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10.週末
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教室の空気は、何事もなかったかのように、いつも通りだった。
俺は、いつもの席に座っている春人のところへ向かう。
相変わらず、机に突っ伏して寝てるけど、もう慣れたもんだ。
……ほんとこいつの心臓は毛が生えてるよな。しかも剛毛。よくもまあ、こんなマイペースで生きてられるもんだ。
「おい、春人。起きろ」
「……ん? なんだ、タケルか」
昨日までは特別だった“俺の名前”。
その響きは同じなのに、俺の中で何かが変わったのはもう仕方ない。
「昨日、変な空気にして悪かったな。……なんか、ちょっと熱が残ってたっぽくてさ。体調悪かったんだ」
できるだけ明るい声でそう言って、俺は精一杯の笑顔を見せる。
「もう大丈夫だから。気にすんなよ。……って、言わなくても、お前が俺のこと気にするわけないかー。あはは」
春人の目が、少しだけ驚いたように丸くなった。
「じゃ、そゆことで」
軽く手を振って、俺は自分の席へ戻った。
心の中は、不思議なほど静かだった。
どこか吹っ切れた感じで、春人を見ても、昨日までのような胸の痛みは、ほとんどなかった。
……うん、俺は俺でちゃんと前に進める。
そう思えた。
それだけで、十分だった。
⸻
文化祭が終わってからの数日間、俺たちは何もなかったかのように過ごしていた。
春人も、麻央も、ケイも、いつも通り。
もちろん俺も。
ちゃんと笑って、ちゃんと会話して、ちゃんと輪の中にいるふりをした。
最初は少しだけきつかった。
でも、慣れてくると、その“ふり”もだんだん板についてきた。
そんなある日、ふと気がついた。
春人は……たぶん、麻央と付き合い始めたんじゃないかな。
放課後に二人で帰ってるのを見かけることが増えたし、この前なんて、お揃いのキーホルダーまで付けてた。
ケイは俺のことをちょっと気にしてるっぽかったけど、何も言ってこなかった。
ケイだって、春人のことが好きなのに……
自分の気持ちよりも、俺を気遣ってくれるその優しさが、すごくありがたかった。
⸻
そんなこともあって、俺とケイは自然と二人でつるむことが多くなった。
今日も今日とて、ケイに付き合っておしゃれなブティックを巡っている。
──せっかくの日曜だってのに。
「なんだよ、そのつまんなそうな顔」
「つまんないわけじゃないけどな……お前といると、女子の視線が痛いんだよ」
毎日一緒にいると忘れがちになるけど、ケイは学校一のイケメンで、間違いなく一番のモテ男だ。
「それなのに春人を好きになるなんて。ほんと、残念イケメンってお前のことだな」
「お前にだけは言われたくないわ」
「それな」
ケイは笑いながら次々に試着する服を選び始める。
俺はそれを眺めていた。
散々街を歩き回って腹が減った俺たちは、駅前のファストフード店でハンバーガーを食うことにした。
春人がバイトしてる店とは競合のライバルチェーンだけど、なんとなく今日はこっちに足が向いた。たまには違う味もいい。
「お前、ポテト食わないならもらうぞ」
「ああ、いいよ。てかお前、それ何個目だよ……」
ケイはバーガー二つにナゲット、ポテトまで平らげていた。
その細い体のどこに入ってんだよ、マジで。
「育ち盛りなんで」
「それ以上デカくなんのかよ」
俺もかなりタッパがデカいが、ケイも負けてない。
とはいえ、俺とは足の長さや顔の大きさなんかがまるで違うんだけど。
だが、こうして気を抜ける時間を過ごしてると、心が穏やかになる。春人のことを忘れたわけじゃない。
でも、ケイといると、少しだけ心が軽くなるのだ。
ふと、ケイがポテトを飲み込んでから、ぽつりと口を開いた。
「なあ、前に俺が春人にバイト頼んだの、覚えてる?」
「ああ……彼女代行のやつな」
そのせいで春人が先輩に平手打ちされたんだ。
また絡んでこないかと気を張ってたけど、間もなくその先輩がなんかやらかして退学になったって聞いて、正直ホッとした。
「お前あれ、俺が本当にうざい先輩から逃げたくて頼んだと思ってるだろ」
「え?違うのか?」
「……違わないけど、それだけじゃなかった」
ケイは少し真面目な顔になって、窓の外に目をやる。
「春人が昼夜問わず働いてたからさ……少しでも助けになるかなって思って」
「……そうだな」
俺は、前にパンを断られたときのことを思い出していた。
「俺、金持ちなんだ」
「は?自慢かよ」
わざと笑いながら煽る。
実際、こいつが買う服の値段は俺とは桁が違う。けど、ケイの声に自慢のニュアンスはなかった。
むしろ、それを自分でも嫌ってるような、そんな響きだった。
「実家が太くて、本人はモデル級のスタイルのイケメン。羨ましい?」
……こいつ、わざとだな?
肘をついて俺の顔を見てくるケイは、なんかの雑誌の表紙みたいだ。
「……ああ、羨ましくて死にそうだわー」
「そうだろ?……でもさ、俺が自分で手に入れたもんなんて、何ひとつないんだよな」
「……は?どうした?顔面国宝」
「あはは!」
ケイはカップの中の氷をかき混ぜながら笑う。けど、その笑い声はどこか泣いているようにも聞こえた。
「うちは金はあるけど、家族って感じじゃない。親は家にいないし、飯は出来合い。小遣いはカードで自由に使えるけど……誰にも、必要とされてる気がしないんだよ」
「……」
「だからさ。誰かが困ってると手を貸したくなるんだ。こんな俺でも誰かの役に立てるって思いたいだけなんだけどな、きっと」
「……寂しいんだな」
「……なんでも持ってる奴に言うセリフじゃねーよ」
「なんでも持ってるってのはさ、自分の欲しいものを手にしてる奴のことを言うんだよ。お前は違うだろ?」
「……」
驚いた顔でこっちを見てきたケイは、次の瞬間、ため息をついて頭を抱えた。
「あー、俺、お前を好きになれたらよかったのにな」
「あー、ほんとだな。そしたら俺、玉の輿に乗れたのに。二人でお前の実家、乗っ取ろうぜ」
「それ最高だな」
俺たちは顔を見合わせて、声を上げて笑った。
ケイの笑顔が、やっと心の底からのものになった気がした。
俺は、いつもの席に座っている春人のところへ向かう。
相変わらず、机に突っ伏して寝てるけど、もう慣れたもんだ。
……ほんとこいつの心臓は毛が生えてるよな。しかも剛毛。よくもまあ、こんなマイペースで生きてられるもんだ。
「おい、春人。起きろ」
「……ん? なんだ、タケルか」
昨日までは特別だった“俺の名前”。
その響きは同じなのに、俺の中で何かが変わったのはもう仕方ない。
「昨日、変な空気にして悪かったな。……なんか、ちょっと熱が残ってたっぽくてさ。体調悪かったんだ」
できるだけ明るい声でそう言って、俺は精一杯の笑顔を見せる。
「もう大丈夫だから。気にすんなよ。……って、言わなくても、お前が俺のこと気にするわけないかー。あはは」
春人の目が、少しだけ驚いたように丸くなった。
「じゃ、そゆことで」
軽く手を振って、俺は自分の席へ戻った。
心の中は、不思議なほど静かだった。
どこか吹っ切れた感じで、春人を見ても、昨日までのような胸の痛みは、ほとんどなかった。
……うん、俺は俺でちゃんと前に進める。
そう思えた。
それだけで、十分だった。
⸻
文化祭が終わってからの数日間、俺たちは何もなかったかのように過ごしていた。
春人も、麻央も、ケイも、いつも通り。
もちろん俺も。
ちゃんと笑って、ちゃんと会話して、ちゃんと輪の中にいるふりをした。
最初は少しだけきつかった。
でも、慣れてくると、その“ふり”もだんだん板についてきた。
そんなある日、ふと気がついた。
春人は……たぶん、麻央と付き合い始めたんじゃないかな。
放課後に二人で帰ってるのを見かけることが増えたし、この前なんて、お揃いのキーホルダーまで付けてた。
ケイは俺のことをちょっと気にしてるっぽかったけど、何も言ってこなかった。
ケイだって、春人のことが好きなのに……
自分の気持ちよりも、俺を気遣ってくれるその優しさが、すごくありがたかった。
⸻
そんなこともあって、俺とケイは自然と二人でつるむことが多くなった。
今日も今日とて、ケイに付き合っておしゃれなブティックを巡っている。
──せっかくの日曜だってのに。
「なんだよ、そのつまんなそうな顔」
「つまんないわけじゃないけどな……お前といると、女子の視線が痛いんだよ」
毎日一緒にいると忘れがちになるけど、ケイは学校一のイケメンで、間違いなく一番のモテ男だ。
「それなのに春人を好きになるなんて。ほんと、残念イケメンってお前のことだな」
「お前にだけは言われたくないわ」
「それな」
ケイは笑いながら次々に試着する服を選び始める。
俺はそれを眺めていた。
散々街を歩き回って腹が減った俺たちは、駅前のファストフード店でハンバーガーを食うことにした。
春人がバイトしてる店とは競合のライバルチェーンだけど、なんとなく今日はこっちに足が向いた。たまには違う味もいい。
「お前、ポテト食わないならもらうぞ」
「ああ、いいよ。てかお前、それ何個目だよ……」
ケイはバーガー二つにナゲット、ポテトまで平らげていた。
その細い体のどこに入ってんだよ、マジで。
「育ち盛りなんで」
「それ以上デカくなんのかよ」
俺もかなりタッパがデカいが、ケイも負けてない。
とはいえ、俺とは足の長さや顔の大きさなんかがまるで違うんだけど。
だが、こうして気を抜ける時間を過ごしてると、心が穏やかになる。春人のことを忘れたわけじゃない。
でも、ケイといると、少しだけ心が軽くなるのだ。
ふと、ケイがポテトを飲み込んでから、ぽつりと口を開いた。
「なあ、前に俺が春人にバイト頼んだの、覚えてる?」
「ああ……彼女代行のやつな」
そのせいで春人が先輩に平手打ちされたんだ。
また絡んでこないかと気を張ってたけど、間もなくその先輩がなんかやらかして退学になったって聞いて、正直ホッとした。
「お前あれ、俺が本当にうざい先輩から逃げたくて頼んだと思ってるだろ」
「え?違うのか?」
「……違わないけど、それだけじゃなかった」
ケイは少し真面目な顔になって、窓の外に目をやる。
「春人が昼夜問わず働いてたからさ……少しでも助けになるかなって思って」
「……そうだな」
俺は、前にパンを断られたときのことを思い出していた。
「俺、金持ちなんだ」
「は?自慢かよ」
わざと笑いながら煽る。
実際、こいつが買う服の値段は俺とは桁が違う。けど、ケイの声に自慢のニュアンスはなかった。
むしろ、それを自分でも嫌ってるような、そんな響きだった。
「実家が太くて、本人はモデル級のスタイルのイケメン。羨ましい?」
……こいつ、わざとだな?
肘をついて俺の顔を見てくるケイは、なんかの雑誌の表紙みたいだ。
「……ああ、羨ましくて死にそうだわー」
「そうだろ?……でもさ、俺が自分で手に入れたもんなんて、何ひとつないんだよな」
「……は?どうした?顔面国宝」
「あはは!」
ケイはカップの中の氷をかき混ぜながら笑う。けど、その笑い声はどこか泣いているようにも聞こえた。
「うちは金はあるけど、家族って感じじゃない。親は家にいないし、飯は出来合い。小遣いはカードで自由に使えるけど……誰にも、必要とされてる気がしないんだよ」
「……」
「だからさ。誰かが困ってると手を貸したくなるんだ。こんな俺でも誰かの役に立てるって思いたいだけなんだけどな、きっと」
「……寂しいんだな」
「……なんでも持ってる奴に言うセリフじゃねーよ」
「なんでも持ってるってのはさ、自分の欲しいものを手にしてる奴のことを言うんだよ。お前は違うだろ?」
「……」
驚いた顔でこっちを見てきたケイは、次の瞬間、ため息をついて頭を抱えた。
「あー、俺、お前を好きになれたらよかったのにな」
「あー、ほんとだな。そしたら俺、玉の輿に乗れたのに。二人でお前の実家、乗っ取ろうぜ」
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ケイの笑顔が、やっと心の底からのものになった気がした。
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