27 / 62
★本編★
公爵家族との再会
しおりを挟む
「どうして僕を教会から連れ出したんですか?」
本をぱたんと閉じてルドルフを見た。
前生のことは聞けないが今の事は本人に直接聞いてみればいいと思い当たったからだ。
珍しく目を泳がせたルドルフは少し考えてから「なんとなく」と言った。
何となくで人生変えられたらたまったもんじゃないんですけど。
「馬で遠乗りに行った帰りだった。雨に降られたから教会で雨宿りしようと。そこでお前を見て気に入ったから連れて帰って来た」
どこの誰ともわからないのに?
「教会は嫌いじゃなかったんですか?」
その言葉を聞いてルドルフが目を見開く。しまった前生の記憶だ。
「何故知ってる」
「……みんな噂してましたから」
「誰にも言った事はない」
「そうでしたか?誰から聞いたんだったかな……」
「アリスお前……」
その時ドアがノックされアーロンが入って来た。
「失礼致します。公爵様ご夫妻がアリス様を訪ねてお見えです」
あの人達しつこいな。
「帰らせろ」
「陛下がアリス様に会うようにと仰ってますが」
「……陛下が?」
「はい。そして陛下が殿下をお呼びです」
ルドルフがチラリと僕を見た。確かにこのまま曖昧にしていても解決しない。
「会って話をして来ます。いいですよね?」
「……お前がいいなら」
「ありがとうございます」
僕はルドルフに一礼して応接室に向かった。
「まあ!アリス!こんなに痩せてどういう事なの!大事な息子なのに!」
「……お養母様ご機嫌麗しく……」
「他人行儀な挨拶はやめて!さあこちらにいらっしゃい」
他人行儀って。あなたとは他人ですけどなにこの態度の変わりよう。それより公爵夫妻と聞いたはずなのにエレノアとバクロまでいるのはどうして?しかも物凄い仏頂面で笑える。どうせならリカルドに会いたかったよ。
「ところで殿下との婚約式はいつなんだ?」
「婚約式??」
「殿下がお前を正式に皇太子妃にすると言われた。ゆくゆくはこの国を守る国母、皇后にすると」
……確かに前生ではそうだったけど。まだ子供の僕に対して勝手に事を進めないで欲しい。
「父上、僕にはまだ早いと思います。父上から殿下にそう言って頂けませんか」
「いやしかし時間を置いているうちに殿下のお気持ちが変わったらどうするつもりだ」
「……」
出来れば変わって欲しいし二度と会いたくはない。でも再びルルテラと会う為にはルドルフが必要だ。
「な?それは惜しいだろう?とにかく殿下の気持ちを何としてでも繋ぎ止めるんだ。結婚には早くても婚約式さえすれば何とかなる。分かったか?」
「そうよ。貴方さえいればうちは安泰なの。皇室と縁続きになるしエレノアにもいい縁談がたくさん来るわ」
僕の沈黙を勘違いした公爵夫妻は高圧的な態度を見せた。また以前の如くいいように僕を操り利益を得るつもりだろう。
「今は無理です」
「アリス!なんて事言うの!ほらバクロにエレノア!あなた達もアリスを励まして。私たちがついてるから大丈夫だって」
「……アリスが妃殿下になればまた新しいドレスを着てうちで舞踏会を開ける?」
「なにを言ってるの!今そんな場合じゃないでしょ!」
甲高い声が広い応接室に響く。何だろうこの滑稽なやり取りは。僕は思わず笑ってしまった。
何もかも馬鹿馬鹿しい。何がドレスだ。そんな贅沢に意味があるのか。
「何がおかしいのよ!アリス!」
馬鹿にされていると思ったのかエレノアがカッとして僕を怒鳴る。
「おかしいでしよ。僕を殺そうとした人が虫みたいに僕にたかって甘い汁を吸おうなんて」
「アリス?!」
僕の暴言に家族中が驚きと非難の声を上げた。
「殿下と話します。そして必要なら婚約式もします。でも僕が戻るのは公爵邸じゃない。教会です」
「どう言う事だ?」
「あなた達とは縁を切ると言う事です」
本をぱたんと閉じてルドルフを見た。
前生のことは聞けないが今の事は本人に直接聞いてみればいいと思い当たったからだ。
珍しく目を泳がせたルドルフは少し考えてから「なんとなく」と言った。
何となくで人生変えられたらたまったもんじゃないんですけど。
「馬で遠乗りに行った帰りだった。雨に降られたから教会で雨宿りしようと。そこでお前を見て気に入ったから連れて帰って来た」
どこの誰ともわからないのに?
「教会は嫌いじゃなかったんですか?」
その言葉を聞いてルドルフが目を見開く。しまった前生の記憶だ。
「何故知ってる」
「……みんな噂してましたから」
「誰にも言った事はない」
「そうでしたか?誰から聞いたんだったかな……」
「アリスお前……」
その時ドアがノックされアーロンが入って来た。
「失礼致します。公爵様ご夫妻がアリス様を訪ねてお見えです」
あの人達しつこいな。
「帰らせろ」
「陛下がアリス様に会うようにと仰ってますが」
「……陛下が?」
「はい。そして陛下が殿下をお呼びです」
ルドルフがチラリと僕を見た。確かにこのまま曖昧にしていても解決しない。
「会って話をして来ます。いいですよね?」
「……お前がいいなら」
「ありがとうございます」
僕はルドルフに一礼して応接室に向かった。
「まあ!アリス!こんなに痩せてどういう事なの!大事な息子なのに!」
「……お養母様ご機嫌麗しく……」
「他人行儀な挨拶はやめて!さあこちらにいらっしゃい」
他人行儀って。あなたとは他人ですけどなにこの態度の変わりよう。それより公爵夫妻と聞いたはずなのにエレノアとバクロまでいるのはどうして?しかも物凄い仏頂面で笑える。どうせならリカルドに会いたかったよ。
「ところで殿下との婚約式はいつなんだ?」
「婚約式??」
「殿下がお前を正式に皇太子妃にすると言われた。ゆくゆくはこの国を守る国母、皇后にすると」
……確かに前生ではそうだったけど。まだ子供の僕に対して勝手に事を進めないで欲しい。
「父上、僕にはまだ早いと思います。父上から殿下にそう言って頂けませんか」
「いやしかし時間を置いているうちに殿下のお気持ちが変わったらどうするつもりだ」
「……」
出来れば変わって欲しいし二度と会いたくはない。でも再びルルテラと会う為にはルドルフが必要だ。
「な?それは惜しいだろう?とにかく殿下の気持ちを何としてでも繋ぎ止めるんだ。結婚には早くても婚約式さえすれば何とかなる。分かったか?」
「そうよ。貴方さえいればうちは安泰なの。皇室と縁続きになるしエレノアにもいい縁談がたくさん来るわ」
僕の沈黙を勘違いした公爵夫妻は高圧的な態度を見せた。また以前の如くいいように僕を操り利益を得るつもりだろう。
「今は無理です」
「アリス!なんて事言うの!ほらバクロにエレノア!あなた達もアリスを励まして。私たちがついてるから大丈夫だって」
「……アリスが妃殿下になればまた新しいドレスを着てうちで舞踏会を開ける?」
「なにを言ってるの!今そんな場合じゃないでしょ!」
甲高い声が広い応接室に響く。何だろうこの滑稽なやり取りは。僕は思わず笑ってしまった。
何もかも馬鹿馬鹿しい。何がドレスだ。そんな贅沢に意味があるのか。
「何がおかしいのよ!アリス!」
馬鹿にされていると思ったのかエレノアがカッとして僕を怒鳴る。
「おかしいでしよ。僕を殺そうとした人が虫みたいに僕にたかって甘い汁を吸おうなんて」
「アリス?!」
僕の暴言に家族中が驚きと非難の声を上げた。
「殿下と話します。そして必要なら婚約式もします。でも僕が戻るのは公爵邸じゃない。教会です」
「どう言う事だ?」
「あなた達とは縁を切ると言う事です」
216
あなたにおすすめの小説
捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~
水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。
死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!?
「こんなところで寝られるか!」
極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く!
ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。
すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……?
「……貴様、私を堕落させる気か」
(※いいえ、ただ快適に寝たいだけです)
殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。
捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!
最強βの俺が偽装Ωになったら、フェロモン無効なのに狂犬王子に求愛されました~前世武道家なので物理で分からせます~
水凪しおん
BL
前世は日本の武道家、今世は平民β(ベータ)のルッツ。
「Ωだって強い」ことを証明するため、性別を偽り「Ω」として騎士団へ入団した彼は、その卓越した身体能力と前世の武術で周囲を圧倒する。
しかし、その強さと堂々とした態度が仇となり、最強のα(アルファ)である第一王子・イグニスの目に止まってしまった!
「お前こそ俺の運命の番だ」
βだからフェロモンなんて効かないのに、なぜかイグニスの熱烈な求愛(物理)攻撃を受ける日々に突入!?
勘違いから始まる、武闘派β×最強王子のドタバタ王宮BLファンタジー!
嫌われ魔術師の俺は元夫への恋心を消去する
SKYTRICK
BL
旧題:恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
【完結】それ以上近づかないでください。
ぽぽ
BL
「誰がお前のことなんか好きになると思うの?」
地味で冴えない小鳥遊凪は、ずっと憧れていた蓮見馨に勢いで告白してしまう。
するとまさかのOK。夢みたいな日々が始まった……はずだった。
だけど、ある出来事をきっかけに二人の関係はあっけなく終わる。
過去を忘れるために転校した凪は、もう二度と馨と会うことはないと思っていた。
ところが、ひょんなことから再会してしまう。
しかも、久しぶりに会った馨はどこか様子が違っていた。
「今度は、もう離さないから」
「お願いだから、僕にもう近づかないで…」
【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!
煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。
処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。
なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、
婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。
最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・
やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように
仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。
クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・
と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」
と言いやがる!一体誰だ!?
その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・
ーーーーーーーー
この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に
加筆修正を加えたものです。
リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、
あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。
展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。
続編出ました
転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668
ーーーー
校正・文体の調整に生成AIを利用しています。
婚約破棄されてヤケになって戦に乱入したら、英雄にされた上に美人で可愛い嫁ができました。
零壱
BL
自己肯定感ゼロ×圧倒的王太子───美形スパダリ同士の成長と恋のファンタジーBL。
鎖国国家クルシュの第三王子アースィムは、結婚式目前にして長年の婚約を一方的に破棄される。
ヤケになり、賑やかな幼馴染み達を引き連れ無関係の戦場に乗り込んだ結果───何故か英雄に祭り上げられ、なぜか嫁(男)まで手に入れてしまう。
「自分なんかがこんなどちゃくそ美人(男)を……」と悩むアースィム(攻)と、
「この私に不満があるのか」と詰め寄る王太子セオドア(受)。
互いを想い合う二人が紡ぐ、恋と成長の物語。
他にも幼馴染み達の一抹の寂寥を切り取った短篇や、
両想いなのに攻めの鈍感さで拗れる二人の恋を含む全四篇。
フッと笑えて、ギュッと胸が詰まる。
丁寧に読みたい、大人のためのファンタジーBL。
他サイトでも公開しております。
表紙ロゴは零壱の著作物です。
新年に余り物でおせちを作ったら、冷酷と噂の騎士団長様に「運命の番」だと求婚されました
水凪しおん
BL
料理人だった俺が転生したのは、男性オメガというだけで家族に虐げられる不遇の青年カイ。
新年くらいはと前世の記憶を頼りに作ったのは、この世界にはない『おせち料理』だった。
それを偶然口にしたのは、氷のように冷酷と噂される最強の騎士団長リアム。
「お前は俺の運命の番だ」
彼の屋敷に保護され、俺の作る料理が彼の心を溶かしていく。
不器用で、だけどまっすぐな愛情を注いでくれる彼と、美味しい料理で紡ぐ、甘くて温かい異世界スローライフ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる