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第29話 ファンシーとメルヘンといよいよ
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ぬいぐるみハウスは、村の敷地から少し外れた場所にあるらしい。
といっても、ほぼほぼ隣接していて村の建物と言ってよいレベルみたいだが。
かなり大きな建物になるので、新しく柵で囲まれた村の中に建てるのは難しかったんだそうだ。
「実は、村の女性陣が塗装を手伝ってくれてね。もう乾いているとは思うんだけど、その……何というか……」
シェグさんたちは、何か気恥しそうに言い淀んでいる。
案内されたぬいぐるみハウスに着いてみれば、その理由は必然と分かった。
パステルカラーのピンクやライトブルー、グリーンなどがふんだんに使われ、それはそれはファンシーな仕上がりになっている。
確かにシェグさんたちがこれを塗り上げたといったら、究極のミスマッチだったな。
「どうにも、最初の僕たちのイメージとはかけ離れたデザインになっちゃったんだけどね……」
「いやいや、むしろ良いと思います。だってぬいぐるみの住む場所ですから。これくらいファンタジックでかわいらしい方が良いんじゃないですか?」
「それならいいんだけどね」
もちろん構造からして違うのだが、大きさだけでも普通の家の数倍はある。
中に入ってみると、ところどころに仕切りが設けられてはいるが、自由に行き来できるゆるっとした構造になっていた。
睡眠スペースの床にはふかふかの素材が敷き詰められ、すごく気持ちが良い。
十分に人間が住めるような、快適な施設だ。
もちろん、内装もメルヘンチックに装飾されていることは言うまでもない。
「もぉ~」
「コケッ」
「がお~」
「ウホッ」
「ひひ~ん」
一日のうちに現れたでっかい建造物に、ぬいぐるみたちが何事か何事かと入ってくる。
勢ぞろいすると、やっぱりそれなりの迫力があるんだよな。
でもひとつひとつを取ってみれば、子供が喜ぶようなぬいぐるみなわけで、すごくかわいいんだけども。
「きょうからここが、みんなの家だぞ。好きなところで寝ていいからな」
猛獣と草食動物を同じところに入れても、食われることはおろか争いすら起きない。
いざ本気になればすさまじい戦闘力を発揮するけれど、基本的にはみんなのんびりおっとりした平和な性格なんだよな。
「がお~」
「ウホッ」
ぬいぐるみたちは、それぞれ思い思いの場所でくつろぎはじめる。
まるで、どこかのテーマパークみたいな光景だな。
「グレイ、お前はどうする?」
「にゃ~」
グレイは俺の頭の上に陣取ったまま、そこを動こうとしない。
夜が冷える時の湯たんぽ代わりになっていたし、こいつは今まで通り一緒にベッドで寝るとするか。
リルとミルの頭にも、ずっとプヨタローとコジローが鎮座している。
彼らも動く気はなさそうだ。
「ありがとうございます。俺の家にしても、このぬいぐるみたちのハウスにしても……どちらも最高です」
「喜んでもらえて何よりだよ」
心からの感謝を伝えると、シェグさんたちは誇らしげに笑った。
これでようやく、牧場に必要なすべてのものがそろったわけだ。
新たにぬいぐるみを追加できるスペースも、このハウスには十分にある。
排せつ物が出ないから、衛生環境も容易に保つことができるし……
「はじめますかね」
やったりましょう。
異世界でのんびりぬいぐるみ牧場経営。
といっても、ほぼほぼ隣接していて村の建物と言ってよいレベルみたいだが。
かなり大きな建物になるので、新しく柵で囲まれた村の中に建てるのは難しかったんだそうだ。
「実は、村の女性陣が塗装を手伝ってくれてね。もう乾いているとは思うんだけど、その……何というか……」
シェグさんたちは、何か気恥しそうに言い淀んでいる。
案内されたぬいぐるみハウスに着いてみれば、その理由は必然と分かった。
パステルカラーのピンクやライトブルー、グリーンなどがふんだんに使われ、それはそれはファンシーな仕上がりになっている。
確かにシェグさんたちがこれを塗り上げたといったら、究極のミスマッチだったな。
「どうにも、最初の僕たちのイメージとはかけ離れたデザインになっちゃったんだけどね……」
「いやいや、むしろ良いと思います。だってぬいぐるみの住む場所ですから。これくらいファンタジックでかわいらしい方が良いんじゃないですか?」
「それならいいんだけどね」
もちろん構造からして違うのだが、大きさだけでも普通の家の数倍はある。
中に入ってみると、ところどころに仕切りが設けられてはいるが、自由に行き来できるゆるっとした構造になっていた。
睡眠スペースの床にはふかふかの素材が敷き詰められ、すごく気持ちが良い。
十分に人間が住めるような、快適な施設だ。
もちろん、内装もメルヘンチックに装飾されていることは言うまでもない。
「もぉ~」
「コケッ」
「がお~」
「ウホッ」
「ひひ~ん」
一日のうちに現れたでっかい建造物に、ぬいぐるみたちが何事か何事かと入ってくる。
勢ぞろいすると、やっぱりそれなりの迫力があるんだよな。
でもひとつひとつを取ってみれば、子供が喜ぶようなぬいぐるみなわけで、すごくかわいいんだけども。
「きょうからここが、みんなの家だぞ。好きなところで寝ていいからな」
猛獣と草食動物を同じところに入れても、食われることはおろか争いすら起きない。
いざ本気になればすさまじい戦闘力を発揮するけれど、基本的にはみんなのんびりおっとりした平和な性格なんだよな。
「がお~」
「ウホッ」
ぬいぐるみたちは、それぞれ思い思いの場所でくつろぎはじめる。
まるで、どこかのテーマパークみたいな光景だな。
「グレイ、お前はどうする?」
「にゃ~」
グレイは俺の頭の上に陣取ったまま、そこを動こうとしない。
夜が冷える時の湯たんぽ代わりになっていたし、こいつは今まで通り一緒にベッドで寝るとするか。
リルとミルの頭にも、ずっとプヨタローとコジローが鎮座している。
彼らも動く気はなさそうだ。
「ありがとうございます。俺の家にしても、このぬいぐるみたちのハウスにしても……どちらも最高です」
「喜んでもらえて何よりだよ」
心からの感謝を伝えると、シェグさんたちは誇らしげに笑った。
これでようやく、牧場に必要なすべてのものがそろったわけだ。
新たにぬいぐるみを追加できるスペースも、このハウスには十分にある。
排せつ物が出ないから、衛生環境も容易に保つことができるし……
「はじめますかね」
やったりましょう。
異世界でのんびりぬいぐるみ牧場経営。
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