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第21話 帰還と過去と“たいせつ”
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「かえってきた!」
村に戻ると、リルとミルが入口のところで待ち構えていた。
帰還した俺たちを見つけると、一目散に駆け寄ってくる。
「だいじょーぶでしたか!? けがしてませんか!?」
「大丈夫だよ。上手くいった。ぬいぐるみたちのおかげでね」
「ぬいぐるみ、だせるのケントだけ。だからケントも、すごい」
「ありがとな。でも本当、ぬいぐるみにもリルとミルにも救われたよ」
「わたしたちに……ですか?」
「なんで? なにもしてない」
きょとんとする2人の頭を撫でて、俺はふふっと笑う。
そして話題を変えた。
「このぬいぐるみたち、本当に良く頑張ってくれたんだ。お腹が空いてると思うし、ちょっと傷ができちゃった子もいるみたい。縫うのはまた、ミルにお願いしてもいいか?」
「もちろんまかせて! ケントとぬいぐるみさんたちのごはん、むらのみんながよういしてまってるよ!」
「それはありがたいな」
ぬいぐるみ軍団を連れて、村の中を歩いて行く。
みんなが成功を喜んで、褒めてくれた。
素直に嬉しいもんだ。
「ん?」
不意に、足に何かまとわりつくような感覚がした。
足元を見てみると、灰色のぬいぐるみが俺の足に頬ずりしている。
「グレイ~」
俺は最初に自分のために出したぬいぐるみを、そっと抱え上げて顔の前に持ってきた。
相変わらずの軽さ。
そしてふわふわもふもふの毛並みと、ふかふかした抱き心地。
はぁ~、癒される。
もちろんクマゴローとかも感触はすごく良いんだけど、グレイはこのサイズ感とザ・ネコっていう見た目があるからな。
また一味違ったかわいさと癒し効果があるのだ。
「にゃ~」
「構ってやれなくて悪かったな」
「にゃ~」
やっぱり、のんびり暮らすのにネコかイヌは必須だよな。
そして俺は圧倒的ネコ派だ。
「みんな~、きずをぬってあげるから、こっちにおいで~!」
ミルに呼び寄せられ、猛獣ぬいぐるみたちは彼女の方に向かって行く。
入れ替わりに、村長とシェグさんがやってきた。
グレイを抱っこした俺に、2人して右手を差し出す。
俺はその手を順番にとって、がっちり握手を交わした。
「心から感謝する。おぬしのおかげで、みんなこれまで以上に安心して暮らせる」
「ケントくん、ありがとう。この恩は必ず返そう」
「恩だなんてとんでもない。俺だって、みんなのおかげで生きて帰って来れたんですから」
「ほほう。どういう意味じゃ?」
「うーん……。俺、1回自分のことを見捨ててるんです。別に自分が死んだって、誰も悲しまないからどうだっていいって」
「ふむ」
「今回、実は結構なピンチになったんですけど。でもその時に、リルとかミルとかあとみんなの顔が浮かんで。もちろん村長さんとかシェグさんの顔も浮かんで。もしかしたら、みんなは俺が死んだら悲しむかもしれないって。思い上がりっていうか考えすぎかもしれないけど、でもそうなら死ぬわけにはいかないって思えて」
「ふぁっふぁっふぁ。それは決して、思い上がりなんかじゃないわい」
「うん。そうだよ、ケントくん」
村長もシェグさんも、とっても温かくて優しい微笑みを浮かべている。
見ているこちらの心も温かくなってくるような、そんな笑顔だ。
「確かに過ごした時間は短いかもしれんがの。リルにしたって、ミルにしたって、おぬしからいろんな話を聞いたり、一緒に働いたりして心を通わせておる。おぬしのことが大好きになっておる。そしてもちろん、それはわしらも一緒じゃ」
「うん。村長の言う通りだよ。だからケントくん、卑屈にならなくていい。過去に何があったかは分からないけど、ここでは胸を張っていなさい。君は優しくて、行動力のある人だから」
「ありがとうございます……っ」
村長とシェグさんの言葉に、心の中にあった何かが溶けだしていく気がする。
あの時の、リンナと話していた時の俺は強がっていた。
自分のことを大切に思ってくれる人がいないことが悔しかったから。
だから自分が死んでも誰も悲しまないしどうでもいいなんて、強がっていた。
でも誰かを大切に思うのは、自分も大切にされたいから。
あの時ぬいぐるみを落とした女の子を助けたのは、いつか自分のことも誰かに助けてほしかったから。
俺は優しいんじゃない。
ただ自分のことを助けてほしい。
そう願っていただけなんだ。
「そうだよ、ケント」
いつの間にか、隣にはリルが立っていた。
俺の顔をまっすぐに見つめ、眠たげな目で、でも確かに微笑んで言う。
「わたしにとって、ケントは“たいせつ”なじょしゅで、“たいせつ”な……なかま」
たいせつ。
俺が一番、欲しかった言葉。
おかしいな、腕の中のグレイも、見つめるリルの顔もぼやけて霞んで見える。
「ケント。あらためて、わたしたちのむらへようこそ」
ぽたりと落ちたしずくが、グレイのもふもふな毛並みに吸い込まれていった。
村に戻ると、リルとミルが入口のところで待ち構えていた。
帰還した俺たちを見つけると、一目散に駆け寄ってくる。
「だいじょーぶでしたか!? けがしてませんか!?」
「大丈夫だよ。上手くいった。ぬいぐるみたちのおかげでね」
「ぬいぐるみ、だせるのケントだけ。だからケントも、すごい」
「ありがとな。でも本当、ぬいぐるみにもリルとミルにも救われたよ」
「わたしたちに……ですか?」
「なんで? なにもしてない」
きょとんとする2人の頭を撫でて、俺はふふっと笑う。
そして話題を変えた。
「このぬいぐるみたち、本当に良く頑張ってくれたんだ。お腹が空いてると思うし、ちょっと傷ができちゃった子もいるみたい。縫うのはまた、ミルにお願いしてもいいか?」
「もちろんまかせて! ケントとぬいぐるみさんたちのごはん、むらのみんながよういしてまってるよ!」
「それはありがたいな」
ぬいぐるみ軍団を連れて、村の中を歩いて行く。
みんなが成功を喜んで、褒めてくれた。
素直に嬉しいもんだ。
「ん?」
不意に、足に何かまとわりつくような感覚がした。
足元を見てみると、灰色のぬいぐるみが俺の足に頬ずりしている。
「グレイ~」
俺は最初に自分のために出したぬいぐるみを、そっと抱え上げて顔の前に持ってきた。
相変わらずの軽さ。
そしてふわふわもふもふの毛並みと、ふかふかした抱き心地。
はぁ~、癒される。
もちろんクマゴローとかも感触はすごく良いんだけど、グレイはこのサイズ感とザ・ネコっていう見た目があるからな。
また一味違ったかわいさと癒し効果があるのだ。
「にゃ~」
「構ってやれなくて悪かったな」
「にゃ~」
やっぱり、のんびり暮らすのにネコかイヌは必須だよな。
そして俺は圧倒的ネコ派だ。
「みんな~、きずをぬってあげるから、こっちにおいで~!」
ミルに呼び寄せられ、猛獣ぬいぐるみたちは彼女の方に向かって行く。
入れ替わりに、村長とシェグさんがやってきた。
グレイを抱っこした俺に、2人して右手を差し出す。
俺はその手を順番にとって、がっちり握手を交わした。
「心から感謝する。おぬしのおかげで、みんなこれまで以上に安心して暮らせる」
「ケントくん、ありがとう。この恩は必ず返そう」
「恩だなんてとんでもない。俺だって、みんなのおかげで生きて帰って来れたんですから」
「ほほう。どういう意味じゃ?」
「うーん……。俺、1回自分のことを見捨ててるんです。別に自分が死んだって、誰も悲しまないからどうだっていいって」
「ふむ」
「今回、実は結構なピンチになったんですけど。でもその時に、リルとかミルとかあとみんなの顔が浮かんで。もちろん村長さんとかシェグさんの顔も浮かんで。もしかしたら、みんなは俺が死んだら悲しむかもしれないって。思い上がりっていうか考えすぎかもしれないけど、でもそうなら死ぬわけにはいかないって思えて」
「ふぁっふぁっふぁ。それは決して、思い上がりなんかじゃないわい」
「うん。そうだよ、ケントくん」
村長もシェグさんも、とっても温かくて優しい微笑みを浮かべている。
見ているこちらの心も温かくなってくるような、そんな笑顔だ。
「確かに過ごした時間は短いかもしれんがの。リルにしたって、ミルにしたって、おぬしからいろんな話を聞いたり、一緒に働いたりして心を通わせておる。おぬしのことが大好きになっておる。そしてもちろん、それはわしらも一緒じゃ」
「うん。村長の言う通りだよ。だからケントくん、卑屈にならなくていい。過去に何があったかは分からないけど、ここでは胸を張っていなさい。君は優しくて、行動力のある人だから」
「ありがとうございます……っ」
村長とシェグさんの言葉に、心の中にあった何かが溶けだしていく気がする。
あの時の、リンナと話していた時の俺は強がっていた。
自分のことを大切に思ってくれる人がいないことが悔しかったから。
だから自分が死んでも誰も悲しまないしどうでもいいなんて、強がっていた。
でも誰かを大切に思うのは、自分も大切にされたいから。
あの時ぬいぐるみを落とした女の子を助けたのは、いつか自分のことも誰かに助けてほしかったから。
俺は優しいんじゃない。
ただ自分のことを助けてほしい。
そう願っていただけなんだ。
「そうだよ、ケント」
いつの間にか、隣にはリルが立っていた。
俺の顔をまっすぐに見つめ、眠たげな目で、でも確かに微笑んで言う。
「わたしにとって、ケントは“たいせつ”なじょしゅで、“たいせつ”な……なかま」
たいせつ。
俺が一番、欲しかった言葉。
おかしいな、腕の中のグレイも、見つめるリルの顔もぼやけて霞んで見える。
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