不遇幼女テイマーに召喚された古竜、未開の秘境で幼女のパパになる。

メルメア

文字の大きさ
9 / 19

第9話 謎だらけ

しおりを挟む
「昔のこの森の組織図的には、俺たちみたいな小王に加えて、森の賢者ってのがいたらしいっす。その賢者が、うさぎの一族だったって話があるっす」
「モフリンの祖先が賢者だったということか?」
「そうっす。その当時はうさぎの賢者も、俺たちみたいに他の種族と言葉で意思疎通が交わせたらしいっすよ」

 俺はエリンと仲良くフルーツを食べているモフリンを、ちらりと横目で見つめる。
 確かにモフリンの知能が非常に高いことは、これまでのことで実証済みだ。
 猛毒のフルーツから救ってくれたし、俺たちが話すことも非常に高いレベルで理解している。
 でもモフリンが、俺らと言葉で会話したことはない。
 聞いたことがあるのは、きゅう~という鳴き声だけだ。

「“その当時は”ってことは、モフリンは今は喋れないんだよな?」
「そうっす。これまでにもいくつか、うさぎの賢者が書いた書物は見つかってるんすけど、年代的には今お見せしたのが最後のものになってるっす。だからきっと、この予言が記されたのと同時期に、うさぎたちは言葉を失ったと考えられるっす」
「ふむ。いろいろと謎の多い話だな。その当時に関するほかの資料は残ってないのか?」
「あいにく……」

 小王たちの言う“はるか昔”というのが、どれくらい昔のことなのかすら分からない。
 俺が眠っていた2000年の間のことなのか、それともそれよりもっともっと前のことなのか。
 謎は深まるばかりだな。

「私たちとしましては……」

 スネクが予言の書に視線を向けながら口を開く。

「ギル様がプリンセス・エリンを連れてここにいらっしゃったということは、ここに記されている危機が、そう遠くないところまでやってきていると考えて間違いないと思っておりますわ」
「その危機というのは、今この森が瀕しているという人間による強引な開拓のことを言うのか?」
「その可能性がないとは申し上げられません。ですが、予言には“竜の王が……自らの因縁に立ち向かう”とありますのよ。ギル様、人間とは何か因縁がおありですの?」

 因縁……因縁か。
 もしそんなものがあるとすれば、2000年前に遡った時のことになるだろう。
 でも残念ながら、俺にその当時の記憶はない。

「悪いが、俺に今のところ心当たりはないな。もしかしたら、そのうち思い出すかもしれないが」
「なるほど。これはあくまでも私個人の考えではございますが、予言の“危機”はもう少しスケールの大きなもののような気がしてならないのですわ」
「ふむ……。だがいかんせん、情報が少なすぎるな」
「そうなんです」

 一段落と言ってよいのかは分からないが、ひとまず会話の流れが途切れる。
 分かったことといえば、この森は通常とは違う明らかに特別な土地であること。
 それを強引に人間族が開拓しようとしていること。
 そしてどういうわけか、古い予言に俺とエリンらしき存在のことが記されていたこと。
 そしてこの森に、この先何かしらの危機が訪れる可能性があることだ。

「パパ……?」

 やや重たげな空気を察したのか、エリンが不安そうな顔でこちらを見つめる。
 俺はそっとその頭を撫でて言った。

「大丈夫だ。何があっても、俺はエリンを守ると約束している」
「うん。そうだよね」

 ひとまず、得体のしれない危機にびくびく過ごしても仕方がない。
 親バカかもしれないけど、エリンが安心して楽しく元気に暮らせることの方が大事だ。
 もちろん、彼女を守るためにも情報を集める必要はあるんだけど。

「そうだ。あれにも食事を与えなければいけないんじゃないか?」

 レオが、はたと何かを思い出したように言った。

「“あれ”……とは?」
「ああ、失礼。実は、この森にやってきた人間を1名捕えているのです。もちろん、手荒に扱ったりはしていませんが……。この問題を解決する何かしらの鍵にならないかと、いろいろ探っているところです」
「なるほどな。その人間とは、どんな奴なんだ?」
「自分の職業は冒険者だと言っていました。名前はグロウというそうです」
「えっ……!?」

 冒険者の名前を聞いて、エリンが驚きの声を上げた。

「わたし、その人知ってる!」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

転生ちびっ子の魔物研究所〜ほのぼの家族に溢れんばかりの愛情を受けスローライフを送っていたら規格外の子どもに育っていました〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
高校生の涼太は交通事故で死んでしまったところを優しい神様達に助けられて、異世界に転生させて貰える事になった。 辺境伯家の末っ子のアクシアに転生した彼は色々な人に愛されながら、そこに住む色々な魔物や植物に興味を抱き、研究する気ままな生活を送る事になる。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

外れスキル持ちの天才錬金術師 神獣に気に入られたのでレア素材探しの旅に出かけます

蒼井美紗
ファンタジー
旧題:外れスキルだと思っていた素材変質は、レア素材を量産させる神スキルでした〜錬金術師の俺、幻の治癒薬を作り出します〜 誰もが二十歳までにスキルを発現する世界で、エリクが手に入れたのは「素材変質」というスキルだった。 スキル一覧にも載っていないレアスキルに喜んだのも束の間、それはどんな素材も劣化させてしまう外れスキルだと気づく。 そのスキルによって働いていた錬金工房をクビになり、生活費を稼ぐために仕方なく冒険者になったエリクは、街の外で採取前の素材に触れたことでスキルの真価に気づいた。 「素材変質スキル」とは、採取前の素材に触れると、その素材をより良いものに変化させるというものだったのだ。 スキルの真の力に気づいたエリクは、その力によって激レア素材も手に入れられるようになり、冒険者として、さらに錬金術師としても頭角を表していく。 また、エリクのスキルを気に入った存在が仲間になり――。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

出来損ないと追放された俺、神様から貰った『絶対農域』スキルで農業始めたら、奇跡の作物が育ちすぎて聖女様や女騎士、王族まで押しかけてきた

黒崎隼人
ファンタジー
★☆★完結保証★☆☆ 毎日朝7時更新! 「お前のような魔力無しの出来損ないは、もはや我が家の者ではない!」 過労死した俺が転生したのは、魔力が全ての貴族社会で『出来損ない』と蔑まれる三男、カイ。実家から追放され、与えられたのは魔物も寄り付かない不毛の荒れ地だった。 絶望の淵で手にしたのは、神様からの贈り物『絶対農域(ゴッド・フィールド)』というチートスキル! どんな作物も一瞬で育ち、その実は奇跡の効果を発揮する!? 伝説のもふもふ聖獣を相棒に、気ままな農業スローライフを始めようとしただけなのに…「このトマト、聖水以上の治癒効果が!?」「彼の作る小麦を食べたらレベルが上がった!」なんて噂が広まって、聖女様や女騎士、果ては王族までが俺の畑に押しかけてきて――!? 追放した実家が手のひらを返してきても、もう遅い! 最強農業スキルで辺境から世界を救う!? 爽快成り上がりファンタジー、ここに開幕!

処理中です...