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第3章―時は一刻を争う―

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「ここからが我々の作戦だ。13エリアまで、敵を進軍させたら基地にあるトラップを作動させる。だが、トラップを作動させる前にガルーダ部隊に向けて一斉に総攻撃を我々は仕掛ける。幸いにもこの基地には新型の機体の他に『DT―Hestiaディーティーヘスティア』も配備されている。それを使って、空中を得意とするフェニックスを一機も残さずに撃ち落として殲滅させる。そして上空からの敵の攻撃を封じる事で我々は地上からの攻撃に専念できる!」

 冴嶋がそう話すと、モニター画面の向こう側にいる兵士達は持っている銃を握り締めてさらなる闘志を燃やした。

「あの忌まわしい鳥達をヘスティアで全部撃ち落としまくってやるぜ、忌まわしいあいつらに一泡吹かせてやる!」 

彼らはそう言うと銃を鳴らして団結力を高めた。冴嶋がヘスティアを使ってフェニックスを撃ち落とすと話すと、そこで黙って聞いていた上層部の1人が彼に疑問を投げかけた。

「新型の狙撃タイプのドールアームズか。アビスと同じくここに実戦配備されたが、ちゃんと使えるのか? いくら新型でも乗れる使い手がいなければ意味があるまい。ましてや同じ狙撃用タイプの『DT―hephaestusディーティーヘパイトス』が無い今、ヘスティアを使おうなど自殺行為だ!」

 上層部の1人がそう話すと一言いい返した。 

「――では、他に違う良い作戦があるのなら是非教えて下さい」

 彼が反論すると、上層部の男は急に口を噤んで黙り込んだ。

「ヘパイトスがない今、我々の基地にとって痛手は承知の上……! ましてや、ヘスティアが配備された所でも、満足に動かせるパイロットなんて此処にはいませんよ。でも、勝つためなら我々はどんな逆境にも乗り越えなくてはならない。例えそれがいかなる場合であってもだ…――!」 

 冴嶋はモニター画面の前で鋭い眼光で彼を威圧した。

「そもそも、我々の基地に新型のドールアームズを押しつけたのは上層部の貴方達ですよね?」

「くっ……!」

 上層部の男は彼の意味深な言葉に黙り込むと、話の途中でモニターの通信回線を勝ってに切って沈黙した。その場から尻尾を巻いて逃げると彼は椅子の上で呆れた顔でため息をついた。

「フン、ご都合主義の上層部のヤツらめ。だから毎回困るんだ…――!」

 冴嶋は少なからず、彼ら上層部に対して怒りを露にした。そして、作戦内容の続きを話した。

「話を戻そう。さっきの続きだが、フェニックスをヘスティアで撃破したのち。各地上部隊にいる兵士達は、エリア13ブロックに待ち伏せして待機せよ。デッドマン・ドールズがそこに到着したら速やかに戦闘を行い、敵の兵士を一人残らず殲滅する。そして、ミストラル部隊が現れたら基地に仕掛けてあるトラップを作動させる。制圧された第1エリアから第13エリアまでのブロックを一斉に破棄。爆破して敵を一網打尽にするのが我々の作戦だ!」

 彼がそう話すと幹部の1人が作戦内容について尋ねた。

「冴嶋総司指令官、質問があります。一体それはどのように爆破するのですか? それだと、この基地全体に負担がかかるのでは?」

不意にその事を質問すると周りも同じく頷いた。彼はそこでさらに、詳しく説明をした。
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