテー!」とか踊り出されたら笑っちゃうよ。魔法以上のユカイだよ。

 冗談はともかく、私が考えた集客作戦はその名も「SOS団作戦」だ。
 もちろん、世界を大いに盛り上げるためのうんぬんかんぬんではない。
 新店舗を大いに盛り上げるためのサクラの団(Shintenpowo Oinimoriagerutameno Sakurano Dan)だ。
 早い話が村のみんなをサクラにして店舗に入ってもらい、繁盛しているように見せて王都の人たちにも来店してもらおうというわけ。
 何も大それたことはない、常套手段中の常套手段だ。

「なるほど、サクラ作戦ですか。良いと思いますよ」

「店に来てくれさえすれば、リピートさせる自信はあるからね」

 何品かピノとサイマスにも試食してもらったけど、軒並み好評だった。
 もう一度来たいと思ってもらえる食事を提供できる自信がある以上、本当に集客が勝負だ。
 開店は明後日。私は今一度、気合を入れ直すのだった。
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