転生スキル【ぬいぐるみテイム】でふかふかもふもふエルフの森スローライフ!~双子幼女エルフと動くふかふかぬいぐるみとのんびり暮らす~

メルメア

文字の大きさ
20 / 35

第20話 「こんなところで」と蹂躙と終戦

しおりを挟む
 終わった……。
 そんな思いが頭をよぎる。
 飛び掛かってくるモンスターの動きが、やけにスローモーションに見えた。
 かといって、こっちが素早く動けるわけでもない。
 まあ、2度目の人生なんて奇跡的に拾ったようなもんだしな。
 ここで死んだところで損したことにはならな……

 ――いやいや、何を言ってんだよ俺。

 俺は心の中で、自分のことをぶん殴った。
 リンナに言われただろ、卑屈になるなって。
 それに今もし俺が死んだら、リルとミルはどう思う?
 村長は?
 シェグさんは?
 ハンターたちは?
 そして村のみんなは?

 きっと責任を感じる。
 そしてきっと、悲しむ。
 前とは違う。
 俺が死んで、悲しむ人がいる。

 ――俺が死んだらミルのけなげな笑顔が消え去る。

 ――俺が死んだらリルの研究を手伝える奴がいなくなる。

 ――俺が死んだら今ここで必死に戦ってるぬいぐるみたちも、村にいるぬいぐるみたちも消え去ってしまうかもしれない。



 ――こんなところで、死んでたまるか……!



「うりゃ!」

 俺はがむしゃらに、前方から飛び掛かってくるモンスターへ松明を突き出した。
 しかし無理な体勢から無理な動きをしたせいか、バランスを崩して転んでしまう。
 松明も当たらない。
 このままじゃ……

「がお~」
「ギャウウウ!」

 刹那、前方のモンスターが弾き飛ばされる。
 凄まじい力を生み出したのは、安心感のある丸い熊手。

「ウホッ!」
「ギャウウウ!」
「モォォ!」
「ギャウウウウウ!」
「ぱお~ん!」
「ギャウウウウウウウ!」

 コングの重いゴリラパンチが。
 ヤギュの強烈な突進が。
 エレファンの長い鞭のような鼻が。

 俺を囲んでいた残る3体のモンスターも吹き飛ばした。
 本当に間一髪。
 あの状況から、俺は奇跡的に傷をひとつも負わずに立ち上がる。

「お前ら……」

 思わずこのふかふかな猛獣たちに、抱きついてしまいたい気持ちになる。
 でも彼らはさっさと、新たにモンスターを吹き飛ばしに向かった。
 まったく頼もしいったらありやしない。
 俺に出来るのは、少しでも彼らが楽に戦えるようにしてあげることだ。

「燃えろ」

 俺は3輪の“エルフ殺し”を地面に置き、松明の火を近づける。
 炎が燃え移り、パチパチと音を立て始めた。
 1分も経たないうちに、あれだけエルフのハンターたちを苦しめた白い花は、真っ白な灰となった。

「ガウウウ……」

 心なしか、モンスターたちがトーンダウンしたように見える。
 村長の仮説は完璧なまでに正しかったらしい。
 俺は煌々と燃える松明を高く掲げ、ぬいぐるみたちを鼓舞した。

「もうモンスターたちはお前たちの敵じゃないぞ! 一気に終わらせよう!」

 猛獣ぬいぐるみ軍団は、一斉に鳴き声で応えて蹂躙を開始する。
 モンスター約30体 vs ぬいぐるみ10体。
 およそ3倍の数的差があろうと、それを補って余りある圧倒的な個の力がこちらにはある。
 地球の陸上でそれぞれがテリトリーの王となり、ひょっとしたら縄張りを巡って争うこともあったかもしれない猛獣たちが、手を組んで戦っているのだ。
 それに多分、このぬいぐるみたちはリアルな動物よりも能力が強化されている。
 パワーにしろ、素早さにしろ、フィエンデルカンミラによる強化効果を失ったモンスターたちとはレベル違いだった。
 というか、モンスターたちは明らかに遅くなっている。
 ミルと一緒にいて襲われた時も、ハンターたちといて襲われた時も、やけにスピードがえげつなく感じたのは、フィエンデルカンミラのバフがあったからなのだろう。

「がお~!」
「ギャウウウ!」

 最後の1体が、クマゴローの強烈な往復ビンタによって仕留められる。
 ぬいぐるみたちは、戦いの終結を確認すると俺の足元に集まった。
 俺は1頭1頭と目を合わせてから、最大限のねぎらいを込めてほほ笑む。

「よくやったな。それと、ありがとう」

 彼らがいなかったら、俺はここで死んでいた。
 戦いの前には信じているといっておきながら、誰よりも俺が諦めていた。
 それを助けてくれたぬいぐるみたち。
 そして「こんなところで終われるか」という気持ちにさせてくれた、リルにミル、村のみんな。
 まったく、感謝してもしきれないな。
 まさか俺がこんな気持ちになる時が来るとは。
 どうにもリンナの「成長しましたね」みたいなドヤ顔が浮かんで、何ともむかつくけども。

「さあ、帰ろうか」

 戦いは終わりだ。
 正直、こんだけ緊張にさらされるのは当分ごめんこうむりたい。
 楽しい仕事と美味しい食事のスローライフに戻ろう。
 次なる仕事は……牧場だな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界カフェ食堂で皿洗いをしますと思ったら日本料理を創造する力が与えられていた!(もふもふ聖獣猫のモフにゃーと楽しく日本料理を創造します)

なかじまあゆこ
ファンタジー
可愛いもふもふ達とアリナは異世界でスローライフをします。 異世界召喚された安莉奈は幼女の姿になっていた。神様に与えられた能力を使い眷属聖獣猫モフにゃーや魔獣のライオン魔獣鳥に魔獣の日焼けとお料理を創造します! 熊元安莉奈(くまもとありな)は黄色のバスに乗せられ異世界召喚された。 そして、なぜだか幼女の姿になっていた。しかも、日本の地球人だったことを忘れていたのだ。 優しいモリーナ夫妻に養子として引き取れた安莉奈はアリナになった。 モリーナ夫妻はカフェ食堂を経営していたが繁盛しておらず貧乏だった。料理が出来ないアリナはお皿洗いなどのお手伝いを小さな体ながらしていたのだけど。 神様から日本料理を創造する力が与えられていた! その力を使うと。 地球では辛い生活を送っていた安莉奈が異世界ではアリナとしてお父さんに激愛され幸せに生きている。 エブリスタ、小説家になろうにも掲載しています。

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜

もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。 ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を! 目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。 スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。 何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。 やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。 「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ! ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。 ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。   2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!

転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流

犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。 しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。 遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。 彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。 転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。 そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。 人は、娯楽で癒されます。 動物や従魔たちには、何もありません。 私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

処理中です...